ナタリズマブ(ヒト化抗ヒトα4インテグリンモノクローナル抗体)
神経を障害する因子となる白血球の中枢への移行を抑制し、多発性硬化症の病巣形成を抑制する作用などをあらわす薬

ナタリズマブ(ヒト化抗ヒトα4インテグリンモノクローナル抗体)の解説

ナタリズマブ(ヒト化抗ヒトα4インテグリンモノクローナル抗体)の効果と作用機序

  • 白血球の中枢(脳や脊髄)への移行を抑制し神経線維を覆う髄鞘が破壊されることなどを抑制する薬
    • 多発性硬化症リンパ球などの白血球が中枢へ移行し髄鞘が破壊される脱髄により様々な障害があらわれる
    • 白血球の中枢へ移行にはα4β1インテグリンとVCAM-1という物質間での相互作用が関与する
    • 本剤はα4β1インテグリンとVCAM-1における相互作用を阻害することで白血球の中枢神経系への移行を抑制する作用などをあらわす

ナタリズマブ(ヒト化抗ヒトα4インテグリンモノクローナル抗体)の薬理作用

多発性硬化症(MS)はリンパ球が血液中へ移出し中枢(脳や脊髄)へ移行し神経線維を覆うミエリン(髄鞘)が破壊される脱髄により、感覚の鈍麻、動作障害、視覚異常などがあらわれる自己免疫疾患。

リンパ球などの白血球細胞が中枢へ移行するには血液脳関門を通過することが必要となるが、この通過には白血球(白血球炎症細胞)の表面に発現しているα4β1インテグリンという物質と血管内皮細胞表面にあるVCAM-1という接着部分子との相互作用が関与している。この相互作用を阻害することで白血球の中枢神経系への侵入を防ぐことが期待できる。

本剤はヒトインテグリンα4サブユニットに特異的に結合し、α4β1インテグリンとVCAM-1との相互作用を阻害し白血球の中枢神経系への移行を抑制することで多発性硬化症の病巣形成抑制作用をあらわすとされる。また本剤は病巣で進行している炎症反応を抑制する作用をあらわす可能性があるとされる。

本剤は特定物質に結合する抗体として造られたモノクローナル抗体となる。

ナタリズマブ(ヒト化抗ヒトα4インテグリンモノクローナル抗体)の主な副作用や注意点

  • 精神神経系症状
    • 頭痛、めまいなどがあらわれる場合がある
  • 全身症状
    • 疲労感、発熱などがあらわれる場合がある
  • 消化器症状
    • 吐き気・嘔吐、下痢などがあらわれる場合がある
  • 過敏症
    • 発疹蕁麻疹、血圧変動、胸痛、呼吸困難などがあらわれる場合がある
  • 感染症
    • 日和見感染症、ヘルペスなどの感染症があらわれる場合がある
  • 進行性多巣性白質脳症
    • 頻度は非常に稀だが、麻痺、認知機能障害(物忘れ など)、しゃべりにくい、視覚障害などがあらわれた場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する

ナタリズマブ(ヒト化抗ヒトα4インテグリンモノクローナル抗体)の一般的な商品とその特徴

タイサブリ

  • 投与方法などに関して
    • 通常、4週に1回、1時間かけて投与する