しんこうせいたそうせいはくしつのうしょう
進行性多巣性白質脳症
多くの人に潜伏感染しているJCウイルスが、免疫力が低下した時に再活性化して、神経を破壊する病気
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最終更新: 2022.02.28
進行性多巣性白質脳症の基礎知識
POINT 進行性多巣性白質脳症とは
体内に潜んでいるJCウイルスが神経に感染を起こし破壊する病気です。多くの人は体内にJCウイルスを持っていますが、ほとんどの人で進行性多巣性白質脳症は起こりません。進行性多巣性白質脳症は免疫機構が弱った人に起こります。主な症状として認知機能の低下・四肢麻痺・失語・視覚の異常・構音障害が出現し、進行すると寝たきりで動くことや喋ることができなくなります。 髄液検査やMRI検査を行って診断します。JCウイルスに対する特効薬はありません。HIV感染症が原因となっている場合は抗HIV薬を用いて治療します。進行性多巣性白質脳症が心配な人や治療したい人は、感染症内科や脳神経内科を受診して下さい。
進行性多巣性白質脳症について
- 多くの人に
潜伏感染 しているJCウイルス が、免疫 力が低下した時に再活性化して、神経を破壊する病気- 日本人の70%以上でJCウイルスの感染を経験している
- 免疫機能が正常であればJCウイルスが進行性多巣性白質脳症を起こすことはほとんどない
HIV 感染、血液がん 、膠原病 、自己免疫疾患 、免疫抑制薬を使用している場合などに生じやすい
発症 頻度は1年あたり1000万人に1人程度- 4年半で患者数は58人(2007年4月から2011年10月)と報告されている
進行性多巣性白質脳症の症状
初発 症状 四肢麻痺 - 認知機能障害
失語 - 視覚の異常
- その後、
構音障害 、嚥下障害、不随意運動 、脳神経麻痺 など症状が進行し、寝たきりで無動無言状態になる
進行性多巣性白質脳症の検査・診断
- 主な検査
MRI 検査髄液検査 :JCウイルス を検出する
- 副腎白質ジストロフィー、HIV脳症、サイトメガロウイルス脳炎などの除外が必要となる
進行性多巣性白質脳症の治療法
- JC
ウイルス に対する治療法はないため、免疫 力の回復が重要となる- 治療に伴い免疫が回復するとJCウイルスを排除しようと免疫反応が起こり、一時的に
症状 の悪化が見られることがある
- 治療に伴い免疫が回復するとJCウイルスを排除しようと免疫反応が起こり、一時的に
HIV が基礎疾患 の場合、その治療を行う- HIVを治療するとさらに症状が悪化することがある(免疫再構築症候群)
- 想定される経過
- HIVが基礎疾患の場合、中央生存期間は1.8年
- その他の場合、中央生存期間は3か月程度
進行性多巣性白質脳症のタグ
進行性多巣性白質脳症に関わるからだの部位


