すいとう(みずぼうそう、みずぼうそう)
水痘(みずぼうそう、水疱瘡)
ウイルスが原因で、全身に分布する水ぶくれを主体とする発疹と発熱を来す疾患
10人の医師がチェック 119回の改訂 最終更新: 2018.03.12

水痘(みずぼうそう、水疱瘡)になるとどういった症状が出るか?

水疱瘡(みずぼうそう、水痘)になると水疱(水ぶくれ)や痂皮(かさぶた)などの発疹が全身に出てかゆくなりますが、1-2週間で良くなります。発熱や倦怠感などの症状を伴うこともあります。水疱瘡の合併症には脳炎、髄膜炎、皮膚感染症などがあります。

1. 水疱瘡に初期症状はある?

発疹の出る1日(24時間)前までの間に、発熱や気分不快、咽頭痛(のどの痛み)、食欲不振などの前兆症状が出ることがあります。これらは風邪などの体調不良時に一般的に良く出る症状ばかりなので、この症状だけが出ている段階で、水疱瘡かどうかを見極めることは出来ません。できるだけ無理はせず栄養と睡眠をしっかりとって、経過をみてください。この段階で病院を受診しても診断はつかないことが多いので、受診を急ぐ必要はありません。水疱瘡と思われる発疹が出たら受診をしましょう。発疹については次に詳しく説明していきます。

2. 水疱瘡で起こりやすい症状について

水疱瘡になると発疹や発熱、倦怠感などの症状が出ます。水疱瘡の発疹の特徴は、紅斑(皮膚の赤み)や丘疹(小さな皮膚の盛り上がり)、水疱(水ぶくれ)、痂皮(かさぶた)といった様々な状態の発疹が同時に現れ、かゆみを伴うことです。

皮膚の症状:発疹・水疱(水ぶくれ)・痂皮(かさぶた)

水疱瘡になるとかゆみのある発疹が出ます。水疱瘡の発疹は、頭や顔、口の中を含む全身に出ます。手足よりは胸やお腹、背中などの体幹に出ることが多いです。

水疱瘡と似た病気のひとつに手足口病があり、手足口病も子供に多く手足に水ぶくれができますが、発疹が出た場所で見分けられることがあります。手足口病は手のひらや足の裏に水ぶくれができるのが特徴です。水疱瘡では普通手のひらや足の裏に発疹は出ません。

水疱瘡の発疹はしだいに見た目が変わり、紅斑(皮膚の赤み)、丘疹(小さな皮膚の盛り上がり)、水疱(水ぶくれ)、痂皮(かさぶた)の順に変化していきます。変化しているうちにも新しい紅斑や丘疹ができてくるので、これらの様々な状態の発疹が同時に現れるのが特徴です。

発疹が出始めてから4日以内には新しい水ぶくれは出なくなります。発疹の多くが6日目までにかさぶたになった後、1-2週間でかさぶたが取れます。

皮膚に赤みや水ぶくれが出てかゆい時、特に今まで水疱瘡にかかったことも予防接種を打ったこともない場合、周りで水疱瘡が流行っている場合には、水疱瘡の可能性があります。小児科か皮膚科で診てもらえます。

発疹が出始めて間もない頃には、病院を受診しても水疱瘡かどうか分からないこともあります。その場合翌日以降に発疹の状態が変化することで水疱瘡の診断がはっきりすることがあります。最初に水疱瘡の診断がはっきりしなくても、受診後に発疹が変化し拡がってくるようであれば翌日以降にもう一度診察を受けるとよいでしょう。

12歳以下の健康な子どもであれば、水疱瘡は自然に治ります。13歳以上で予防接種を打っていない人、アトピー性皮膚炎喘息で治療中の人、妊婦、免疫不全のある人、水疱瘡の合併症がある人、その他の大人では、水疱瘡が重症化しやすいため抗ヘルペスウイルス薬で治療します。水疱瘡の発疹が出てから1日(24時間)以内に抗ヘルペスウイルス薬を開始すると、発疹の拡がりを抑え、かさぶたになって治るまでの期間や熱が出ている期間を1日程度短くしたり、水疱瘡の症状を軽くしたりする効果があります。

全身の症状:発熱

熱は出ることもあれば出ないこともあります。発熱した場合も、それほど高熱になることはなく、2-3日で解熱することが多いです。熱が出ているから水疱瘡が重症だというわけではありません。発熱はウイルスの感染から身体を守ろうとして生じる反応なので、必ずしも熱を下げる必要はありません。しかし寝苦しい、ぐったりしているなど熱によるつらい症状がある場合には、それを和らげるために解熱鎮痛薬(アセトアミノフェン)を使用することがあります。

全身の症状:倦怠感(だるさ)

倦怠感(だるさ)や食欲不振など全身的な体調不良に伴う症状が出ることがあります。このような症状があるから水疱瘡が重症だというわけではありません。水疱瘡が良くなるにつれて、これらの全身症状も良くなっていきます。

3. まれであるが起こることのある合併症

ある病気が原因となって起こる別の病気のことを合併症と言います。水疱瘡にかかるとまれに合併症が起きることがあります。水疱瘡の合併症には、脳炎、髄膜炎、皮膚感染症の他、肺炎、肝炎、下痢、咽頭炎中耳炎などがあります。

脳炎

水疱瘡の合併症としてまれに脳炎を起こすことがあります。脳炎は、水疱瘡の発疹が出始めてから1週間までの間に起こることが多いですが、発疹が出る前に起こることもあります。脳炎の死亡率は10%で、生存者の15%に長期的な脳の後遺症が残ります。とは言っても水疱瘡にかかった人4000人のうち脳炎になるのは1人くらいという非常にまれな合併症なので、過剰に心配する必要はありません。

脳炎を防ぐには、何もよりもまず水疱瘡にかからないようにすることです。今までに水疱瘡にかかったことも予防接種を受けたこともない人は、年齢に関わらず予防接種を受けることで、水疱瘡にかからないようにすることができます。もし水疱瘡にかかったことも予防接種を受けたこともない人の周りに水疱瘡患者がいる場合には、直接触れないこと、できるだけ患者に近づかないこと、患者に接触してから3日(72時間)以内にワクチンを接種することで、水疱瘡の発症を防ぐことができます。

脳炎を合併したら、入院して抗ヘルペスウイルス薬の点滴を7-10日間行います。

髄膜炎

水疱瘡の合併症としてまれに髄膜炎を起こすことがあります。髄膜炎になると発熱や頭痛、吐き気、嘔吐などの症状が出ます。水疱瘡にかかっている最中やかかった後に、これらの症状が出たら髄膜炎を合併している可能性があります。

水疱瘡そのものだけでも発熱し、熱に伴って頭痛も起こることはあります。水疱瘡の発熱か、髄膜炎の発熱かを見分ける方法の一つに、熱と頭痛との関係が参考になることがあります。水疱瘡だけでは、熱と頭痛が連動して変化することが多いです。熱が上がると頭痛も強くなり、熱が下がると頭痛も軽くなります。一方髄膜炎になると頭痛は熱に連動せず続くことが多くなります。熱の上がり下がりとは関係なく強い頭痛が続きます。水疱瘡にかかった際にこういった症状がみられたら、早めに小児科か内科を受診しましょう。

髄膜炎を合併したら、入院して抗ヘルペスウイルス薬の点滴を7-10日間行います。

水疱部位の皮膚感染症

水疱瘡の発疹をかゆみのために強く掻いて傷つけると、とびひ伝染性膿痂疹)を合併することがあります。とびひ黄色ブドウ球菌などの細菌による皮膚の感染症で、をもちジュクジュクとした発疹ができます。発疹を掻くことでさらに広がっていきます。とびひを合併した場合は抗菌薬抗生物質、抗生剤)で治療を行います。

4. 時間とともに症状はどういう風に変わっていくのか

発熱がある場合、2-3日で解熱することが多いです。紅斑(皮膚の赤み)や水疱(水ぶくれ)など様々な状態の発疹は、約1週間で痂皮(かさぶた)になり、1-2週間で痂皮(かさぶた)が取れます。強く掻いたりとびひを合併したりしない限り、水疱瘡の発疹はあとを残さずに治ります。