緊張型頭痛とはどんな病気?:症状、原因、検査、治療など
肩や首がこった時に頭痛を感じることは多くの人が経験があるかもしれません。その頭痛が緊張型頭痛です。肩こりから起こる頭痛などと呼ばれていますが、ストレスや睡眠不足なども原因になります。主な症状は頭痛ですが、めまいや吐き気を感じることもあります。診断には
目次
1. 緊張型頭痛とはどんな病気?
緊張型頭痛は
緊張型頭痛は主に首や肩の筋肉の緊張が原因となります。筋肉の緊張から、典型的には両側の後頭部や頭全体の痛みを引き起こして、場合によっては気持ち悪さやふわふわとしためまいを感じます。頭痛の性状としては締め付けられるような痛みが多く、ズキズキする頭痛は少ないです。気持ち悪さがあるものの吐くことは少ないです。歩行や階段の昇り降りなどの日常動作は問題なく行える程度の痛みです。
筋肉の緊張の原因として精神的または肉体的なストレスが考えられます。筋肉の緊張そのものに加えて、ストレスなどを原因として痛みを感じやすくなる神経の変化が起こることも痛みの原因になります。緊張型頭痛に悩む人が多いものの、詳しい痛みの原因などはまだはっきりわかっていません。
頭痛の種類にはどんなものがある?
頭痛にはほかの病気が原因となって起こる頭痛と、ほかの原因がない頭痛があります。他の原因がない頭痛を一次性頭痛、ほかの病気に原因がある頭痛は二次性頭痛と呼びます。その他に頭痛として感じる神経痛もあります。頭痛の分類は次のようになります。
- 一次性頭痛
- 二次性頭痛
- 神経痛
上記のように様々な病気が原因となって頭痛を引き起こします。頭痛の診断にはまず原因となる病気がないかを検査で調べます。なぜなら二次性頭痛の中には、命に関わるようなくも膜下出血や脳出血などの病気による頭痛があるからです。頭痛が起きた経過や頭痛以外の症状の有無などを手がかりに診断が行われます。
二次性頭痛でないと判断されたら、一次性頭痛のうちどれに該当するかが診断されます。
どんな頭痛は早めに医療機関を受診すべき?
頭痛に次のような特徴があれば、くも膜下出血や脳出血、髄膜炎などの命に関わる病気が原因となって起こっている頭痛の可能性も考えられます。急いで救急科や脳神経外科、神経内科がある医療機関を受診してください。
- ある瞬間に突然始まった
- 今まで経験したことがないほど激しい
- いつもと症状の様子が異なる
- 回数がだんだん増えている
- だんだん強くなっている
- 50歳以降で初めて起きた
- 手足が動きにくい
- しゃべりにくい
- 意識がもうろうとしている
- 変なことを言う
がん や免疫 不全(薬や病気が原因で免疫力が低下していること)の状態である- 発熱とともに、首が硬くて前屈しても顎が胸につかない症状がある
ある瞬間に突然始まって、今までに経験したことのないような頭痛という症状は典型的にはくも膜下出血が考えられます。いつも頭痛がある人でもいつもの症状と異なると感じる場合には注意が必要です。頭痛の回数や、強さが増してきている場合には、1日の中で悪化しているようならくも膜下出血、脳出血などの可能性が考えられ、日の単位で悪化している場合には脳腫瘍などが考えられます。手足が動きにくい、しゃべりにくい、意識がもうろうとしている、変なことを言うなどでは、脳の中で何らかの異常が起きている可能性があります。発熱とともに、首が硬くて前屈しても顎が胸につかない症状があるときは髄膜炎などが考えられます。
上記のような症状に当てはまる場合には早めに医療機関に受診してください。
2. 緊張型頭痛の症状の特徴:頭痛、吐き気など
緊張型頭痛で起こりやすい症状には次のようなものがあります。
- 頭全体が痛い
- 後頭部が痛い:後頭部痛
- ふわふわする:めまい、ふらつき
- 肩がこる:肩こり
- 軽い気持ち悪さがある:軽度の悪心
- 光や音がいつもより気になる:光過敏、音過敏
緊張型頭痛の症状は後頭部や頭全体の痛み、ふわふわするめまい、肩こりなどです。軽い気持ち悪さがありますが、普通は激しく吐くことはありません。光や音に過敏になる症状もありますが、どちらか一方のみです。一方、緊張型頭痛で起こりにくい症状には、ズキズキする痛みや片方のこめかみの痛み、おでこの痛みなどがあります。
さらに緊張型頭痛は頭痛の起こる日数によって次の3つに分けられます。
- 稀発反復性緊張型頭痛
- 頭痛日数:平均して1ヶ月に1日未満(1年間で12日未満)の頭痛
発作 が今までに10回以上ある - 持続期間:30分〜7日間持続する
- 頭痛日数:平均して1ヶ月に1日未満(1年間で12日未満)の頭痛
- 頻発反復性緊張型頭痛
- 頭痛日数:頭痛発作が3ヶ月を超えて繰り返し、頭痛発作の頻度は平均して1ヶ月に1-14日(1年間に12日以上180日未満)であり、頭痛発作の合計回数が10回以上ある
- 持続期間:30分〜7日間持続する
- 慢性緊張型頭痛
- 頭痛日数:頭痛発作が3ヶ月を超えて繰り返し、頭痛発作の頻度は平均して1ヶ月のうち15日以上(1年間で180日以上)である
- 持続期間:数時間〜数日間または、絶え間なく持続する
厳密にどのタイプか分類できないこともありますが治療を行う場合の参考にされます。症状や頭痛の分類については「緊張型頭痛の症状には何がある?:後頭部の痛み、めまい、肩こり」に詳しく書いてありますので参考にしてください。
3. 緊張型頭痛の原因:肩こり、睡眠不足、ストレスなど
緊張型頭痛の原因には次のようなものがあります。
緊張型頭痛の主な原因は肩こり、睡眠不足、ストレスです。肩こりが頭痛の原因になるというのはよく聞くかもしれません。しかし睡眠不足やストレスも緊張型頭痛の原因になります。ストレスは精神的なストレスのみではなく、肉体的なストレスによる疲れなども原因になります。悪い姿勢や眼精疲労などは肩こりの原因になることで緊張型頭痛にもつながります。肩こりなどで筋肉が緊張して痛みを感じるようになると、筋肉内の血流が悪化するとともに、内部で痛みの物質が蓄積してさらに筋肉の緊張を引き起こして頭痛を起こします。睡眠不足やストレスを原因とする場合には、筋肉の緊張のみではなく脳が痛みに過敏になることで頭痛の悪循環を引き起こすと言われています。筋肉から脳へ過剰な痛みが送られてくると、脳が痛みを感じやすくなります。そして痛みを感じない程度の筋肉の緊張でも痛みと認識して頭痛を引き起こします。このように筋肉の緊張のみでなく、脳が痛みに敏感になることでも緊張型頭痛を引き起こします。
原因については「緊張型頭痛の原因には何がある?:肩こり、睡眠不足、ストレスなど」に詳しく書いてありますので参考にしてください。
4. 緊張型頭痛の検査:問診、画像検査など
緊張型頭痛を診断するための検査はつぎのようなものがあります。
- 問診
- 身体診察
- 神経学的診察
- 頭や首の筋肉の診察
- 画像検査
頭部CT検査 頭部MRI 検査
緊張型頭痛を診断するために最も重要な検査は問診です。頭が痛いと怖い病気でないか心配になり「
緊張型頭痛の検査については「緊張型頭痛を診断するための検査は何をする?」に詳しく書いてありますので参考にしてください。
5. 緊張型頭痛の治療:痛みを治す治療と予防する治療
緊張型頭痛の治療には発作時の痛みを抑える治療方法と、発作が起こらないように予防する治療方法があります。緊張型頭痛の治療は内科で受けることができます。より専門的には脳神経外科や神経内科で行われます。最近では頭痛外来という頭痛を専門に診る外来もありますので、通いやすい医療機関に頭痛外来がある場合には、受診する医療期間の選択肢の一つにしても良いと考えられます。緊張型頭痛の治療全般については「緊張型頭痛の治療には何がある?:痛みを治す治療と予防する治療」をみてください。
緊張型頭痛の治療には頭痛発作時に痛みを抑える治療方法と、頭痛発作が起こらないように予防する治療方法があります。頭痛がおきた場合に対処する方法としては痛み止めの鎮痛薬を使用する方法があり、次のような市販薬と処方薬が使われます。
- 一般用医薬品(市販薬)の例
- ロキソニン®S
- バファリンA
- ノーシン
- イブ®
- セデス®︎
- リングル®アイビー
- ナロンエース
- 医療用医薬品(病院での処方薬)の例
- アセトアミノフェン(主な商品名:カロナール®)
NSAIDs - ロキソプロフェンナトリウム(商品名:ロキソニン®)
- アスピリン(アセチルサリチル酸)(主な商品名:バファリン配合錠A330)
- イブプロフェン(主な商品名:ブルフェン®)
- ジクロフェナクナトリウム(主な商品名:ボルタレン®)
- ナプロキセン(主な商品名:ナイキサン®)
痛み止めには大きく分けてアセトアミノフェンやNSAIDsがあり、それぞれで作用が異なります。一般用医薬品(市販薬)としてどちらも買うことができます。頭痛の回数が少ない場合には市販薬で対応することも可能ですが、
頭痛発作に対する治療の詳しい説明は「急性期の痛みに対処する治療」を参考にしてください。
頭痛の回数が多く日常生活で困る場合には頭痛の発作を予防するための薬が使われます。予防薬としては抗うつ薬や
- 抗うつ薬
- 三環系抗うつ薬
- アミトリプチリン(主な商品名:トリプタノール®︎)
- クロミプラミン(主な商品名:アナフラニール®︎)
- 四環系抗うつ薬
- マプロチリン(主な商品名:ルジオミール®︎)
- ミアンセリン(主な商品名:テトラミド®︎)
- ノル
アドレナリン 作動性・特異的 セロトニン 作動性抗うつ薬- ミルタザピン(主な商品名:リフレックス®、レメロン®︎)
- その他
- トピラマート(主な商品名:トピナ®)
- 三環系抗うつ薬
- 抗不安薬
- アルプラゾラム(主な商品名:コンスタン®、ソラナックス®など)
- エチゾラム(主な商品名:デパス®など)
- 筋弛緩薬
- チザニジン(主な商品名:テルネリン®など)
- エペリゾン(主な商品名:ミオナール®など)
抗うつ薬は主に「うつ」に使われる薬ですが痛みにも効果があるため緊張型頭痛に使われます。抗不安薬は筋肉の緊張をやわらげる効果もあるため、緊張型頭痛の原因になるストレスを和らげるとともに効果を発揮します。頭痛発作を予防する薬の詳細に関しては「発作を予防する治療」を参考にしてください。
その他の治療としては漢方薬も用いられることがあります。薬以外の治療としては頭痛体操などの運動で筋肉の緊張をほぐしたり、首のマッサージや温めることで緊張をほぐしたりする方法も行われます。その他には精神行動療法といって、筋肉の緊張が頭痛の原因になっていることを自覚して、原因となっているストレスや緊張をほぐす治療方法があります。治療全般については「緊張型頭痛の治療には何がある?:痛みを治す治療と予防する治療」をみてください。
6. 緊張型頭痛の人が知っておきたいこと
緊張型頭痛になった場合には頭痛が治るのか、食事や日常生活で注意することがあるのかなどについて色々不安に思うことがあるかもしれません。自分の子供が緊張型頭痛になったら心配になりますし、女性では生理(月経)や妊娠に関連した頭痛が起こることがあり不安になるかもしれません。「知っておくべき緊張型頭痛の注意点:日常生活や食事など」のページでは、そのような緊張型頭痛の人が気になることについて説明します。
具体的には次のような疑問について説明します。
- 緊張型頭痛は子供でも起こる?
- 生理(月経)時期や排卵期に起こる頭痛は緊張型頭痛?
- 妊婦に起こる頭痛は緊張型頭痛?
- 緊張型頭痛を治すツボはある?
- 緊張型頭痛は完治する?
- 緊張型頭痛が治らない人はどんな人?
- 緊張型頭痛と食事の関連は?
- 緊張型頭痛をやわらげるために日常生活でできる対策は?
詳しくは「知っておくべき緊張型頭痛の注意点:日常生活や食事など」を参照してください。