心臓が止まったらAED!日本で救われた人は年間6人から201人に急増
心室細動などで突然心臓が止まった人には、心臓マッサージやAED(自動体外式除細動器)の救命処置が重要です。日本でAEDの使用が広まった2005年以降に、AEDにより助けられる人が急増していることが報告されました。
心停止とAEDの統計の研究
大阪大学、東京女子医科大学などの研究班が、
この研究は、病院外での心停止を記録した日本全国の統計データを解析して、2005年から2013年の間に見つかった患者が受けた治療や、その後の経過などを調べています。
日本でAEDが医療従事者以外の一般の人にも使えるようになったのは2004年です。2004年以降、公共施設などでAEDの設置が進みました。AEDが普及したことによって、AEDに助けられる人は増えていることが予想できます。
AEDで救われた人は年間6人から201人に
解析から次の結果が得られました。
居合わせた人に発見された心原性の心室細動による心停止患者43,762人のうち、4,499人(10.3%)が公共アクセスの
除細動 器による処置を受けていた。公共アクセスの除細動器による処置を受けた患者の割合は、2005年の1.1%から2013年には16.5%に増えた(Ptrend<0.001)。公共アクセスの除細動器による処置によって神経学的帰結が良好な状態で生存したと見られる人の推定数は2005年の6人から2013年には201人に増加した(Ptrend<0.001)。
9年間の統計で記録されていた心停止患者43,762人のうち、AEDを使われた人は4,499人でした。AEDを使われた人の割合は、2005年には1.1%でしたが、2013年には16.5%にまで増えていました。
重い後遺症なく救命された人のうち、AEDを使ったことによって助かったと見られる数は、2005年には6人でしたが、2013年には201人にまで増えていました。
AEDで誰でも人命救助ができる
心室細動は、もともと狭心症などの病気がある人に起こることもありますが、まれに健康な人にも起こります。心臓から血液が送り出されなくなると、数分で脳が重大なダメージを受け、救命できたとしても重い後遺症が残る原因になります。
心停止から一刻も早く手当てをすることで生存できる割合は大幅に改善すると言われています。救急隊到着前に心肺蘇生が行われたときは30日後に生存した割合が2倍以上だったとする報告があります。
AEDは特に訓練を受けていない人でも使いやすいように工夫されています。電源を入れて、2枚のパッドを心臓を挟むように右鎖骨の付近と左脇腹付近に貼るだけで使用することができます。機械が自動的に心室細動かどうかなどを判定したうえで電流を流すので、「AEDを使ってもよいかどうか」で間違う心配はありません。使い方は音声ガイドで指示されます。使うために資格は要りません。
倒れている人のところにAEDを持ってくることができれば、誰にでも人命を救える可能性があります。よく通る場所の近くにAEDがあるかどうか、一度見渡してみてください。AEDの場所を覚えておけばいつか役に立つかもしれません。
執筆者
Public-Access Defibrillation and Out-of-Hospital Cardiac Arrest in Japan.
N Engl J Med. 2016 Oct 27.
http://www.nejm.org/doi/full/10.1056/NEJMsa1600011※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。