2016.02.12 | コラム

粉瘤とは?ニキビとは違う特徴や治療について

くり抜き法手術など

粉瘤とは?ニキビとは違う特徴や治療についての写真
1.ニキビと顔にできた粉瘤の違い
2.顔にできた粉瘤の治療方法
3.手術後の回復
4.治療の痕は残るのか

粉瘤(ふんりゅう)という皮膚の異常は顔にできることもあります。知らないと「ニキビかな?」と思う人もいるかもしれませんが、まったく違うものです。粉瘤の特徴や治療について説明します。

◆ニキビと顔にできた粉瘤の違い

粉瘤(ふんりゅう)は皮膚にできる異常な構造物で、感染を起こすなどがない限りあまり害はなく、とても多くの人に発生します。知らずに見ると「脂肪の塊」かと思ってしまう人もいます。顔に粉瘤ができると、にきび(尋常性痤瘡)かと思うこともあるかもしれません。しかし、治療方法は全く違います。そこで、にきびと粉瘤の違う点を解説します。

 

粉瘤の表面をよく見ると、にきびとは違う特徴が見つかることがあります。粉瘤にはしばしば「開口部」と言われるごく小さい穴が空いています。見た目は黒い点状に見えて、「ヘソ」などとも呼ばれます。にきびにはこの開口部がないため、開口部が見つかればにきびらしくはありません。ただし、粉瘤の開口部は見分けにくいこともあります。

 

また、触り心地にも違いがあります。粉瘤は、皮膚の中に出来た嚢胞(のうほう)(袋状の構造)の中に老廃物が溜まって膨らみ、皮膚の表面から指でつまめるようなしこりになったものです。にきびの場合もしこり状になることはあるものの、指でつまめるような状態にはなりません。

 

また、粉瘤の中には老廃物が溜まっていきますが、開口部が塞がっているため、表面から見てもしだいに大きくなります。また、粉瘤の嚢胞の内容物は垢や皮脂などの老廃物であるため、何かのきっかけに内容物がこぼれ出て、臭いにおいを感じる場合もあります。

 

粉瘤と見た目が似ていて区別するべきもの(鑑別診断)としては、にきび以外にも、毛母腫、脂肪腫、皮様嚢腫などが考えられます。顔のにきびのよううなものが気になって皮膚科などを受診すると、こうしたほかの病気の可能性も念頭に置いて、診断や治療がなされます。

 

◆顔にできた粉瘤の治療方法

粉瘤は顔にできたものに限らず、治療のメインは外科的治療、つまり手術になりますが、もしも炎症が起きている状態であれば、まずは炎症を抑える治療を優先することがあります。この治療は、膿の貯留が多ければ小さく切開して膿を排出(排膿:はいのう)する方法や、抗生物質の内服などの方法があります。炎症がおさまった段階で手術治療の必要性が検討されます。基本的に、嚢胞を除去しない限り自然治癒はありえないため、手術で嚢胞を取り除くことが推奨されます。

 

手術の方法は主に二種類あります。一つは小切開摘出術で、名前の通り皮膚を小さく切開して中の嚢胞を皮膚ごと摘出する方法です。もう一つはくり抜き法(へそ抜き法)で、パンチ状の道具で粉瘤に丸い穴を開けて内容物を出した上で、嚢胞を除去する方法です。

 

◆手術後の回復

術後の痛みは、傷の大きさにもよりますが、治療当日がピークで、翌日くらいにはおさまっていきます。皮膚を縫合した場合は1週間から10日ほどで傷が癒合(ゆごう:傷がくっつくこと)し、抜糸が可能になります。縫合をせず絆創膏のようなものを貼って覆うこともあり、その場合も1週間から2週間程度で傷がふさがります。

手術の方法や術後処置の方法などによって違いはありますが、手術翌日ごろまで傷を保護し、以後は水で洗うことも可能になります。

 

飲酒はアルコールで血行が良くなり、手術直後には出血のリスクもあると考えられますが、当日から可能と考えられる場合もあります。喫煙は傷の治りを遅らせる可能性があるため、少なくとも手術前から傷が癒合するまでは禁煙することが最善です。いずれも傷の状態により変わりますので、医師の指示に従いましょう。

 

◆手術の痕は残るのか

治療方法が何にせよ、数日や数週間で傷が綺麗になくなるわけではありません。小さい粉瘤なら手術の傷痕も小さく済みますが、場所や皮膚の状態などによっていくらかの傷痕は残ります。色素沈着が残ったり、傷が平らではなかったりと、見た目に傷がわかる状態になる場合もあります。

 

粉瘤というものを見たことがないと「ニキビだろうか」と思うかもしれませんが、特徴、症状、治療法などが全く異なるものです。粉瘤はニキビと違って、自然治癒するものではありません。よりきれいに治すためには、くり抜き法手術などの治療が効果的です。できものを鏡でよく見て、粉瘤の特徴に当てはまると思ったら、皮膚科などを受診する事をおすすめします。

注:この記事は2016年2月12日に公開しましたが、2018年2月22日に編集部(大脇)が更新しました。

執筆者

MEDLEY編集部

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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