すいとう(みずぼうそう、みずぼうそう)
水痘(みずぼうそう、水疱瘡)
ウイルスが原因で、全身に分布する水ぶくれを主体とする発疹と発熱を来す疾患
10人の医師がチェック 119回の改訂 最終更新: 2018.03.12

水痘(みずぼうそう、水疱瘡)はどんな病気か

水疱瘡は全身に水ぶくれやかさぶたができる感染症です。原因は水痘帯状疱疹ウイルスで、帯状疱疹の原因と同じウイルスです。このウイルスに初めて感染すると水疱瘡になります。子どもに多く、90%以上が9歳以下で発症すると言われていますが、大人がかかることもあります。子どもは特別な治療をしなくても軽く済むことが多いですが、大人がかかると症状が重くなりやすいので治療が必要です。

1. 水疱瘡は感染症?身体でどんなことが起こっている?

水疱瘡(みずぼうそう、水痘)は感染症です。水痘帯状疱疹ウイルスに初めて感染すると、ウイルスが身体の中で増殖し血流にのって全身に運ばれ、皮膚に発疹が出て水疱瘡になります。水疱瘡にかかった後ウイルスが神経の中に潜んでいて、免疫力が低下した時などに再び感染力をもつようになると帯状疱疹になります。

原因となるウイルスは?

水疱瘡の原因となるウイルスは、水痘帯状疱疹ウイルスです。水痘帯状疱疹ウイルスは、ヘルペスウイルス属と呼ばれるウイルスのグループのうちの一つです。ウイルスを吸い込んだり触れたりすることで、人から人へ感染します。水痘帯状疱疹ウイルスの感染力は強く、水疱瘡にかかったことも予防接種を受けたこともない人は、家族内に水疱瘡の人がいれば90%以上が感染します。

水疱瘡と帯状疱疹について

水疱瘡と帯状疱疹は、どちらも水痘帯状疱疹ウイルスが原因です。水痘帯状疱疹ウイルスに初めて感染すると水疱瘡になります。水疱瘡にかかった後ウイルスが神経の中に潜んでいて、免疫力が低下した時などにそのウイルスが再び感染力をもつようになると帯状疱疹になります。帯状疱疹になると、ウイルスが潜んでいた神経の走行に沿って発疹が出ます。身体の片側の一部に帯を巻くように、皮膚が赤くなり水ぶくれが出ます。帯状疱疹の発疹は痛みを伴うことが多いです。発疹が出てから2日(48時間)以内に抗ヘルペスウイルス薬による治療を行います。帯状疱疹の発疹は1週間前後でかさぶたになり治りますが、帯状疱疹の10%くらいでその後も痛みが残ることがあります。水疱瘡にかかったことも予防接種を受けたこともない人は、帯状疱疹患者からの感染で水疱瘡を発症することがあります。

2. 水疱瘡になったらどういった症状が出るのか?

水疱瘡になるとかゆみのある発疹が出ます。水疱瘡の発疹は、頭や顔、口の中を含む全身に出ます。手足よりは胸やお腹、背中などの体幹に出ることが多いです。水疱瘡と似た病気のひとつに手足口病があり、手足口病も子どもに多く手足に水ぶくれができますが、発疹が出た場所で見分けられることがあります。手足口病は手のひらや足の裏に水ぶくれができるのが特徴です。水疱瘡では普通手のひらや足の裏には発疹は出ません。

水疱瘡の発疹はしだいに見た目が変わり、紅斑(皮膚の赤み)、丘疹(小さな皮膚の盛り上がり)、水疱(水ぶくれ)、痂皮(かさぶた)の順に変化していきます。変化しているうちにも新しい紅斑や丘疹ができてくるので、これらの様々な状態の発疹が同時に現れるのが特徴です。

皮膚に赤みや水ぶくれが出てかゆい時、特に今まで水疱瘡にかかったことも予防接種を受けたこともない場合、周りで水疱瘡が流行っている場合には、水疱瘡の可能性があります。水疱瘡なら小児科か皮膚科が専門です。

ただし、発疹が出始めて間もない頃には、病院を受診しても水疱瘡かどうか分からないこともあります。その場合翌日以降に発疹の状態が変化することで水疱瘡の特徴が強くなることがあります。最初に水疱瘡の診断がはっきりしなくても、受診後に発疹が変化し拡がってくるようであれば翌日以降にもう一度診察を受けるとはっきり分かることがあります。

12歳以下の健康な子どもであれば、水疱瘡は自然に治ります。13歳以上で水疱瘡の予防接種を打っていない人、アトピー性皮膚炎喘息で治療中の人、妊婦、免疫不全のある人、水疱瘡の合併症がある人、その他の大人では、水疱瘡が重症化しやすいため抗ヘルペスウイルス薬で治療します。水疱瘡の発疹が出始めてから1日(24時間)以内に抗ヘルペスウイルス薬を開始すると効果があります。13歳以上で予防接種を打っていない人、アトピー性皮膚炎喘息で治療中の人、妊婦、免疫不全のある人、水疱瘡の合併症がある人、その他の大人は特に早めに病院を受診しましょう。

水疱瘡は発疹の他にも、発熱や倦怠感(だるさ)、食欲不振などの全身症状を伴うこともあります。

詳しくは「水疱瘡の症状のページ」で説明しています。

3. 水疱瘡が疑われたときに行われる検査について

水疱瘡の多くは問診と身体診察によって診断され、ほとんど検査は行われません。

しかし、がん患者、ステロイドや免疫抑制剤を使用している人、HIV感染者、臓器移植を受けた人などは免疫が弱くなっているので水疱瘡が重症化しやすくなります。これらの人に水疱瘡かどうかはっきりしない症状が出た場合、水疱瘡であることを確定させて抗ヘルペスウイルス薬による治療を行うために、検査を行うことがあります。発疹からウイルスを特定させる検査や血液検査を行います。

詳しくは「水疱瘡の検査のページ」で説明しています。

4. 水疱瘡の治療について

水疱瘡の原因は水痘帯状疱疹ウイルスです。抗ヘルペスウイルス薬は、水痘帯状疱疹ウイルスの増殖を抑えることで水疱瘡の症状を軽減します。

12歳以下の健康な子どもであれば、抗ヘルペスウイルス薬を使わなくても水疱瘡は自然に治ります。13歳以上で水疱瘡の予防接種を打っていない人、アトピー性皮膚炎喘息など慢性的な皮膚や肺の病気でアスピリンやステロイドによる治療を行っている人、妊婦、免疫不全のある人、水疱瘡の合併症がある人、その他の大人は、水疱瘡が重症化しやすいため抗ヘルペスウイルス薬で治療します。アシクロビルなどの抗ヘルペスウイルス薬を、発疹が出始めてから1日(24時間)以内に開始します。24時間以内に開始することで、水疱瘡の発疹や発熱を早く治すことができます。

抗ヘルペスウイルス薬以外にも、発熱を伴う時には熱によるつらい症状を和らげるためにアセトアミノフェンという解熱鎮痛薬が処方されることがあります。また皮膚を強く掻いて傷つけてしまうのを防ぐ目的で、フェノール亜鉛華リニメント(通称カチリ)、イブプロフェンピコノール(商品名:スタデルム®、ベシカム®)などの塗り薬が処方されることがあります。強いかゆみがある時には抗ヒスタミン薬を内服します。

詳しくは「水疱瘡の治療のページ」で説明しています。

5. 大人の水疱瘡と子どもの水疱瘡の違いについて

水疱瘡は子どもに多い病気で90%以上が9歳以下で発症すると言われていますが、大人がかかることもあります。大人の水疱瘡は、子どもの水疱瘡と比べて、症状が重くなり合併症を起こすリスクが高くなります。

水疱瘡にかかりやすい条件や状況は子どもも大人も同じですが、治療の方針は異なります。

子どもの水疱瘡では、12歳以下の健康な子どもであれば、自然に治るため抗ヘルペスウイルス薬による治療は必要ありません。大人の水疱瘡は重症化しやすいため抗ヘルペスウイルス薬による治療を行います。