粉瘤とはどんな病気なのか:原因や症状の特徴を部位別(耳たぶ・顔・脇・背中・おしり・陰部)で説明
粉瘤の原因は皮膚の一部が袋状にめくれて中に老廃物がたまることです。ストレス・タバコなどは原因とは考えられてはいません。耳たぶや脇、背中など身体のどこにでも粉瘤はできます。不潔にすると
1. 粉瘤とはどんな病気なのか?
粉瘤(ふんりゅう)は医学的には表皮嚢腫(ひょうひのうしゅ)と呼ばれ、よくある皮膚の病気です。アテローム、粉瘤腫、類表皮嚢腫とも呼ばれます。皮膚にいぼのようなものができることから、「脂肪の塊(かたまり)ができた」と表現する人も少なくありません。
2. 粉瘤の症状について:見た目やできる場所など
上図が典型的な粉瘤の写真です。特徴についてまとめると、以下のようになります。
【粉瘤の見た目の特徴】
- 皮膚がドーム状に盛り上がっている
- 大きさは数mmから10cm以上までさまざま
- 真ん中に小さな黒い点(へそ)が見える
- 押すと白か黄色のドロドロした臭い
膿 が出る
写真では不鮮明ですが、よく見ると、開口部と呼ばれる黒い点があります。開口部と
粉瘤ができる場所について
粉瘤のできる可能性がある場所は次の通りです。
【粉瘤ができる部位】
- 頭
- 顔面
- 耳たぶや耳の裏
- 背中
- おしり
- 胸
- お腹
- 手足
- 脇
- 股の間、陰部
「身体のどこにでもできるな」と、印象をもったかもしれません。その通りで、粉瘤は身体のどこにでもできます。
粉瘤の原因は皮膚が袋状にめくれることですが、小さな変化なので皮膚・毛穴がある部位(場所)にはどこでも生じる可能性があるからです。たとえば、女性の
関連記事:皮膚のどこにでもできる「粉瘤」、こんなところにも(参照文献:Int J Surg Case Rep. 2015 Jan 21)
関連記事:25歳男性の左胸が膨らんできた…その驚きの正体とは?(参照文献:BMJ Case Rep. 2015 Dec 7)
粉瘤の見た目以外の症状について
通常、粉瘤は見た目以外に痛みなどの症状はありません。
そのため、放置していても多くの場合は問題ありませんが、見た目は気にする人は少なくありません。
また、粉瘤が感染を起こすと、粉瘤の周りが赤く腫れたり、痛むようになり、嚢胞の中には膿がたまって強い悪臭を放ちます。このような粉瘤は感染性粉瘤と呼ばれ治療が必要です。ですので、無症状であっても、見た目や感染を問題だと考える人は早めに治療をしてもよいです。なお、感染性粉瘤については、「においや痛みがある感染性(炎症性/化膿性)粉瘤の治療」で詳しく説明しています。
3. 粉瘤の原因について:ストレスや喫煙、不潔とは関係があるのか?
粉瘤は皮膚の一部が袋状にめくれることによって起こる病気です。
言葉だけではイメージがつかみにくいと思うので、まず粉瘤の断面を図示します。
毛穴の部分で皮膚が内側にめくれかえり、皮膚の下に、嚢胞(のうほう)と呼ばれる袋ができます。
嚢胞の壁は皮膚でできているので、通常の皮膚と同じように角質や皮脂などの老廃物が嚢胞の内側にはがれおちます。老廃物には逃げ場がないので、嚢胞の中に溜り続けていきます。そして、時間が経つにつれて溜った老廃物が少しずつ大きくなっていきます。
ストレスやタバコ(喫煙)が粉瘤の原因になるかと心配する人が少なくありません。ストレスやタバコが皮膚のめくれ返りの原因にはならないと考えられているので、粉瘤との関係もないと考えてよいです。
また、皮膚を不潔にすることが粉瘤の原因と考える人もいるようですが、関係ないと考えてよいです。ただし、粉瘤を不潔にすると、粉瘤の中での細菌感染が起こしやすくなり、悪臭を伴う膿や痛み、赤みが現れます。皮膚を清潔に保つことは衛生面からみて重要ですので、粉瘤のあるなしに関らず、不潔な状態にならないように気を付けてください。
粉瘤と似た病気はある?
外毛根鞘性嚢腫(がいもうこんしょうせいのうしゅ)や多発性毛包嚢腫(たはつせいもうほうのうしゅ)と呼ばれる病気も粉瘤と同様に、皮膚にいぼのような症状を現します。
いずれも
また、皮膚がんと粉瘤を見間違うことはめったにありません。
外毛根鞘性嚢腫や多発性毛包嚢腫について詳しくは、「粉瘤(アテローム)の見分け方とニキビとの違いについて」をご覧ください。
4. 粉瘤の予防について
最初に述べた通り、粉瘤が起こる原因ははっきりしていません。ですので、残念ながら効果的な予防法はありません。
粉瘤で問題になるのは「見た目」や「感染」です。早期に治療をしておくと、大きくなって目立つことや、感染による臭い・痛みの予防につながります。心配な人は早めに皮膚科を受診してください。