なとりうむちゃねるしゃだんやく(いちぐんこうふせいみゃくやく)

Naチャネル遮断薬(I群抗不整脈薬)

脈に関与する電気信号の一つであるNa(ナトリウム)イオンの通り道を塞ぎ、乱れた脈(主に頻脈)を整える薬
同義語:ナトリウムチャネル遮断薬

Naチャネル遮断薬(I群抗不整脈薬)の解説

Naチャネル遮断薬(I群抗不整脈薬)の効果と作用機序

  • 脈に関与する電気信号の一つであるNa(ナトリウム)イオンの通り道を塞ぎ、乱れた脈(主に頻脈脈が早い状態(100回/分以上とされることが多い)。運動や緊張が原因の、病的でないものも含まれる)を整える薬
    • 不整脈は何らかの原因で脈が速くなったり、遅くなったり、リズムが乱れる
    • 脈(脈拍)はNaやK(カリウム)などの金属イオンの心筋細胞への出入りによる電気信号(活動電位)によりおこる
    • 本剤はNaイオンの通り道であるNaチャネルを遮断し、脈の乱れを整える作用をあらわす
  • 不整脈薬はその作用などによって、I~IV群に分類される
    • 本剤はI群に属する薬剤となる
  • 本剤はNaチャネル遮断作用以外の作用や特徴によりさらにIa群、Ib群、Ic群に分けられる(薬剤の中には複数の作用をもつものもある)
    • Ia群は活動電位がおさまるまでの時間を延長する
    • Ib群は活動電位がおさまるまでの時間を短縮する
    • Ic群は活動電位がおさまるまでの時間を変えない

Naチャネル遮断薬(I群抗不整脈薬)の薬理作用

 

普段は一定のリズムで脈を打っている心臓が、何らかの原因で脈が速くなったり、遅くなったり、リズムが乱れたりする状況をまとめて不整脈という。

脈(脈拍)は心臓の拍動による振動が末梢血管に伝わったものであり、心臓の拍動は心筋細胞の活動によっておこる。心筋細胞は電気信号(活動電位)によって活動し、この電気信号に乱れが生じることで不整脈がおこる。電気信号にはNa(ナトリウムイオン)、Ca2+(カルシウムイオン)、K(カリウムイオン)といった+(プラス)の電荷をもった金属イオンが関わり、通常は心筋細胞内にNaが流入し細胞の活動が始まり、Kが細胞外へ放出されて活動がおさまる。しかし不整脈では何らかの原因によって普段はおこらないところで心筋細胞の活動がおこることがある。Kの細胞外への放出による活動電位がおさまりきる前に再びNaの電気信号により心臓細胞の活動が始まってしまうような頻脈性の不整脈では、Naの細胞内への流入を阻害することで活動電位の立ち上がりの速度を抑えることが改善方法の一つとなる。

本剤は心筋細胞におけるNaの通り道であるNaチャネルを阻害(遮断)し、Naの細胞内への流入を抑えることで活動電位の立ち上がり速度を抑えて脈を整える作用をあらわす。抗不整脈薬はその作用などにより、I群からIV群に分類されるが、本剤はI群に属する薬剤となる。

本剤はNaチャネル遮断作用以外の作用や特徴などによりさらに、Ia群、Ib群、Ic群に分類される。

Ia群はKの細胞外への放出による活動電位がおさまるまでの時間を延長させる作用ももつ。Ib群はKの細胞外への放出による活動電位がおさまるまでの時間を短縮させる作用ももつ。Ic群はKの細胞外への放出による活動電位がおさまるまでの時間を変えない特徴をもつ。但し、薬剤の中には(例として)Ia群とIb群の両方の特徴をもつなど複数の作用をもつものもある。

Naチャネル遮断薬(I群抗不整脈薬)の主な副作用や注意点

  • 消化器症状
    • 吐き気、食欲不振などがあらわれる場合がある
  • 精神神経系症状
    • めまい・ふらつき、頭痛などがあらわれる場合がある
  • 不整脈作用による心不全など
    • 稀に既存の不整脈を悪化させたり、新たな不整脈を誘発させる場合がある
    • 動くと息苦しい、疲れやすい、足がむくむ、急に体重が増える、めまい、動悸心臓や太い動脈の脈拍を自覚すること。精神的な緊張や運動だけでなく、ホルモンバランスの異常や貧血など、様々な病気の症状として起こる、胸が痛むなどの症状がみられる場合は放置せず、医師や薬剤師に連絡する
  • H29.3まで:ジソピラミドカプセル「トーワ」

Naチャネル遮断薬(I群抗不整脈薬)の一般的な商品とその特徴

リスモダン

  • Ia群に分類される
  • カプセル剤、R錠(徐放性製剤効果がゆっくり長時間続くように工夫された薬。投与回数が少なくて済み、血中の有効成分濃度が長時間一定に保たれることによって、一般的に副作用の軽減などが期待できる)、注射剤(リスモダンP静注「静脈注射」の略。薬を注射や点滴で投与すること)があり用途などによって選択される
  • その他の特徴的な作用などに関して
    • 神経調節性失神(神経起因性失神脳への血流が一時的に足りなくなることによって、意識を失うこと)などで使用する場合もある
    • 抗コリン作用(アセチルコリン神経細胞から神経細胞、または筋肉へ情報を伝える神経伝達物質。副交感神経や運動神経の末端から放出されるを阻害する作用)をもち、口渇、排尿困難などがおこる可能性があるため注意する

シベノール

  • Ia群に分類される
  • 錠剤、注射剤があり用途などによって選択される
  • その他の特徴的な作用などに関して
    • 抗コリン作用(アセチルコリン神経細胞から神経細胞、または筋肉へ情報を伝える神経伝達物質。副交感神経や運動神経の末端から放出されるを阻害する作用)をもち口渇、排尿困難などに注意が必要だが、本剤の抗コリン作用は比較的弱いとされる

アスペノン

  • Ib群に分類されるが、Ib群とIa群の両方の特性があるとされる
  • カプセル剤、注射剤があり用途などによって選択される
  • 過量投与などにより、精神神経系症状(めまい、ふらつきなど)があらわれやすくなるため注意する

メキシチール

  • Ib群に分類される
  • カプセル剤、注射剤があり用途などによって選択される
  • 不整脈治療の他、神経障害性疼痛医学用語で、痛みのことの緩和目的などで使用する場合もある

サンリズム

  • Ic群に分類される
  • カプセル剤、注射剤があり用途などによって選択される
  • 発作比較的急激に、症状が一定時間あらわれること。その後の時間経過や適切な治療によって、症状が無くなりやすいものを指すことが多い心房細動などで頓用で使用する場合もある

Naチャネル遮断薬(I群抗不整脈薬)を使う主な病気