けいついこうじゅうじんたいこつかしょう
頚椎後縦靭帯骨化症
首の骨を支えている「後縦靭帯」という靭帯が骨のようになり、脊髄や脊髄から分かれる神経を圧迫する病気。
5人の医師がチェック 115回の改訂 最終更新: 2017.06.15

Beta 頚椎後縦靭帯骨化症のQ&A

    頚椎後縦靭帯骨化症は、どのくらいの頻度で起こる病気ですか?

    男性の約4%、女性の約2%に発症するといわれており、アジア人男性に多くみられます。

    頚椎後縦靱帯骨化症はどのような人に起こりますか?

    原因がわかっていないのではっきりしたことは言えませんが、中高年の肥満男性、糖尿病患者、肉体労働者に多いと言われています。また家族内発症の報告も多く、いくつかの原因遺伝子がわかってきています。

    頚椎後縦靱帯骨化症は、どんな症状で発症するのですか?

    脊椎の可動性が低下し、肩こりや頚部痛がみられることがあります。骨化の面積が大きくなり、脊柱管を圧迫するようになると、その部位に応じた神経の症状がでます。頚椎部であれば上肢のしびれや痛み、進行すると巧緻運動障害(細かい動きの障害)や下肢の痙性(つっぱり感)にともなう歩行障害が出現します。胸椎部であれば体幹以下のしびれや痛み、下肢の痙性がみられます。腰椎部では腰部脊柱管狭窄症と同様の症状がみられることが多いです。

    頚椎後縦靭帯骨化症が重症化すると、どのような症状が起こりますか?

    神経の圧迫が高度になると、圧迫部位より下での完全麻痺(運動障害・知覚障害)に至ることがあります。

    頚椎後縦靱帯骨化症は、どのように診断するのですか?

    一般的な整形外科での神経診察(筋力検査や知覚検査)によって神経障害の程度を確認し、レントゲン検査で診断します。CTによる骨化の確認や、MRIによる神経圧迫の確認も有用です。

    頚椎後縦靭帯骨化症と診断が紛らわしい病気はありますか?

    頸椎症性脊髄症、頚椎椎間板ヘルニアといった、神経を圧迫する病気は同様の症状を示します。また、黄色靭帯骨化症という病気は脊柱管の後方にある黄色靭帯が骨化する病気であり、後縦靱帯骨化症と同様に特定疾患に指定されています。こちらは胸椎部に多く発症する疾患で、進行すれば同様の症状を示します。

    頚椎後縦靭帯骨化症の治療法について教えて下さい。

    症状が軽度であれば内服治療や牽引治療、頚椎カラー装着が有用な場合もありますが、骨化巣を縮小させる効果はなく、進行すれば手術治療が必要になります。

    頚椎後縦靭帯骨化症の手術治療にはどのようなものがありますか。

    物理的な神経の圧迫を取り除く必要があります。頚椎部の小さな圧迫や、いくつかの椎間にわたる圧迫であれば後方の皮膚を切開し、脊柱管の後方の骨を削る除圧術が選択されることが多いです。これにより神経を後方へ逃がすことができます。骨化巣がくちばし状に尖った場合や、圧迫範囲が2-3椎間にとどまる場合、頚椎の後弯変形(背中側が凸になっている場合)には前方から椎体および骨化巣を直接けずり、腸骨などを移植して金属のプレートとボルトで固定する前方除圧固定術が選択されます。

    頚椎後縦靭帯骨化症は、再発を予防できる病気ですか?

    残念ながら再発を予防する方法はわかっていません。手術をしたとしても他の部位に骨化が生じて神経を圧迫し、再手術が必要となることがあります。若年者の方の再発が多いと考えられています。

    頚椎後縦靭帯骨化症に関して、日常生活で気をつけるべき点について教えて下さい。

    後縦靱帯骨化症に限らず、脊髄に圧迫がある方の場合には、転倒などの外傷をきっかけとして脊髄損傷を発症することがあります。症状がなかったとしても、年齢や活動性、圧迫の程度を考慮して予防的な手術を行う場合があります。

    頚椎後縦靭帯骨化症は、完治する病気ですか?あるいは、治っても後遺症の残る病気ですか?

    神経の圧迫が強く、手術前の麻痺が高度であれば完全な回復は困難です。これも後縦靭帯骨化症に限らず、神経を圧迫する病気には共通します。現代の医学では神経の圧迫を取り除くことはできても神経自体を新しい物と交換したり、神経のダメージを治す方法がわかっていないからです。手の痺れや動かしにくさがあれば、早めの病院受診が大切です。