ふせいせいきしゅっけつ(ふせいしゅっけつ)
不正性器出血(不正出血)
生理(月経)の時以外に膣や子宮から出血すること
7人の医師がチェック 75回の改訂 最終更新: 2018.08.31

不正性器出血(不正出血)とは?症状、原因、検査、治療など

月経以外の時に鮮血の性器出血が起きたり、おりものが褐色になると病気ではないかと不安になる人が多いと思います。性器出血が通常でも起こるのは、月経、分娩、産褥期の場合で、それ以外は不正性器出血と呼びます。不正性器出血の症状は月経以外に起こる性器出血や、月経の出血量が多いことなどがあります。それぞれの症状やライフステージに応じて不正性器出血の原因が異なり、治療方法が異なります。ここでは不正性器出血の定義から症状、原因、検査、治療などについておおまかに説明します。

1. 不正性器出血(不正出血)とはどんな病気か?

性器出血が通常でも起こるのは、月経、分娩、産褥期(さんじょくき)の場合です。それ以外に起こる性器出血を不正性器出血と呼びます。正常な月経の定義に当てはまらない月経も不正性器出血と呼びます。正常な月経と不正性器出血を区別するためには、正常な月経の定義を知っておく必要があります。ここでは、月経や不正性器出血の定義、月経と不正性器出血の違いについて説明します。

正常な月経(生理)の定義とは?:月経周期、持続日数、経血量(出血量)

不正性器出血とは正常な月経の定義に当てはまらない性器出血のことを言います。不正性器出血を知るためには正常な月経の定義を知る必要があります。

正常な月経は「通常、約1ヶ月間隔で起こり、限られた日数で自然に止まる子宮内膜からの周期的出血」と日本産婦人科学会では定義されています。

具体的な月経周期や出血の持続日数については下記のように定義されています。

  • 月経周期:25日から38日
  • 出血の持続日数:3日から7日
  • 1回の月経での合計の経血量(出血量):20mlから140ml

最も多くの人が経験する月経周期は28日から30日で、1回の月経の持続日数は5日です。経血量は2日目までが多く、3日目以降は量が徐々に減ります。

経血の色については厳密な定義はありませんが、一般的には最初は鮮血ですが、3日目以降は暗い赤色から茶色に変化します。

不正性器出血の定義とは?

月経、分娩、産褥期(さんじょくき)以外に起こる性器出血を不正性器出血と呼びます。産褥期とは妊娠や出産で変化した母体が妊娠前の状態に戻る時期のことで、具体的には分娩後6週間から8週間のことをいいます。月経、分娩、産褥期には正常でも性器出血が起こります。

また、正常の月経の定義に合わない月経も不正性器出血と呼ばれます。例えば、月経の持続日数が長い場合や、月経の出血量が多い場合などは不正性器出血と判断されます。

月経(生理)と不正性器出血の違いは?

性成熟期の女性では周期的に月経があり性器出血を起こします。また、分娩、産褥期にも正常な性器出血があります。正常な性器出血に当てはまらない性器出血は不正性器出血とされます。具体的には、月経(生理)周期以外での出血、通常より多い経血量、通常より長く月経が続くことなどが不正性器出血にあてはまります。

月経周期、月経の持続日数、経血量が正常な月経の定義に当てはまらない場合には、それぞれ下記のように呼ばれます。

  • 月経周期が25日より短い:頻発月経
  • 月経周期が38日より長い:稀発月経
  • 月経の持続日数が2日以下:過短月経
  • 月経の持続日数が8日以上:過長月経
  • 1回の経血量が20mlより少ない:過少月経
  • 1回の経血量が140mlより多い:過多月経

月経周期が25日より短く1ヶ月に何度も月経が起こることを頻発月経と呼び、逆に前の月経開始から38日を過ぎても次の月経が起こらない場合を稀発月経と呼びます。

月経の持続日数が2日以下の場合を過短月経、8日以上続く場合を過長月経と呼びます。月経の終了後に茶色いおりものが数日持続して8日を超える場合には正常と考え、過長月経とは呼ばないことがあります。

1回の月経の経血量(出血量)が20mlより少ない場合には過少月経と呼びます。この場合にはそもそもその出血が月経であるかどうかを判断する必要があります。妊娠に関連した出血を月経と勘違いしている場合があるからです。

1回の月経の経血量(出血量)が140mlより多い場合を過多月経と呼びます。経血量は一般的に月経3日目以降は減少しますが、3日目以降も1日目や2日目と同じ量の場合には過多月経と呼ばれます。実際の経血量を正確に測ることは難しいため、過多月経を疑う症状があって、血液検査で貧血がある場合には過多月経と診断する場合もあります。

2. 不正性器出血(不正出血)の症状

不正性器出血は正常な月経、分娩、産褥期以外に起こる性器出血のことです。月経の時期以外におこる性器出血を不正性器出血と気がつくことはできると思いますが、月経を人と比べることができないため、自分の月経が正常かどうかの判断はなかなか難しいと思います。

日本産婦人科学会の正常な月経の定義にあてはまらない月経は不正性器出血となります。具体的には正常な月経に比べて、つぎのような症状がある場合には不正性器出血を疑います。

  • 経血量(出血量)が多い・少ない
  • 月経(生理)の持続日数が長い・短い
  • 月経(生理)の周期が短い・長い

実際の経血量を調べることは難しいですが、月経3日目以降も出血が多い場合や、月経期間中にレバーのような塊の出血が何度もある場合は経血量が多いことを疑います。反対に、おりもの程度の出血しかない場合や持続日数が2日以下の場合などは、月経量が少ないことも疑われます。月経量が極端に少ないと思われた場合は、月経ではなく妊娠に関連した出血の可能性もあります。1回の月経が8日以上続く場合や、月経周期が25日未満の場合も不正性器出血にあたります。その他にも、月経の経血の色が鮮血であったり、茶色なのが気になることもあると思います。月経に関連した不正性器出血の症状については「月経(生理)異常などの不正出血の症状」に詳しく書いてありますので参考にしてみてください。

月経の時期以外にも、排卵時期、妊娠中、更年期では病気がなくても不正性器出血が起こることがあります。閉経後や性行為後の不正性器出血では、子宮頸がん子宮体がんに注意しなくてはなりません。不正性器出血とともに腹痛やふらふらする症状が起こることもあります。

不正性器出血が起こりやすい更年期や妊娠中の症状や、不正性器出血とともに起こる症状などについては「不正性器出血(不正出血)の症状」に記載してありますので、参考にしてください。

3. 不正性器出血(不正出血)の原因

不正性器出血の原因は年代やそれぞれの状況に応じて様々です。主な原因は次の通りです。

子宮頸管炎細菌やクラミジア、ヘルペスウイルスなどに感染したことで炎症が起こっている状態で、炎症により出血を起こします。卵胞ホルモンエストロゲン)が減少することによって起こる萎縮性膣炎も出血の原因になります。

腫瘍によって起こる不正性器出血では子宮筋腫子宮腺筋症などの良性腫瘍や、子宮頸がん子宮体がんなどの悪性腫瘍が原因になります。

その他には急性白血病特発性血小板減少性紫斑病などの全身が出血しやすくなる病気や、血液を固まりにくくさせる抗凝固薬の内服や、女性ホルモンに影響を与える薬などでも出血を起こします。

女性ホルモンの分泌が不安定な場合にも性器出血が起こりやすくなります。女性ホルモンの分泌調整が未熟な思春期や、女性ホルモンの分泌に変動を起こしやすくなる閉経前などで性器出血が起きます。排卵期にも女性ホルモンの変化で出血を起こす人もいます。その他に妊娠中は様々な原因で出血を起こします。年齢別にも起こりやすい原因は異なります。

不正性器出血の原因については「不正性器出血(不正出血)の原因」に詳しく書いてありますので、参考にしてください。

4. 不正性器出血(不正出血)の検査

不正性器出血の原因を調べるために行われる検査には下記のようなものがあります。

  • 問診
  • 身体診察
  • 血液検査
  • 妊娠反応検査
  • 感染症の検査
  • 病理検査
  • 画像検査
    • 超音波検査
    • 腹部骨盤MRI検査

検査でははじめに問診で不正性器出血の状況や症状などが聞かれます。月経周期なども聞かれますので、自分の月経周期がわかるようにメモなどしておくと良いです。身体診察では性器出血に合わせて腹痛があるか、出血が多くて血圧が急激に下がったりしていないかを確認します。さらに内診が行われて、出血部位や、腫瘍やポリープの有無などを確認されます。思春期以降では妊娠による出血の可能性があるので、多くの場合は尿検査での妊娠反応検査が行われます。予想される不正性器出血の原因によって、血液検査や感染症の検査、子宮頸がん子宮体がんの有無について調べる病理検査、超音波検査などが行われます。検査で不正性器出血の原因や診断について推定して治療が行われます。

検査の方法や内容については「不正性器出血(不正出血)の検査」に詳しく書いてありますので、参考にしてください。

5. 不正性器出血(不正出血)の治療

不正性器出血の治療は原因によって異なります。主な原因とその治療方法は次の通りです。

原因の分類 原因の例 治療の例
炎症 子宮頸管炎 抗菌薬、抗ウイルス
萎縮性膣炎 ホルモン治療
良性腫瘍 子宮筋腫 ホルモン治療、手術
子宮腺筋症 ホルモン治療、手術
悪性腫瘍 子宮頸がん 手術、放射線治療抗がん剤
子宮体がん 手術、放射線治療、抗がん剤
損傷 子宮・膣などの手術後 抗菌薬、止血剤
出血しやすい病気 von Willebrand病、急性白血病 個々の病気に応じた治療
薬剤 抗凝固薬、経口避妊薬(低用量ピル) 薬の中止など薬剤に応じた
治療
女性ホルモンの変動 思春期、更年期 ホルモン治療、手術
妊娠 切迫流産 安静、子宮収縮抑制薬
切迫早産 子宮収縮抑制薬
子宮外妊娠 手術、薬物治療
前置胎盤 安静、帝王切開

不正性器出血の原因は様々であり、その状況に応じて治療が行われます。クラミジアや淋菌の感染などによる炎症による出血の場合には抗菌薬などが用いられます。萎縮性膣炎は卵胞ホルモン(エストロゲン)の減少によって起こるため、エストロゲン腟錠で治療が行われます。子宮筋腫などの良性腫瘍では外科的治療やホルモン治療が行われます。子宮がんなどの悪性腫瘍では、多くは外科的治療が行われますが、状況に応じて放射線治療や薬物治療も行われます。出血しやすい全身の病気は色々なものがあり、von Willebrand病や急性白血病などが出血の原因になります。それぞれの病気に応じて薬物治療などが行われます。抗凝固薬などが原因で不正性器出血を起こした場合には薬剤の中止などが有効な治療方法です。経口避妊薬を飲み始めて初期の不正性器出血は経過観察で改善します。女性ホルモンの分泌が不安定で起こる不正性器出血では経過観察もしくはホルモン治療が主に行われます。出血の程度が強い場合には手術治療が検討されます。妊娠に関連した出血では、妊娠の時期や状況に応じて、安静や薬物治療などの治療が行われます。

それぞれの原因に対応した治療方法については「不正性器出血(不正出血)の治療」を見てみてください。

6. 不正性器出血(不正出血)の注意点

不正出血について知っておいた方が良いこととしては次のようなことがあります。

  • 不正性器出血はどのような人に起こりやすいのか
  • 妊娠中の不正性器出血で注意すること
  • 不正性器出血の予防方法
  • 不正性器出血を経験した人の注意点

不正性器出血は思春期や更年期で起こりやすい症状です。特に更年期はそれまでの月経と周期や日数が変化することに不安を感じる人が多いです。思春期や更年期では女性ホルモンの分泌が不安定であるため性器出血が起こります。多くはホルモンの異常で起こるため心配はいりません。

妊娠中の出血はとても心配になると思います。しかし、妊娠2-3週目に起こる着床時の出血や、妊娠12週までの流産切迫流産に伴う出血の場合にはすぐに医療期間に受診する必要はありません。また37週以降で起こるおしるしと呼ばれる少量の出血が起きた場合でも、陣痛や破水が起こるまで待ってからの受診で構いません。それ以外の妊娠12-37週までの性器出血では早めに受診した方がいい場合がほとんどです。

不正性器出血の予防方法には性感染症を予防することや、がん検診を受けることがあります。不正性器出血を治療した後に再発した場合には、もう一度受診して相談することをお勧めします。

不正性器出血を経験した人が注意すべき点などについては「知っておくべき不正性器出血(不正出血)の注意点」に詳しく記載してありますので、参考にしてください。