ばいどく
梅毒
梅毒トレポネーマという細菌による感染。ほとんどが性感染症
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最終更新: 2022.03.04
梅毒の基礎知識
POINT 梅毒とは
梅毒は古くからある病気です。梅毒トレポネーマという細菌が、膣や口などの粘膜から体内に侵入して感染が起こります。梅毒の進行具合によって症状が変わりますが、発熱や倦怠感(だるさ)や全身の皮疹などが出てから、症状の出ない潜伏期に入ります。たいていの場合に潜伏期は数年から数十年あり、その後は神経や動脈に症状が出てきます。梅毒は性行為で広まる感染症(性感染症)ですので、自覚がない場合には感染が広まってしまうこともあります。そのため、日頃からコンドームを使用した性行為(Safer Sex)を心がけることが大切です。 検査は血液検査や培養検査を行います。また、治療は古くから使われているペニシリン系抗菌薬を用います。病状が進む前に治療すれば後遺症が残ることはありませんので、疑わしいなと思った場合には早めに医療機関にかかって下さい。感染症内科・内科・泌尿器科などにかかることが望ましいです。
梅毒について
- 梅毒トレポネーマという
細菌 による感染 - 梅毒の歴史
- 古くは15世紀には世界で広まったことが分かっており、16世紀には日本でも梅毒が認識されていた
- 感染の仕方は以下の通り
- 梅毒トレポネーマが、性器や口などの粘膜や皮膚を通じて体内に侵入することが梅毒感染の原因となる
- 侵入した梅毒トレポネーマは、リンパ液や血液の流れに乗って全身へ細菌が広がる
- 感染経路
- 性行為による感染が主な原因
- まれに
母子感染 や輸血血液が原因となる場合もある
- 病状の進行は潜伏期を挟んで1期から4期に分けられる
- 1期梅毒:痛みのないしこりができる、感染力の高い時期
- 2期梅毒:全身に菌が広がり、広い範囲に
症状 が出る - 潜伏期:症状が落ち着き、感染力がなくなる時期
- 3期梅毒:全身や身体の深部に症状が出るようになる
- 4期梅毒:脳や神経(神経梅毒)、血管に重篤な機能障害が出る場合もある
- 梅毒の症状や治療の解明が進んでいる現在では、症状が第3期まで至るのはまれ
梅毒の症状
梅毒の検査・診断
- 身体
所見 - 梅毒を疑うような上記の
症状 がないかを確認する
- 梅毒を疑うような上記の
- 血液検査
- TP法(FTA-ABS法、TPHA法など)やSTS法(RPR法、VDRLテストなど)といった梅毒の特殊な検査法で、血液中の
抗体 を確認する
- TP法(FTA-ABS法、TPHA法など)やSTS法(RPR法、VDRLテストなど)といった梅毒の特殊な検査法で、血液中の
細菌 学的検査潰瘍 などの症状がある部分から細菌を取り出して顕微鏡で観察する
梅毒の治療法
- ペニシリン系
抗菌薬 を用いる- ペニシリンが使用できない場合には、テトラサイクリン系抗菌薬(ドキシサイクリン)・セフェム系抗菌薬(セフトリアキソン)・マクロライド系抗菌薬(アジスロマイシン)を用いる
- 早期の梅毒であれば治療期間は2週間程度
- 主な予防と再発防止
- 性交の際はコンドームを正しく使用して感染を防ぐ
- 不特定多数との性交を行わないようにする
- 梅毒であるとわかった場合には、性交を行ったパートナーも検査と治療が必須
- 初期段階での治療が早ければ治る病気であり、後に障害が残ることもない
- 晩期梅毒の段階で生じた脳や心臓などの機能障害が出た場合は、後遺症が残ることがほとんどである
梅毒に関連する治療薬
ペニシリン系抗菌薬
- 細菌の細胞壁合成を阻害し細菌に殺菌的に抗菌作用をあらわす薬
- 細胞壁という防御壁をもつ細菌はこれがないと生きることができない
- 細菌の細胞壁合成に深く関わるペニシリン結合タンパク質(PBP)というものがある
- 本剤は細菌のPBPに作用し細胞壁合成を阻害することで抗菌作用をあらわす
- 同じペニシリン系でも薬剤によって抗菌作用の範囲が大きく異なる場合がある
- 天然型ペニシリン、アミノペニシリン、緑膿菌に対して抗菌作用を有するペニシリンなどがある
梅毒が含まれる病気
梅毒のタグ
梅毒に関わるからだの部位

