高気圧酸素治療で糖尿病足病変を治療!潰瘍に対して6週間の効果

糖尿病が進行すると、全身の血管の流れが悪くなることなどにより、足に潰瘍ができることがあります。進行すると足を切断せざるをえなくなる場合もあります。潰瘍の新しい治療法に、100%の酸素を吸入することで全身の組織に酸素を行き渡らせる高気圧酸素治療というものがあり、ドイツの研究班が効果についてこれまでの文献をまとめて検証した結果、短期的には効果が認められたことを報告しました。
◆文献を集めて検証
研究班は、文献検索によって、高気圧酸素治療(HBOT)の
◆6週間後の治癒率増加
見つかった12件の研究のうちで、次の結果が得られました。
計531人の参加者に対する10件の試験が、糖尿病による足の潰瘍のある人を対象とし、うち5件の研究の参加者205人のデータをプールしたところ、HBOTによって6週後の潰瘍の
治癒 率の増加(リスク比2.35、95%信頼区間1.19-4.62、P=0.01)が見られたが、より長期のフォローアップによる1年時点での利益は明らかでなかった。
HBOTを含む治療を行った場合、治療開始6週後に潰瘍が治癒している割合が大きくなっていました。しかし、治療開始1年後では、HBOTを行わなかった場合との違いが見られませんでした。
短期間では違いがあったことから、HBOTが治癒をより早くした可能性があります。足の潰瘍はその後の運動能力などとも深く関わる大きな問題であり、切断しないで済むための有効な治療が望まれます。
執筆者
Hyperbaric oxygen therapy for chronic wounds.
Cochrane Database Syst Rev. 2015 Jun 24
[PMID: 26106870]
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。