とくはつせいけっしょうばんげんしょうせいしはんびょう(アイティーピー)
特発性血小板減少性紫斑病(ITP)
出血を止めるために必要な血小板が免疫の異常によって減少し、出血しやすくなる病気
9人の医師がチェック 118回の改訂 最終更新: 2018.05.23

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の基礎知識

POINT 特発性血小板減少性紫斑病(ITP)とは

血液中に含まれる血小板は、止血において非常に重要な役割を果たしています。特発性血小板減少性紫斑病(ITP)は免疫の異常により血小板が減少し、出血しやすく止まりにくくなる病気です。4歳以下の男児、若年女性、高齢者がかかることが多いです。症状としては、出血しやすい、血が止まりにくい、出血による紫斑(青あざ)ができるなどがあり、重症の場合には粘膜出血(胃腸からの出血、血尿、鼻血の反復)や脳出血などが起こります。診断は採血検査や骨髄検査などを行い、血小板が減少していること、血小板減少を起こす他の病気が無さそうなことを十分に確認して行います。治療としては、感染があればまずはピロリ菌の除菌を行います。追加の治療が必要な場合にはステロイド薬、脾臓摘出術、トロンボポエチン受容体作動薬という薬などの使用を検討します。ITPが心配な方や治療したい方は血液内科を受診してください。

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)について

  • 出血を止めるために必要な血小板が減り、出血しやすくなる病気
  • 患者数は国内で約2万5,000人ほどいるとされる
  • 急性型と慢性型とに分けられる
    • 急性型(小児、特に4歳以下の男児に多い)
      ・何らかの感染後に発症し、数ヶ月以内で自然に治ることが多い
    • 慢性型(大人、特に若年女性や高齢者に多い)
      ・年単位で長期的に血小板が減少した状態が持続する
  • 厚生労働省の特定疾患に指定されている
    • 一定の基準を満たせば治療費の補助を受けられる

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の症状

  • 出血しやすくなったり、血が止まりにくくなる
    • 症状の例
      ・点状の皮下出血(青あざ)が多くできる
      ・歯ぐきや口、鼻の粘膜から出血しやすくなり、なかなか止まらない(粘膜からの出血は重症な血小板減少患者で多い)
    • 尿や便に血が混じる(血尿血便 重症な血小板減少患者で多い)
    • 過多月経(生理の量が多い)
  • 重症な場合は、脳出血などの原因となる
    • ITP患者でも脳出血が起こる頻度はそれほど多くはなく、成人で1%程度、子どもで0.4%程度
    • 関節内や筋肉など、体の深いところで出血することはまれ
    • 成人の慢性ITPでは全く出血症状が無いこともしばしばある

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の検査・診断

  • ITPとただちに診断できるような検査は無い。血小板が減少しており、かつITP以外の病気が隠れていないことを丁寧に調べることでITPと診断する
  • 血小板が減るその他の病気と区別することが必要(以下はその代表例)
  • 視診:皮膚や粘膜などに内出血(斑点)が出ているか観察する
  • 血液検査
    • 白血球赤血球など、他の血液成分に異常がないことを確認する
    • 血小板や赤血球を顕微鏡で確認して、他の病気が隠れていないか調べる(偽性血小板減少症、ベルナール-スリエ症候群、メイ-ヘグリン異常、血栓性血小板減少性紫斑病播種性血管内凝固症候群など)
    • 血小板についている抗体(PAIgG)を調べる
      ・血小板減少をきたす多くの病気で陽性になるので、調べる価値は高くない
    • 合併しやすい病気の有無を調べる(抗リン脂質抗体、抗核抗体甲状腺機能検査、など)
      ITP患者の3-6割で抗リン脂質抗体が陽性となり、陽性の場合は血栓症が増加する
  • 骨髄検査:腰骨や胸の骨を刺して骨髄を採取する検査
  • 細菌検査:採血、呼気試験など
    • ITPが疑われる場合にはまずピロリ菌感染の有無を調べる
      ・ピロリ菌陽性ITP患者の6割は、ピロリ菌を除菌するだけで血小板が回復する
    • HIV感染やC型肝炎の有無を調べる
  • 画像検査:CT検査、MRI検査など
    • 脾臓腫大(脾腫)がないか調べる
    • 隠れている病気の有無を調べる

特発性血小板減少性紫斑病(ITP)の治療法

  • 治療目標は血小板数を正常化することではなく、止血に必要な最小限の血小板を維持することである
    • 血小板数の正常値は15万/μL以上程度
    • ITP治療では3万/μL以上の血小板があり、出血症状が出ないことが目標
  • 主な治療
    • 胃にピロリ菌の感染がある場合
      ・ピロリ菌を除菌するため、胃薬と抗菌薬を1週間内服する
    • ステロイド薬:異常に働いている免疫を抑える
      ・ピロリ菌除菌で血小板が回復しない場合に使用する
      ・8割以上の患者で血小板が回復するが、ステロイドの減量や中止に伴って血小板が再び減少することが多い
    • 脾摘:血小板を破壊する脾臓を手術で摘出する
      ・ステロイドが十分に効かない、あるいは使えない場合に検討する
      ・自然に治るITPの場合があるので、発症後1年以上経過してから脾摘するのが望ましい
      ・短期的には8-9割の患者で有効だが、長期的な有効性は6-7割程度である
      ・脾摘により肺炎球菌などの重篤な感染症にかかりやすくなるので、脾摘前に肺炎球菌ワクチンを接種する
      ・脾摘すると血栓症にかかりやすくなる可能性が指摘されている
    • トロンボポエチン(TPO)受容体作動薬
      ・ステロイドや脾摘の次の選択肢として使われる
      ・皮下注射薬ロミプレート®、内服薬レボレード®などがある
  • 特殊な治療
    • 難治性の場合にはダナゾール、アザチオプリン、シクロスポリン、リツキシマブなどが使用される場合がある
    • 大出血などの緊急時には血小板輸血、免疫グロブリン大量療法(IVIg)、ステロイドパルス療法などが行われる
    • ITPの妊婦が出産する際には、分娩時は普段よりも高めの血小板値(5-8万/μL以上)を目標に治療する
  • 注意すべき点
    • アスピリンなどNSAIDsと呼ばれる種類の解熱鎮痛薬は、血小板の機能を弱くするため、控える(市販薬にも含まれる)
    • 打撲をするようなスポーツ(サッカー、ラグビー、剣道、柔道など)は禁止する
    • 出血を伴う、胃カメラ大腸カメラなどの検査、歯の治療は事前に医師に相談する


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