月経困難症の原因:痛みが出る仕組み、原因となる病気(子宮内膜症や子宮筋腫など)
月経困難症では起き上がることができないほど強い生理痛が現れることがあります。この時、特に身体に異常がないこともありますが、原因となる病気が隠れていることもあります。ここでは、生理痛が生じる仕組みと、月経困難症を引き起こす病気について説明します。
1. 生理で痛みが出る仕組み
女性の身体はおよそ1ヶ月の周期で妊娠の準備を繰り返します。生理の出血は、妊娠に備えて厚くなった
さらに、プロスタグランジン自体に痛みを感じさせる作用があります。プロスタグランジンは身体が傷付いたときに作られ、痛みの情報を神経に伝える役割があります。また、頭痛や腰痛といった痛みがあるときもプロスタグランジンが作られています。
2. 月経困難症の原因となる病気
月経困難症には、子宮やその周りの臓器が関わっています。これらの臓器に目に見える異常がある場合と、ない場合とで、月経困難症は2種類に分けられます。
目に見える異常がある場合を
器質性月経困難症では、何か目に見える異常がひどい生理痛の原因になっています。このため、原因を治すことで生理痛も楽になる場合があります。逆に、原因を治療しないで放っておくと、さらにひどくなってしまう場合もあります。
このような違いがあるので、生理痛がひどいときには、機能性なのか器質性なのか、器質なら原因は何なのかを見分けることが大切です。
【器質性月経困難症の原因となる主な病気】
以下では器質性月経困難症の原因になる主な病気について説明します。
子宮内膜症(しきゅうないまくしょう)
子宮内膜は子宮の内側の「壁」にあたる部分で、生理のたびに作り直される血管の多い組織です。子宮内膜症は、子宮内膜が正常な子宮の内部ではなく別の場所にできてしまう病気で、たとえば子宮の周りのすきまにできたりします。
子宮内膜症がどうして起こるのか、詳しい原因はわかっていません。
生理の際に子宮の中で子宮内膜が剥がれて出血しても問題は起こりません。しかし、子宮以外の場所に子宮内膜ができて出血すると、
詳しくは子宮内膜症の詳細情報のページで説明しています。
子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)
子宮筋腫は子宮を構成する細胞の一部が異常に増殖したものです。このように細胞が異常に増殖してできたものを
子宮筋腫があっても症状がなく問題にならない場合もありますが、次のような症状があらわれることもあります。
【子宮筋腫の主な症状】
- 過多月経:生理の出血量が多い
- 月経困難症:生理中の痛みが強い
そのほか子宮筋腫の大きさやできた場所によっては、周りの臓器を圧迫して
子宮筋腫はよくあるもので、生理がある年齢の女性なら誰に見つかってもおかしくありません。なぜ細胞が異常に増殖してしまうのか、その原因はわかっていません。
詳しくは子宮筋腫の詳細情報のページで説明しています。
子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)
子宮腺筋症は、本来なら子宮の内側にある子宮内膜が、子宮の壁の中(子宮筋層)にできてしまう病気です。子宮内膜症と同じ概念ですが、子宮の筋肉の中に子宮内膜ができた場合は子宮腺筋腫と呼びます。子宮腺筋症の症状は生理中のひどい痛み(月経困難症)、生理の出血が多いこと(過多月経)などです。
詳しい情報は子宮腺筋症の基礎知識のページにもあります。
子宮後転症(子宮後傾後屈症)(しきゅうこうてんしょう(しきゅうこうけいこうくつしょう))
子宮は通常、前に倒れるような形で曲がっています(前傾前屈と言います)。逆方向の後ろに曲がっている場合を、子宮後転症または子宮後傾後屈症と呼びます。生まれつき子宮後転症の状態になっている人もいますが、子宮内膜症などにより子宮が後ろ側の臓器と癒着して子宮後転症が起こることもあります。
子宮後転症だけでは特に問題はなく、症状がなければ治療の必要はありません。しかし、子宮後転症が原因となって腰痛や強い生理痛を原因とした月経困難症を起こすことがあります。
詳しい情報は子宮後転症の基礎知識のページも参考にしてください。