こうじゅうじんたいこつかしょう
後縦靭帯骨化症
首の骨を支えている「後縦靭帯」という靭帯が骨のようになり、脊髄や脊髄から分かれる神経を圧迫する病気。
5人の医師がチェック 125回の改訂 最終更新: 2026.08.31 斎木 寛・医師

後縦靭帯骨化症の基礎知識

POINT 後縦靭帯骨化症とは

椎体(背骨の一部)の後ろ側にある靭帯(後縦靭帯)が骨のように硬くなってしまう病気です。硬くなった靭帯の影響で神経が圧迫されて、運動や感覚に障害が現れます。発病には遺伝が関係されているとされており、厚生労働省から難病に指定されています。運動麻痺(手足の動かしにくさなど)や感覚障害(手足のしびれや感覚の鈍さ)、排尿・排便障害(尿意や便意を感じなくなる)などさまざまな形で症状が現れます。後縦靭帯骨化症が疑われる場合は、レントゲン検査やCT検査、MRI検査といった画像検査が行なわれます。コルセットでの首の固定や薬物療法などが治療として行なわれ、症状が重い場合は手術が検討されます。手足のしびれや動かしにくさなどの原因は後縦靭帯骨化症の可能性があります。脳神経外科や神経内科、整形外科を受診してください。

後縦靭帯骨化症について

  • 背骨の後ろ側で脊柱管に沿って走る「後縦靱帯」が骨のように硬くなり、脊髄や神経根を圧迫する病気
  • 骨化があっても症状がないことがある
  • 脊髄や神経根が圧迫されると、手足のしびれや痛み、手の動かしにくさ、歩行障害などが起こる
  • 原因は明らかになっていない
    • 遺伝的な背景が関係すると考えられている
    • 糖尿病肥満などの代謝異常、脊椎への力学的負荷などとの関連も報告されている
  • 日本では3%の人に頸椎の後縦靱帯骨化症が見られる
    • 男性に多い
    • 50歳前後で発症することが多い
  • 後縦靱帯骨化症は指定難病であり、一定の条件を満たす場合には医療費助成の対象となる

後縦靭帯骨化症の症状

  • 主な症状
    • 運動麻痺:腕が動かしにくい、指先の細かい動きができない、十分に力が入らない
    • 感覚障害:手足のしびれ、感覚が鈍くなる
    • 排尿障害排便障害:尿や便を思うように出しにくくなる
  • 後縦靱帯が骨化していても、症状がないこともある

後縦靭帯骨化症の検査・診断

  • 診察で神経症状が出ていないか調べる
    • 運動検査:手足に力が入るか、指先を細かく動かせるか、歩行に異常がないかなどを調べる
    • 感覚検査:手足のしびれや感覚の低下がないか調べる
    • 腱反射などを確認し、脊髄が障害されている可能性を調べる
  • 画像検査:首の靭帯の骨化の程度などを調べる
    • レントゲン検査:後縦靱帯の骨化の有無や範囲を調べる
    • CT検査:骨化の形や大きさ、脊柱管がどの程度狭くなっているかを詳しく調べる
    • MRI検査:脊髄がどの程度圧迫されているかや、脊髄に障害を示す変化がないかを調べる

後縦靭帯骨化症の治療法

  • 主な治療
    • 症状が軽い場合には、保存療法を行いながら経過をみる
    • 保存療法
      • 頚椎カラーなどの装具を使用して、首の過度な動きを抑えることがある
      • 痛みなどの症状に対して鎮痛薬を使用することがある
      • 保存療法によって症状が改善することがあるが、骨化そのものをなくすことはできない
  • 手術
    • 手足の動かしにくさや歩行障害などの神経症状が進行する場合や、保存療法で十分に改善しない場合に検討される
    • 前方除圧固定術
      • 首の前方から手術を行い、脊髄を圧迫している骨化した靱帯を取り除いたり、圧迫を解除したりして脊椎を固定する
    • 椎弓形成術(脊柱管拡大術)
      • 首の後方から手術を行い、脊髄が通る脊柱管を広げて脊髄への圧迫を軽減する
    • 骨化の大きさや位置、頚椎の形などによって適切な術式を選ぶ
  • リハビリテーション
    • 神経障害によって低下した筋力や歩行能力などの維持・改善を目指す
    • 手術後には、歩行や日常生活動作を回復するためのリハビリテーションを行う
  • 日常生活での注意
    • 転倒や交通事故などによって首に強い力が加わると、神経症状が急に悪化することがあるため注意する
    • 手足のしびれや動かしにくさ、歩行障害などが新たに現れたり悪化したりした場合は、早めに医療機関を受診する

後縦靭帯骨化症のタグ

後縦靭帯骨化症に関わるからだの部位