Beta 緊張型頭痛のQ&A
- 頭痛は短いと30分、長いと7日間持続する
- 両側性(頭の右半分だけ、といった痛み方は少ない)
- 圧迫感もしくは締めつけ感
- 軽度から中等度の強さ
- 日常的な動作で頭痛が増悪することはない
- 吐き気を伴うことはない
- 光過敏(光が眼に入るのが辛い)、音過敏(音が気になる)は、あったとしてもどちらか一方
緊張型頭痛の原因、メカニズムについて教えて下さい。
緊張型頭痛は、長時間不適切な姿勢をとることなどにより、肩回りの筋肉が緊張してしまうことが原因で頭痛が引き起こされるとの説が有力でしたが、必ずしもそうではない方もいらっしゃいます。
詳しいメカニズムはまだ不明ながら、現在では中枢神経系(脳のうち扁桃体や視床下部と呼ばれる部分)の関与も考えられています。この中枢神経系の関与により、これまでは痛みを感じなかったような弱い刺激でも痛みを感じてしまうようになり、持続的に痛みが出るようになってしまうという説があります。
緊張型頭痛は、どんな症状で発症するのですか?
緊張型頭痛は、いわゆる「頭痛」のうち最も多いものです。恐らく誰もが経験したことのあるような頭痛でしょう。
通常頭の左右片方ではなく両側が(または全体的に)痛みます。強さは軽度から中等度で、日常生活動作が制限されるほどではありません。ズキンズキンと脈に合わせて痛んだり、強い吐き気を伴ったりする場合には、緊張型頭痛よりも片頭痛が疑われます。
緊張型頭痛は、どのように診断するのですか?
緊張型頭痛は、画像検査や血液検査で診断ができる病気ではありません。もちろんこれらの検査も行うことがありますが、他の病気でないことを確かめるために行う検査だと理解していただければ良いでしょう。緊張型頭痛の特徴としては、
といったものがあります。片頭痛の症状の特徴も参照してみてください。症状は大きく異なっており、片頭痛と緊張型頭痛は簡単に区別できるように見えます。ですが、実際は簡単に区別できないような中間型の患者さんも多くいらっしゃいます。
これらの特徴を満たせばそれだけで緊張型頭痛と診断できるわけではなく、最初に書いたように他の病気が除外できなければ診断はできません。頚椎症などが原因であることが多いため、しっかり区別します。
片頭痛と緊張型頭痛の区別が難しいような場合には、片頭痛と考えて治療を行う事が多いようです。
緊張型頭痛の治療薬にはどのような種類がありますか?
緊張型頭痛の治療は薬物療法が中心で、アセトアミノフェン、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)が有効です。1週間のなかで2-3日以上の使用は避けるべきとされています。
参考:「慢性頭痛の診療ガイドライン2013 日本神経学会、日本頭痛学会」
他の病気でもよく使われる痛み止めであるアセトアミノフェン、NSAIDsがこの病気でも有効です。市販の頭痛薬で効くのであれば、わざわざ医療機関を受診するほどではないですが、効果が不十分な場合には頭痛の診療に慣れた医療機関を受診し、どういった薬を使っていくか相談すると良いでしょう。
カフェインが有効であるとも言われていますが、カフェインに頼り過ぎるとかえって頭痛を悪くすることもあるので注意が必要です。
緊張型頭痛は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?
緊張型頭痛は最も一般的な種類の頭痛です。
実際の患者さんはかなり多いことは確かですが、どうやって診断をつけるかという一定した見解がなかなか無かったために、調査によって有病率は大きく異なってしまっています。生涯有病率(一生のうち一度でも緊張型頭痛と診断される割合)は、様々な報告を合わせると30-78%程度とされています。単に頭痛があるというだけで、病院に行かず診断がつかない人も大勢いることを考えると、実際の有病率はこれよりも更に高くなるでしょう。
また、男性よりも女性のほうが緊張型頭痛になりやすいということも、多くの報告で共通しています。
緊張型頭痛の、その他の治療法はありますか?
筋電図バイオフィードバック、リラクゼーション法、ボツリヌス毒素による治療など、様々なものが試みられています。
筋電図バイオフィードバックとは、筋電図と呼ばれる検査方法で筋緊張があることを患者さんに自覚してもらうものです。リラクゼーション法と組み合わせることで効果はさらに高くなると言われています。
ボツリヌス毒素は、簡単に言えば筋肉の緊張をとる注射をすると考えていただければ良いでしょう。ただし強い効果はあまり期待できないかもしれません。
筋電図バイオフィードバックやボツリヌス毒素を用いた治療は非常に特殊です。なかなか頭痛がとれずお困りの場合は専門機関(頭痛外来など)に相談してみると良いでしょう。
緊張型頭痛と片頭痛の違いについて教えて下さい。
緊張型頭痛、片頭痛のいずれも、頻度の高い病気の一つです。
大きな傾向としては、緊張型頭痛よりも片頭痛の方が、痛みが強いということは言えます。片頭痛ではしばしば、痛みのためにその時行っている作業を中断して、横になって休まなければならないほどになります。緊張型頭痛であれば、痛み止めを飲みながら仕事を続けられるようなこともありますが、痛みの強さだけで区別できるほど明らかな違いではありません。
また、片頭痛では前兆症状といって、頭痛が出現する前に視野にキラキラしたものが見えたり、手足の感覚がにぶくなったりといった変化が生じることがあります。
緊張型頭痛は予防できるのですか?
緊張型頭痛の発症には、ストレスが大きく関与しています。うつ病を始めとする様々な病気に使われるような「抗うつ薬」が治療の中心になることが多く、中でも三環系抗うつ薬というタイプの薬がガイドラインでは推奨されています。ただし、三環系抗うつ薬は抗うつ薬の中でも古いタイプの薬であるため、他のタイプの抗うつ薬が使われることも多いです。
また、頭痛の名前が示す通り筋肉の緊張が頭痛の発症に関与していると考えられていることから、筋緊張を緩和する薬も使われます。
ストレスや睡眠不足、運動不足は緊張型頭痛を悪化させる要因であるため、こういった要因を取り除くことも重要です。