2016.03.21 | ニュース

脳に酸素を!心停止から数年、認知障害は高気圧酸素療法で改善したか?

11人の治療結果から
from Restorative neurology and neuroscience
脳に酸素を!心停止から数年、認知障害は高気圧酸素療法で改善したか?の写真
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心停止の状態に陥ったとき、脳に酸素が届かなくなることが重大なダメージを引き起こします。その結果、治療により救命されても認知障害が残ることがあります。認知障害に対する高気圧酸素治療の効果が検討されました。

◆認知障害に高気圧酸素治療の効果は?

高気圧酸素治療は、患者が治療装置の中に入り、装置の中の気圧を上げて高濃度の酸素を吸入することで、体の組織に多くの酸素を届ける治療です。一酸化炭素中毒や減圧症の救急治療としても使われています。

ここで紹介する研究では、イスラエルの研究班が、心停止によって慢性認知障害が起こった人を対象に、高気圧酸素治療の効果を調べました。

心停止による慢性認知障害があった患者11人が高気圧酸素治療を受けました。認知機能のテストによって、効果が評価されました。

 

◆認知機能が改善

次の結果が得られました。

患者は高気圧酸素治療で心停止後0.5年から7.5年に治療された(平均2.6±0.6年)。高気圧酸素治療は、軽度だが統計的に有意な平均スコアの改善を、記憶機能で12%、注意機能で20%、遂行機能で24%引き起こすことが見いだされた。

対象者は高気圧酸素治療を受けた時点で、心停止から平均2.6年経過していました。治療によって、認知機能のテストに改善が見られました

研究班は「さらに研究が必要ではあるものの、この結果は心停止後の患者における慢性認知障害に対する高気圧酸素療法の有益な効果を、急性イベントの数か月から数年後においても示している」と結論しています。

 

ここでテストの結果が改善したことが、どの程度まで治療の効果であり、自然な回復などほかの理由によるものでないと言えるかはあわせて考える必要があります。また、効果がどの程度の時間にわたって持続するかはこの結果だけではわかりません。

脳が一度受けたダメージは元には戻らないと考えられていますが、残った機能を有効に使うリハビリテーションなどで、体の状態をよりよくする方法がさまざまな角度から研究されています。ここで示された結果は、さらに有効な治療を探るうえで何かの手がかりになるかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Hyperbaric oxygen can induce neuroplasticity and improve cognitive functions of patients suffering from anoxic brain damage.

Restor Neurol Neurosci. 2015.

[PMID: 26409406]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。


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