しんしつさいどう
心室細動
不整脈によって心室が不規則にけいれんして血液を全身に送り出せない状態。数分以内に死に至る非常に危険な不整脈
14人の医師がチェック 119回の改訂 最終更新: 2020.04.27

心室細動はどんな病気?原因、症状、検査、治療など

心室細動になると心臓の中でも全身に血を送り出す心室という部分が有効に機能しなくなります。全身に血を送れなくなると、数秒で意識を失い、適切な治療を行わないと命を落とす病気です。

このページでは心室細動の原因から治療までを詳しく説明していきます。

1. 心室細動はなぜ起こるのか?

心臓は微細な電気刺激によって動いています。電気が伝わる回路が心臓内に存在し、そこを電気が流れることで心臓は動きます。この電気回路がうまく働かなくなって、心臓の中の心室という部位が細かく痙攣(けいれん)するようにふるえる病気が心室細動です。

心室細動の原因を考えるうえでこの心臓の電気回路(電気伝導系)について知っておくことが大事です。少し難しい話になるので、次の段落に関しては読み飛ばしても構いません。

心臓の電気回路(電気伝導系)について

心臓には4つの部屋(右心房右心室左心房左心室)があります。その中の右心房には洞結節という部分があり、そこから信号を動かすための電気信号が一定のリズムで起こっています。この信号は房室結節⇛ヒス束⇛左右の脚(左脚・右脚)⇛プルキンエ線維と順々に伝わっていき、最終的には心臓の筋肉を収縮させます。これを心臓の電気伝導系といいます。

【心臓の電気伝導系の略図】

心臓の電気伝導系この電気回路が正しく流れている限り心臓は定期的に動きます。しかし、何らかの原因で電気の流れが乱れると不整脈が起こります。

心室細動の原因について

不整脈にはさまざまな種類がありますが、それぞれで原因が異なります。心臓の一部分から異常な電気が生じることが原因であったり、心臓の中に別の電気回路が存在することが原因であったりします。

心室細動では電気伝導系が上手く機能しなくなり、心室内の多くの場所から不規則な電気信号が生じることで起こります。多少の異常な電気信号が起こっても電気伝導系は機能するようにできていますが、もともと心臓に何らかの問題がある場合に心室細動が起こりやすくなります。

心室細動と心房細動の違い

心室細動と心房細動は大きく異なります。何よりも命の危険性が違います。心室細動は有効な治療を受けないと命を落とす病気ですが、心房細動が直接的な原因で亡くなることはほとんどありません。

一方で、心房細動は心臓内に血栓ができやすいことから、脳梗塞などの血栓塞栓症が起こりやすいので注意が必要です。年齢や持病などの背景から血栓のできやすさを予測するCHADs2スコア(冠動脈疾患の有無と性別も加えたCHA2DS2-VAScスコアもある)を用いて、血栓ができやすいと判定された(点数が高い)人は血をサラサラにする抗凝固薬を毎日飲むことになります。(詳しく知りたい人はこのページを参考にしてください。)

心室細動と心室頻拍の違い

心室細動と名前が似ている心室頻拍という病気があります。どちらも心室で起こる不整脈ですが、不整脈の起こり方も緊急度も異なります。

心室細動は心臓のいたる所で異常な電気信号が起こることで起こります。本来の電気信号が心臓を収縮させることなく、異常な電気信号が心臓を不規則に震えさせます。

【心室細動の模式図】

心室細動の模式図

心室細動がみられると、心臓は全身にほとんど血液を送り出せなくなり、数秒で意識を失います。心室細動は命に関わる非常に危険な不整脈であるため、すぐに処置する必要があります。電気的除細動(いわゆる電気ショック)と呼ばれる治療を行いながら心臓の状態が元に戻るまで心臓マッサージを行います。

一方で、心室頻拍では心室細動ほど不規則に心臓が震えるようなことは起こりません。1ヶ所あるいは数ヶ所で起こった異常な電気信号が一時的に心臓を動かしますが、ある程度時間が経つと本来の定期的な鼓動に戻ることがほとんどです。

心室頻拍の模式図】

心室頻拍の模式図

まれに心室頻拍が持続することがあります。特に30秒以上続くものを持続性心室頻拍といい、注意が必要です。また、心室頻拍の状態が悪化すると心臓が全身に有効な血液を送り出せなくなる場合があります。この状態を無脈性心室頻拍といい、そのままにしておくと意識が飛んだり命を落としたりするため、心室細動と同じく電気的除細動による治療が必要になります。

どんな人に心室細動は起こりやすいのか

心室細動は心臓に持病がある人に起こりやすいです。心臓は正常な電気回路(電気伝導系)によって動いているときには、多少乱れた電気信号が起きても不整脈が起こりにくいです。これには難しい仕組みが関わっているのですが、一度心臓の筋肉が電気刺激を受けるとしばらく他の電気刺激には反応しない原理(不応期)が関わっています。

しかし、電気回路が上手く機能していない状態では、心筋はなにか電気刺激を受けると反応してしまう状態ですので、イレギュラーが起こりやすくなります。また、元から不整脈を持っている人も、その種類によっては注意が必要です。

特に次のような病気がある人は心室細動になりやすいことが分かっています。

また、不整脈に対して使う薬(特にナトリウムチャネル遮断薬カリウムチャネル遮断薬)を飲んでいる人や電解質異常(特に低カリウム血症)がある人にも起こりやすいことが分かっています。

2. 心室細動の症状について

心室細動が起こると、ものの数秒で全身に有効な血流が届かなくなります。脳の血流が低下する影響から、すぐに意識を失ってしまいます。そのため、症状を自覚するということはほとんどありませんが、意識消失以外にも以下の症状が見られることがあります。

【心室細動で起こりやすい症状】

  • 全身が痙攣する
  • 口から泡を吹く
  • 呼吸が止まる
  • 首や手首で脈を触れようとしても触れない

これらの症状が見れらるころには意識がなくなっています。そのため、こうした症状が見られた場合には、周囲の人が心室細動を疑って助けてあげる必要があります。心室細動が起こった人に対して周囲の人がやるべきことについてはこちらのページを参考にしてください。

また、心室細動が起こる前に前兆として次のような症状を感じることがあります。

【心室細動が起こる前に自覚しやすいと考えられる症状】

  • 胸の違和感
  • 胸の痛み
  • 動悸
  • 意識がぼーっとする感じ
  • 息苦しさ

これらは心室細動以外の不整脈でも起こりうる前兆ですが、当てはまる症状を頻繁に感じる場合は、一度医療機関で心電図検査を受けると良いかもしれません。

3. 心室細動が疑われた人が受ける検査

心室細動が疑われるような症状を経験した人は実際に何が起こっていたのかを調べる必要があります。医療機関で次の検査を受けることが多いです。

  • 問診
  • 身体診察
  • 血液検査
  • 心電図検査
  • 心臓超音波エコー)検査
  • 電気生理学的検査

これらを行うことで、発作の原因を追求できるだけでなく、今後どの程度発作が再発しそうかについても推測することができます。検査に関してもっと詳しく知りたい人は「心室細動に関連する検査について」を参考にしてください。

4. 心室細動の治療について

心室細動は治療を行わないと命を落とします。また、出来るだけ早く治療を行わないと救命率が下がってしまいます。心室細動が起こったときの主な治療は電気的除細動です。電気的除細動を行うまでの時間は心肺蘇生を行って、全身の血流ができるだけ低下しないようにします。

場合によっては抗不整脈薬を用いて予防することもあり、状況に応じた治療が必要となるため、一概に語ることは難しいです。よく自分の状況をお医者さんに確認して、どういった治療を行うのか話し合うようにしてください。

治療方法について詳しく知りたい人は「心室細動の治療について」を参考にしてください。