たはつせいこうかしょう

多発性硬化症

脳や脊髄などの中で色々な場所の神経が、障害を受けたり回復をしたりする病気。さまざまな症状が出たり消えたりする。

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13人の医師がチェック 215回の改訂 最終更新: 2017.07.21

多発性硬化症の基礎知識

POINT多発性硬化症とは

多発性硬化症は脳や脊髄の中で色々な場所の神経が障害を受けたり回復したりする病気です。自己免疫疾患の一種です。 診断を確定するために、頭部MRI検査・髄液検査(腰椎穿刺)・誘発電位検査・視力検査などを行います。治療は、症状が現れている期間はステロイドパルス療法を行い、症状が収まっている期間は薬物療法を行います。感覚が鈍くなる・動きにくくなる・視覚障害などの症状が出た場合は医療機関にかかって下さい。その際は神経内科にかかることをおすすめします。

多発性硬化症について

  • 脳や脊髄脳から脊椎の中へ向かって通っている太い神経。脳と体の各部位を行き来する指令を伝える役割をもつなどの中で色々な場所の神経が、障害を受けたり回復をしたりする病気
    • 神経線維を覆っている髄鞘電気信号を伝える神経線維を包む、カバーのような鞘状の構造物(ずいしょう)が破壊される脱髄電気信号を伝える神経線維を包むカバーのような役割をもった髄鞘が、様々な病気や病態の影響で壊れてしまうことという現象が起きる疾患
  • 免疫病原体に対する体の防御システム。何かのきっかけで、免疫が過剰反応している状態がアレルギーで、免疫が自分自身の体を攻撃してしまうのが自己免疫疾患が異常に働いて、自分自身の体を攻撃する自己免疫疾患本来は外敵を倒すために働くはずの免疫が、何らかの異常によって自分の体を攻撃してしまう病気の総称の一種
  • 視神経脊髄炎という病気は、かつて多発性硬化症の一部と考えられてきたが、近年になって別の病気として考えられている
  • 空間的多発:脱髄は脳や脊髄、視神経といった中枢神経系の色々なところに生じる
  • 時間的多発:脱髄はくりかえし生じる
  • 症状は繰り返したり(再発)おさまったり(寛解)する

多発性硬化症の症状

  • 主な症状
    • 感覚が鈍くなる
    • 動きにくくなる
    • 視覚障害
    • 眼球の動かしづらさ
    • しつこいしゃっくりや吐き気
    • 排便、排尿の異常(便秘頻尿排尿のため、トイレに何度も行かなければならない状態。原因は様々であるが、膀胱や尿道、神経に何らかの異常があることで起こる残尿感排尿後にも、尿が出しきれていない感覚のこと。前立腺肥大症や膀胱炎などで生じるなど)
    • 勃起不全
    • 物忘れ
    • レルミット徴候:首を前屈すると、背中に電気が走ったような痛みが起こる
    • 有痛性けいれん:時々、手足や体の一部の筋が勝手に働き、自由がきかなくなることや、痛みが出る
    • ウートフ現象:体温が上昇しているとき(風呂、運動時、室温や気温上昇、湿度上昇などで)、症状が一時的に悪くなる現象
  • 症状が定期的に現れたり消えたりする状態を繰り返すことが多い
    • 症状が出る頻度は、年数回程度の人から数年に一回の人までさまざま
    • 症状が出たり消えたりを繰り返すうちに、回復しきらず徐々に病状が進行していくことが多い

多発性硬化症の検査・診断

  • 主な検査
    • 頭部MRI磁力(電磁波)を用いて、頭の中の状態を調べる検査。脳梗塞の診断などに用いられることが多い検査:脳の状態を詳しく調べる
    • 髄液検査背中側から背骨の間に針を刺して、髄液と呼ばれる液体を採取する検査。脳や脊髄に異常がないかを確認するために行う髄液脳や脊髄の周囲を満たしている体液を検査し、炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出る反応を調べる
    • 誘発電位検査:神経の機能(電気信号の伝導速度)の低下している程度を調べる
    • 視力検査視力を測定する検査。ランドルト環と呼ばれる、アルファベットのCに似た形の向きを答える測定法がある:視力の低下があるか調べる
  • 診断が難しく、総合病院内科、外科、小児科、産婦人科など主要な科が揃っている病院のこと。現在、明確な定義はないや専門の病院で複数の検査を行う必要がある
  • 症状が類似する病気(腫瘍細胞が増殖してできるこぶのようなもの。あまり悪さをしない良性腫瘍と、体に強い害を与えることの多い悪性腫瘍に分類される梅毒脳卒中など)としっかりと区別することが重要

多発性硬化症の治療法

  • 症状が現れている期間(急性期や再発期)の主な治療
    • 症状を抑える治療
      ステロイドパルス3日間などの短期間に期間を限定して、高用量のステロイド薬を使用する治療法。少ない量では効果のない強い炎症にも効果のある場合がある療法:一時的に炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るを抑える治療であり、根本治療ではない
      ・血液浄化療法(血液から病気に関係する悪いものを取り除く方法)
  • 症状が治まっている期間(寛解期)の主な治療
    • 症状を出にくくするための治療
      インターフェロン体内で生成されるタンパク質のひとつで、感染などが原因で生じる炎症を調整(抑制したり増強したり)する作用をもつもの:多くの場合に中心となる薬
      ・フィンゴリモド、ナタリズマブ:近年一部の施設で使われ始めている薬
  • リハビリテーション
    • 運動や感覚の麻痺神経の障害により、手足などに十分な力が入らない、感覚が鈍くなるなど、身体機能の一部が損なわれることによって日常生活が障害されるため、その改善を目的にリハビリを行う
  • 想定される経過
    • 症状の再発を繰り返しながら何年も過ごす場合と、あるタイミングで症状が消えずに重い後遺症が出る場合とがある

多発性硬化症に関連する治療薬

副腎皮質ホルモン(ステロイド内服薬・注射薬)

  • 抗炎症作用、免疫抑制作用などにより、アレルギー性疾患、自己免疫疾患、血液疾患などに効果をあらわす薬
    • 副腎皮質ホルモンの一つのコルチゾールは抗炎症作用、免疫抑制作用、細胞増殖抑制作用、血管収縮作用などをもつ
    • 本剤はコルチゾールを元に造られたステロイド薬
  • 本剤は薬剤のもつ作用持続時間によって、(作用の短い順に)短時間作用型、中間型、長時間作用型に分けられる
  • 本剤は多くの有益の作用をもつ反面、副作用などに注意が必要となる
    • 副作用の軽減目的のため、抗菌薬や胃薬などを併用する場合もある
副腎皮質ホルモン(ステロイド内服薬・注射薬)についてもっと詳しく

フィンゴリモド製剤

  • リンパ球の血液中への移出抑制作用などにより髄鞘の破壊などを抑える薬
    • 多発性硬化症(MS)はリンパ球が中枢(脳や脊髄)へ移行し神経線維を覆う髄鞘が破壊させる脱髄により様々な障害があらわれる
    • リンパ球はS1P1受容体というものを介して血液中へ移出し中枢へ移行する
    • 本剤はS1P1受容体へ結合することでこの受容体を障害(内在化や分解)することでリンパ球の血液中への移出を抑制する
フィンゴリモド製剤についてもっと詳しく

ナタリズマブ(ヒト化抗ヒトα4インテグリンモノクローナル抗体)

  • 白血球の中枢(脳や脊髄)への移行を抑制し神経線維を覆う髄鞘が破壊されることなどを抑制する薬
    • 多発性硬化症はリンパ球などの白血球が中枢へ移行し髄鞘が破壊される脱髄により様々な障害があらわれる
    • 白血球の中枢へ移行にはα4β1インテグリンとVCAM-1という物質間での相互作用が関与する
    • 本剤はα4β1インテグリンとVCAM-1における相互作用を阻害することで白血球の中枢神経系への移行を抑制する作用などをあらわす
ナタリズマブ(ヒト化抗ヒトα4インテグリンモノクローナル抗体)についてもっと詳しく

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