2015.05.15 | ニュース

帯状疱疹の予防に新しいワクチン

ランダム化研究で予防効果を確認
from The New England journal of medicine
帯状疱疹の予防に新しいワクチンの写真
(C) Angel Simon - Fotolia.com

感染症を予防するワクチンにはさまざまなものがあり、新しいワクチンも続々と開発されています。水痘(みずぼうそう)、帯状疱疹を起こす水痘帯状疱疹ウイルスのワクチンもその1つです。これまで水痘帯状疱疹ウイルスのワクチンは、生ワクチンという毒性を弱くしたウイルスそのものが使われていましたが、新しく、免疫をつける物質だけを取り出したサブユニットワクチンが開発され、実際に予防効果があったと報告されました。

◆50歳以上が対象

研究班は、18か国の施設で50歳以上の成人を対象に、新しいサブユニットワクチンとワクチンの効果を強くする薬を組み合わせた予防接種「HZ/su」が帯状疱疹を防ぐ効果を調べました。

対象者はHZ/suの注射を受けるか、偽薬の注射を受けるかにランダムに振り分けられました。

 

◆帯状疱疹の発症が「0.3対9.1」に

予防接種の結果は次のとおりでした。

評価されえた合計15,411人の参加者は、ワクチン(7,698人)か偽薬(7,713人)のどちらかの注射を受けた。この修正ワクチン接種集団の中で、中央値3.2年のフォロー期間のうちに、帯状疱疹はワクチン投与群の6人、偽薬群の210人に確認された(発症率は1000人年あたり0.3対9.1)。

このように、HZ/suの予防接種を受けたグループでは、注射から約3年の間で、帯状疱疹の発症が少なくなっていました。

副作用については次の結果が出ました。

質問に応じてまたは自発的に、グレード3の症状がワクチンの注射を受けた人の17.0%から、また偽薬の注射を受けた人の3.2%から報告された。深刻な有害事象または免疫関連の可能性がある疾患または死亡の割合は、2群で有意差がなかった。

つまり、HZ/suによって深刻な副作用が増えるという結果にはならなかったものの、ある程度以上の副作用が起こる割合は、偽薬と比べて多くなっていました。

 

有効性の報告を受けて、近い将来このワクチンが実際に使われるようになるかもしれません。そのときには既存の生ワクチンと比較した研究が重要な判断材料になると想像されます。長期間の予防効果があるかどうか、また副作用の比較も気になります。

帯状疱疹に苦しむ人が減るといいですね。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Efficacy of an Adjuvanted Herpes Zoster Subunit Vaccine in Older Adults.

N Engl J Med. 2015 Apr 28

[PMID: 25916341]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。