緊張型頭痛の原因には何がある?:肩こり、睡眠不足、ストレスなど
緊張型頭痛の主な原因は肩こり、睡眠不足、ストレスです。ストレスは精神的なストレスのみではなく、肉体的なストレスによる疲れなども原因になります。睡眠不足やストレスが多い状況では、痛みに過敏に反応するようになり頭痛の悪循環を引き起こすと言われています。緊張型頭痛を起こす肩こりの原因には悪い姿勢や眼精疲労などがあります。ここでは緊張型頭痛の原因についてみていきます。
1. 緊張型頭痛の原因

現在、緊張型頭痛の原因は2種類あると考えられています。反復性緊張型頭痛と慢性緊張型頭痛では頭痛の起こる仕組みが異なると考えられています。反復性緊張型頭痛では1ヶ月の頭痛日数は14日以下ですが、慢性緊張型頭痛は1ヶ月に15日以上頭痛があります。反復性緊張型頭痛は末梢性の痛みのメカニズムが原因とされ、慢性緊張型頭痛では中枢性の痛みのメカニズムによって頭痛が起こるとされています。それぞれの痛みのメカニズムについて説明します。
◎末梢性の痛みのメカニズム
筋肉などのこわばりが原因となって痛みが生じます。反復性緊張型頭痛は主に末梢性の痛みによる頭痛が起こると考えられています。
悪い姿勢や眼精疲労、ストレスなどで肩や首の筋肉に過度の負荷がかかると、神経が刺激されて筋肉の緊張やこりが起こります。負荷がかかった肩や首の筋肉の中では、血流が悪くなることや、内因性の痛みの物質がたまることによって痛みの悪循環を生じます。痛みが起こった筋肉はさらに緊張が増して、痛みがさらに悪化するという悪循環になります。この痛みの原因の中心は肩こりや首のこりです。
治療にはリラクゼーションや
◎中枢性の痛みのメカニズム
痛みの感覚に過敏になることが原因で痛みが生じます。慢性緊張型頭痛は主に中枢性の痛みのメカニズムを介して頭痛が起こると考えられています。
筋肉から過剰に痛みの感覚が脳に送られてくると脳の痛みを感じる感覚が敏感になり、痛みが悪化します。ストレスや
慢性緊張型頭痛では中枢性の痛みのメカニズム影響が大きいと考えられています。さらに頭痛自体がストレスとなることで、二次的にうつや不安が起こりやすくなり、頭痛が悪化するという悪循環が起こります。
治療には三環系抗うつ薬、ストレスマネジメント、リラクゼーション、鍼灸などを行います。
肩こり
肩こりは緊張型頭痛の重要な原因です。肩や首まわりの筋肉がこわばることで頭痛を引き起こします。筋肉が緊張すると筋肉内の血流が悪くなることや、内因性の痛みの物質がたまることによって痛みが更に悪化します。痛みが起こった筋肉はさらに緊張が増して、痛みがますます悪化するという痛みの悪循環を起こします。肩こりや首のこりは様々な原因で起こります。それらの原因を取り除くことで緊張型頭痛の痛みも改善させることができます。次からは肩こりや首のこりの原因についてみていきましょう。
◎悪い姿勢(うつむき姿勢、同じ姿勢)
同じ姿勢をとり続けていることは筋肉のこわばりの原因になり、肩こりや首のこりを起こします。特にうつむくような前傾姿勢は重い頭を支えるために、首や肩の筋肉に大きな負担がかかります。同じ姿勢で長時間作業することも筋肉のこわばりを引き起こします。具体的には長時間にわたるパソコンの作業や、読書、スマートフォン操作、なんらかの集中する作業などが原因になります。
前傾姿勢にならないためには、猫背にならないように軽くあごをひいて背筋を伸ばします。パソコン操作ではモニターの画面を目の高さと合うようにすると更に良いです。
集中する作業では前傾姿勢を取りがちになるため、作業中は1時間に1回は姿勢をとくように心がけると良いです。姿勢をといた時には座っていてもできる肩周りのストレッチなどを行うと筋肉がほぐれて効果的です。
◎目の疲れ:眼精疲労(
近視や乱視、老眼などの矯正が適切でない場合や、白内障がある場合には、よく見ようと目を近づけてみる姿勢を取りがちなので、前傾姿勢となり肩や首がこることがあります。パソコンの場面を長期間にわたって見ることも眼精疲労の原因になりますので、定期的に他のものをみるような時間を作ってください。
◎顎関節症(がくかんせつしょう)
顎関節症では常に顎のまわりの筋肉がこわばっていることで、あごの関節周囲の痛みだけではなく頭痛なども引き起こします。正常では口を閉じたときに上の歯と下の歯の間には隙間がありますが、集中する作業のときは気がつかないうちに上の歯と下の歯をくっつけて、作業をしている人が多いです。歯を食いしばらなくても、上下の歯が接触しているだけでも頬や側頭部、首周りの筋肉に力が入り顎関節症を引き起こします。このときにこわばる顎周りの筋肉は肩こりや首のこりを引き起こす筋肉でもあります。そのため、顎関節症は肩こりや首のこりの原因になります。集中する作業をする時は口のあたりをたまに気にして、上下の歯の隙間を空けるよう心がけてください。
◎頸椎の病気:変形性頸椎症、椎間板ヘルニア、後縦靭帯骨化症など
頸椎の病気では肩のあたりの感覚を担当する神経が圧迫されることもあり、肩こりの原因になります。これらの病気による肩こりは整形外科での専門的な治療や手術により改善することもあります。肩こりのみではなく首や手の痛み、しびれなどがある場合には頸椎の病気の可能性がありますので、一度整形外科で調べてもらって下さい。
睡眠不足(寝不足)
寝不足になると筋肉は常に緊張した状態になります。筋肉のこわばりから肩こりや首のこりが起こり緊張型頭痛を引き起こします。それだけではなく睡眠不足では筋肉の痛みにも敏感になります。睡眠不足があると筋肉が常に緊張した状態で過剰な痛みの感覚が脳に送られることで、脳の痛みを感じる感覚が敏感になります。脳が痛みの感覚に敏感になると、通常は痛みを感じない程度の筋肉の緊張でも痛みを感じて頭痛を感じやすくなり、さらに脳に送られてきた過剰の痛みの感覚で、脳の痛みの感覚がさらに敏感になり頭痛が悪化するという悪循環を引き起こします。
肉体的ストレス:疲れ
精神的なストレスのみではなく、肉体的なストレスを引き起こすような過度な疲れ自体も緊張型頭痛の原因になります。過度な疲れがあると筋肉の痛みに敏感になり、過剰な痛みの感覚が脳に送られることで、脳が痛みに対して敏感になります。脳が痛みの感覚に敏感になると、通常は痛みを感じない程度の筋肉の緊張でも痛みを感じて頭痛を感じやすくなり、さらに脳に送られてきた過剰の痛みの感覚で、脳の痛みの感覚がさらに敏感になって頭痛が悪化します。
精神的ストレス
緊張型頭痛の多くは頭痛が起こる前に大きなストレスがあります。精神的な緊張は筋肉の血流を悪くさせるため、筋肉がこわばって緊張型頭痛を引き起こします。精神的なストレスがあると、筋肉の痛みに脳が過敏になると考えられています。脳が痛みに対して敏感になるため、通常は痛みを感じない程度の筋肉の緊張でも頭痛を感じやすくなります。
うつ
緊張型頭痛ではうつ病や抑うつ状態を合わせて持っている人もいます。うつがある場合の頭痛の原因は首や肩のこりだけではなく、脳が痛みに対して過敏になることも原因と考えられています。ただやる気が出ないだけではなく、だるくて動けない、睡眠もとれないなどの場合はうつの可能性もあります。うつの場合は精神科や心療内科での治療が必要です。うつ病について心配なことがあれば精神科や心療内科を受診して、診断や治療をうけることをお勧めします。
2. 緊張型頭痛の症状を悪化させるもの
緊張型頭痛はストレスや肩こりが原因になって頭痛を引き起こしますが、症状を悪化させる原因として痛み止めの乱用があります。痛み止めの乱用によって薬物乱用性頭痛を引き起こし、頭痛が治りにくくなります。この頭痛について説明します。
痛み止め(鎮痛薬)の乱用
痛み止めの薬を乱用することで頭痛が治りにくくなることや、症状が強くなることがあります。頭痛の原因は市販薬や処方された薬を決められた回数や量以上に使うことです。このような薬物の乱用によって起こる頭痛を薬物乱用頭痛とよびます。
薬物乱用頭痛は1ヶ月に15日以上の頭痛があり、3ヶ月以上に渡って1種類以上の頭痛薬を定期的に乱用している状態で起こりやすく、薬を飲んでいる間にも頭痛が起こり、場合によっては悪化します。「薬を飲んでも効かなくなった」と感じる場合には薬物乱用頭痛の可能性がありますので、医療機関で相談してください。
薬物乱用頭痛の原因となる病気は片頭痛が多いですが、緊張型頭痛でも慢性緊張型頭痛や繰り返し頭痛
NSAIDsなどの痛み止めの薬は処方された薬以外でも、市販薬(OTC医薬品)として購入できるため、ついつい多めに使ってしまいそうになりますが、決められた回数や量を超えての使用は避けて下さい。
またカフェインが含まれている鎮痛薬は効果が高い反面、依存性があり特に注意が必要です。市販薬の中にも例えば「ACE処方(ACE:この場合、アセトアミノフェン、カフェイン、エテンザミドの頭文字を合わせた言葉)」といってカフェインを含む鎮痛薬が多く販売されているため、購入時に専門家から話をよく聞いて適切に選ぶことが大切です。
薬物乱用頭痛の治療はつぎの通りです。
- 原因薬剤の中止(原因となっている薬剤を2ヶ月間中止する)
- 薬剤中止後に起こる頭痛や吐き気・嘔吐などへの対応
- 頭痛発作自体を予防する方法(頭痛予防薬の使用)
まず原因薬物を2ヶ月以上中止します。原因薬物の中止後、反動で頭痛(反跳頭痛、離脱頭痛)や吐き気・嘔吐などが起こる場合があります。これに対しては通常、原因薬物以外の治療薬で対処します。繰り返し起こる頭痛に対して鎮痛薬を乱用することが原因ですので、頭痛発作自体が起こりにくくなるように予防薬の調整が行われます。