三叉神経痛の基礎知識
POINT 三叉神経痛とは
三叉神経痛は顔を走る三叉神経という神経の異常で、顔面の片側に強い痛みが生じる病気です。顔面片側に痛み・しびれが出るのが特徴です。 診断を確定するために、頭部MRI検査・血液検査などを行います。まずは内服薬で治療を試みますが症状が治まらないときは三叉神経ブロック(注射)・放射線治療などを行います。顔面片側に痛み・しびれなどの症状が出た場合は医療機関にかかって下さい。その際は神経内科やペインクリニックにかかることをおすすめします。
三叉神経痛について
三叉神経痛の症状
- 顔面の片側の痛み
- 痛みは突然現れて、一瞬から10秒程度続くことが多い
- 強い痛みで、しばしば以下のように表現される
- 電気が走るような激痛
- 針で突かれるような痛み
- ある動作(洗顔、化粧、髭剃り、食事など)をきっかけに痛みが誘発されることが多い
- 主に目よりも下側(頬からあごにかけて)に痛みが生じる
- 眉の付け根、鼻の付け根の外側、口の端の下側などを押した時に痛みが生じやすい(神経の通り道があるため)
三叉神経痛の検査・診断
- 画像検査
MRI :神経がどこで圧迫されているかを調べる
- 血液検査
ヘルペスウイルス に感染したこと(帯状疱疹)が原因となることがあるため、ウイルス 抗体 の有無を調べる
三叉神経痛の治療法
- まずは
内服薬 で治療を試みる- 抗てんかん薬のうち神経痛にも効き目のあるものを使う(カルバマゼピンなど)
- カルバマゼピンは眠気やふらつきなどの副作用が出やすい
- 神経痛に効くプレガバリンも用いられる
- 抗てんかん薬のうち神経痛にも効き目のあるものを使う(カルバマゼピンなど)
- 症状が治まらないときは他の治療法を行う
- 三叉
神経ブロック - 三叉神経に麻酔薬を注射したり、風船で圧迫したり、熱で神経に軽い障害をあえて起こすことで痛みを改善させる
- 効果は半年から2年ほど続くことが多く、効果が切れてきたら再度行うことが可能
- ただし、顔のしびれや感覚が鈍くなるといった
合併症 があり、後遺症として残るリスクがある
放射線治療 - ガンマナイフなどで放射線を集中して三叉神経に当てることで、痛みを改善させる
- 手術
- 頭の中で神経を圧迫している血管が見つかれば、圧迫しないように血管をどけることで症状が改善する
対症療法 (痛み止め)ではなく根本治療に当たるため効果は高いが、それでも数パーセントで再発する- 手術の直後から痛みが緩和されるが、楽になるまでに1-2週間かかることもある
三叉神経痛に関連する治療薬
カルバマゼピン製剤
- 脳内神経の過剰な興奮を抑えることで、てんかん、躁状態などを改善する薬
- てんかん、躁病などは脳内神経の異常な興奮などによっておこるとされる
- 脳内で神経細胞への興奮性シグナルとしてナトリウム(Na)イオンなどがある
- 本剤はNaイオンの通り道であるNaチャネルを阻害し、神経細胞の興奮を抑える作用をあらわす
- てんかん、躁病の他、三叉神経痛などの神経性疼痛の改善などで使用する場合もある
三叉神経痛の経過と病院探しのポイント
三叉神経痛が心配な方
三叉神経痛は、顔面の片側の痛みやしびれが特徴的です。このような症状があって三叉神経痛がご心配な方は、お近くの神経内科、または脳神経外科の受診をお勧めします。三叉神経痛はそれほど珍しい病気ではないため、これらの科の医師であれば診断や薬物治療を行うことが出来ます。ただし、手術が必要であれば、三叉神経痛の手術経験が豊富な脳神経外科専門医がいる病院が望ましいです。
多発性硬化症や脳腫瘍(神経鞘腫)が原因のこともあるので、必要に応じてMRIを撮影してこれらの病気を除外します。診断については、MRIで他の疾患を除外した後、実際の症状などから診断されます。
三叉神経痛でお困りの方
三叉神経痛の治療は、薬物治療が主になります。薬物が効かなければ、ブロック注射が行われることがあります。
一方で、根本治療としては手術というのも一つの選択肢です。手術は脳神経外科医が行いますが、脳神経外科医全員が行えるわけではありません。手術件数の多い脳神経外科専門医、病院で手術を受けることが望ましいです。薬物治療は神経内科、脳神経外科を標榜している病院、クリニックであれば行うことが出来ます。
薬剤である程度痛みがコントロール出来ているのであれば、そのまま薬剤を継続することになります。症状が安定していれば、家の近くの神経内科や脳神経外科、内科のクリニックで処方を継続することが出来ます。
三叉神経痛のタグ
三叉神経痛に関わるからだの部位
