たいじょうほうしん
帯状疱疹
水ぼうそうを起こすウイルスの感染が原因。身体の一部に、帯のように痛みのある赤いぶつぶつができる
22人の医師がチェック 195回の改訂 最終更新: 2022.05.27

帯状疱疹は何科?病院に行くときの注意点と入院について

帯状疱疹は主に皮膚科で治療を受けられますが、耳鼻咽喉科やペインクリニックが適している場合もあります。病院の選び方、診察のときの注意点、入院が必要な場合について説明します。

1. 帯状疱疹は何科に行けばいい?

帯状疱疹の主な症状は皮膚の痛みや水ぶくれです。皮膚に何かの症状があるときは皮膚科で診てもらえます。症状の特徴を「帯状疱疹の画像:初期症状のかゆみ、赤み、水ぶくれとかさぶた」で説明しています。

最初に行った診療科で帯状疱疹と診断されれば適した診療科に紹介してもらえますので、あまり考え込まず、皮膚に症状があればまずは皮膚科で診てもらうのが早く治す近道です。

顔・耳に症状が出るラムゼイ・ハント症候群は耳鼻科

顔面や耳のまわりに帯状疱疹ができる「ラムゼイ・ハント症候群」に詳しいのは耳鼻咽喉科や感染症内科です。耳のまわりに症状があるとき、特にめまい耳鳴り聞こえにくいといった症状があるときには、まずは耳鼻咽喉科に行ってください。ラムゼイ・ハント症候群について詳しくは「顔、耳の痛い水ぶくれは帯状疱疹?ラムゼイ・ハント症候群の原因、症状、治療」で説明しています。

わからなければ内科を受診するのも一つの手

症状がはっきりせず、帯状疱疹かどうかよくわからないときには一般内科でも診てくれます。

帯状疱疹後神経痛は何科?

帯状疱疹の後遺症である帯状疱疹後神経痛の治療には神経内科、または次に説明するペインクリニックが適しています。帯状疱疹後神経痛について詳しくは「イオントフォレーシスなど、帯状疱疹後神経痛の治療を解説」で説明しています。

帯状疱疹の治療で活躍する「ペインクリニック」とは?

帯状疱疹は、早い時期から痛みが出現しますし、水ぶくれなどの皮膚の症状が治っても痛みが持続する場合(帯状疱疹後神経痛)があります。 人それぞれの痛みに対して、オーダーメイドの治療を行う医療機関がペインクリニックです。

帯状疱疹の痛みには神経ブロック療法や薬物療法、温熱療法、などたくさんの治療法があり、それぞれに良い面と悪い面があります。ペインクリニックでは治療法をひとりひとりの様子に合わせて選んで組み合わせ、最適な治療を目指します。

病院ではどんな治療がある?

帯状疱疹の治療は原因のウイルスに効く薬や痛みを和らげる薬が中心です。使われる薬について詳しくは「帯状疱疹に市販薬は効かない?病院の薬の費用、服用期間、副作用など」で説明しています。

治療中の生活で気を付けることは、体力をつけることと、周りにうつさないようにすることです。詳しくは「帯状疱疹の治療期間はアシクロビル7-10日、生活上の注意とともに」で説明しています。

2. 帯状疱疹の痛みを診察室でどう表現したらいい?

痛みというものはなかなか他人にわかってもらうことが難しいです。それでもただ「痛い」と言うより、「どんなふうに痛いのか」を詳しく伝えられたほうが、医師にとって役に立つ情報になります。ポイントとしては、「強さ」と「性状」が挙げられます。痛みの「強さ」と「性状」をなるべく詳しく表現することで、帯状疱疹はもちろん、ほかの病気の診断にも重要な情報となります。

帯状疱疹の痛みの強さを表現する「VAS」の使い方

強さは「少しだけ痛い」「ものすごく痛い」と言ってもある程度伝わるのですが、医師から見てもっとわかりやすくするためにVAS(ビジュアル・アナログ・スケール)というもので表現するよう言われることがあります。これは最大限の痛み(想像しうる最大の痛みあるいは死んだ方がましと思うくらいの痛み)を10とし、痛みがない状態を0とし、痛みの程度を視覚化(具体的に見えやすく)することで他人に伝えていく方法です。

痛みの強さを表現するVAS(Visual Analogue Scale)の図

ほんの少しだけ痛いけど日常生活の中であまり気にならない程度の痛みなら1や2に近く、死ぬほどとまでではなくても痛みをこらえるのがとても大変だという痛みなら8や9に近い位置を示してください。「そんなに客観的に言えない」と思うかもしれませんが、VASを使う医師は答えがある程度ばらつくのをわかったうえで使っていますので、深く考えないで弱い痛みなら0に近い位置を、強い痛みなら10に近い位置を答えてください。

VASで痛みの強さを記録すると、前に比べて痛みが強くなったか弱くなったかを表現しやすいという利点があります。VASで痛みの強さを繰り返し聞かれたら、「前に5と答えたときよりも今日は少し楽になったから、4ぐらいかな」というように比較をしながら考えて答えてください。

疼痛行動評価表

痛みの強さの評価では、痛みによって日常生活をどの程度制限されるかも重要な項目になります。これもVASと同様に具体的に見えやすくするために、「疼痛行動評価表」というものを用います。疼痛(とうつう)とは痛みのことです。

VAS以外の痛みの評価方法に関して、日本ペインクリニック学会では、下の表(疼痛行動評価表)を用いて生活における痛み程度を表現していただくことを推奨しています。痛みの出る前にできていた状態を10点として、今のできる状態が何点にあたるかを指してもらいます。

痛みによる日常生活の制限を表現する疼痛行動評価表1痛みによる日常生活の制限を表現する疼痛行動評価表2

帯状疱疹の痛みの性状

痛みの「性状」とは、チクチク刺すような痛みとか、胸が締め付けられるような痛みといった特徴のことです。どうしても主観的な表現になってしまいますが、医師はどんな病気のときにどんな表現がよく出てくるかを知っています。「チクチクする痛み」「えぐられるような痛み」「焼けるような痛み」などはよく使われる表現です。これらに当てはまらなくても何かの言葉で表されることで手掛かりが得られますので、伝わるかどうかはあまり心配しないで、そのとき思いついた表現で言いましょう。

痛みの持続時間、頻度も手掛かりに

痛みの強さと性状の他にも、痛みの持続時間(例:30分くらい)や頻度(例:1日に数回)も重要です。「少しの間」とか「ときどき」よりも、正確でなくてもいいので数字で言ったほうが伝わりやすくなります。また、どういった時に痛みが出たり悪くなったりするかを伝えることも重要になります。痛みの状況が明確になることで、痛みを抑える治療法もより適切に選んでいくことができるのです。

3. 帯状疱疹で入院は必要?

特に重症の帯状疱疹では治療のために入院が必要です。

帯状疱疹の痛みや皮疹の症状が重い場合は、必要な薬物をしっかりと身体に行き渡らせる必要性が出てきます。飲み薬では100%吸収されるわけではありませんので、点滴を用いる方がより確実になります。そのため、がんの治療中などで免疫力の低下している場合や皮疹が広範囲に及ぶ場合は、点滴による抗ウイルス薬を用いる必要がありますので、入院して治療することとなります。

また、顔や目や耳に皮疹があるときや頭痛が持続するときは、重症になりやすく後遺症も残りやすいです。そのため、顔やその周囲に症状があれば、点滴治療の必要性があるので入院となります。

軽度の帯状疱疹なら入院しないで飲み薬だけで治せる場合がほとんどです。