フィンゴリモド製剤
リンパ球上に発現しているS1P1受容体に結合し血液中への移出を抑制することで、リンパ球の中枢神経系への移行抑制作用などをあらわし多発性硬化症における神経障害作用などを抑える薬
同義語:
多発性硬化症治療薬

フィンゴリモド製剤の解説

フィンゴリモド製剤の効果と作用機序

  • リンパ球の血液中への移出抑制作用などにより髄鞘の破壊などを抑える薬
    • 多発性硬化症(MS)はリンパ球が中枢(脳や脊髄)へ移行し神経線維を覆う髄鞘が破壊させる脱髄により様々な障害があらわれる
    • リンパ球はS1P1受容体というものを介して血液中へ移出し中枢へ移行する
    • 本剤はS1P1受容体へ結合することでこの受容体を障害(内在化や分解)することでリンパ球の血液中への移出を抑制する

フィンゴリモド製剤の薬理作用

多発性硬化症(MS)はリンパ球が血液中へ移出し中枢(脳や脊髄)へ移行し神経線維を覆うミエリン(髄鞘)が破壊される脱髄により、感覚の鈍麻、動作異常、視覚異常などがあらわれる自己免疫疾患。

リンパ球はリンパ球上に発現しているスフィンゴシン1-リン酸受容体1型(S1P1受容体)を介して血液中に移出する。

本剤の成分は体内でリン酸化された後、S1P1受容体に結合しこの受容体を、細胞内へ引き込んだり(内在化)、分解したりすることでリンパ球の血液中への移出を抑制しリンパ球の中枢神経系への移行抑制作用により脱髄を抑制する。また本剤の成分(フィンゴリモド)自身も中枢神経系への移行性をもち、これによっても脱髄や神経細胞の障害などを抑制する作用をあらわす。

フィンゴリモド製剤の主な副作用や注意点

  • 感染症
    • リンパ球減少などにより細菌ウイルスなどによる感染症があらわれる場合がある
  • 精神神経系症状
    • 頭痛、めまい、眠気などがあらわれる場合がある
  • 消化器症状
    • 下痢、吐き気、胃炎、腹痛、口内炎などがあらわれる場合がある
  • 循環器症状
    • 心拍数低下に伴う徐脈(徐脈性不整脈)などがあらわれる場合がある
    • 投与初期は特に自動車の運転など危険を伴う機械の作業に注意が必要となる

フィンゴリモド製剤の一般的な商品とその特徴

イムセラ、ジレニア

  • 徐脈不整脈などに関する注意
    • 投与初日はバイタルサインの確認を行うなど特に注意する