しきゅうないまくしょう(ちょこれーとのうほうをふくむ)

子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)

子宮内膜が子宮以外の場所にでき、月経のたびに強くなる腹痛、性交時・排便時の痛みなどを起こす病気。卵巣嚢胞や卵巣がんにもつながる

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13人の医師がチェック 168回の改訂 最終更新: 2017.06.15

子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)の基礎知識

子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)について

  • 本来ならば子宮の内側にだけあるはずの子宮内膜子宮の内側にある膜で、月経周期に合わせて厚くなったり剥がれ落ちたりするが、他の場所に移り、月経周期に合わせて増えたり剥がれたりしている状態
  • 月経が来るたびに少しずつ病変病気が原因となって体に生じた、あるいは変化が起きた、その特定の部位のことが大きくなり、しだいに強くなる痛みの原因になる
    • 子宮内膜症は周りの組織に炎症体の免疫が防御反応を起こしている状態。原因は、感染、けが、免疫の異常(アレルギーなど)と様々。免疫が強く反応することで、熱、腫れ、痛みなどが出るを起こす
    • 巻き込まれた場所は互いにくっつく(癒着皮膚や体内の組織同士が炎症のためにくっついてしまうことする)
  • 子宮の周りの場所に起こりやすい
    • 子宮と直腸の間にある直腸子宮窩(ちょくちょうしきゅうか、ダグラス窩)という隙間にできやすい
    • 直腸が癒着すると排便痛や排便障害便秘や便失禁(がまんができず、漏らしてしまうこと)といった症状の総称の原因になる
    • 卵巣子宮の両側にある器官で、女性ホルモンを分泌したり、卵子を作り出したりする働きを持つもの
      内膜症性嚢胞(チョコレート嚢胞体の表面や内部にできる、主に水分が溜まった袋状の構造物。多くの場合良性であり治療は必要ない)と呼ばれる病変を作ることがある
    • 卵管
      ・癒着により卵管がふさがり、不妊の原因になることがある
    • 膀胱、小腸など
      ・腸が癒着のためふさがり、激しい腹痛などを起こすことがある(腸閉塞
      ・腸に穴が開くことがある
    • まれに肺などにも起こる
  • 頻度
    • 20-30代の女性に多い
  • 原因、リスク因子ある病気にかかりやすい要因
    • 原因は不明
    • 子宮内膜の生成はエストロゲン女性ホルモンの一種で、ステロイドホルモンの仲間。女性生殖器の発達や、子宮内膜の増殖などの作用をもつ卵胞ホルモン女性ホルモンの一種で、ステロイドホルモンの仲間。女性生殖器の発達や、子宮内膜の増殖などの作用をもつ)の働きによるので、それまでのエストロゲンの分泌総量が多い人(以下に当てはまるような人)に生じやすい
    • 過去に妊娠、出産がない人
    • 初潮が早く、閉経が遅い人
    • 月経周期が短い人
  • チョコレート嚢胞は破裂、感染により急激な腹痛を起こす場合もある
    • 卵巣がんに変わる可能性もある
      のう胞体の表面や内部にできる、主に水分が溜まった袋状の構造物。多くの場合良性であり治療は必要ないが大きくなった場合や年齢が40歳を超えた場合には注意が必要

子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)の症状

  • 主な症状
    • 月経困難症(生理のたびにひどくなっていく生理痛)
    • 性交痛
    • 不妊
    • 排便痛
  • その他の症状
    • 腸や肺にできた場合は腸や肺の壁に穴を開けるため、腸穿孔穴が開くこと。例えば胃や腸の粘膜にできた潰瘍が悪化すると、やがて穴が空いて穿孔に至る気胸を起こすこともある
  • 女性ホルモン体内で作られて、血流にのって体の特定の部位を刺激する物質。内分泌物質とも呼ばれるが加齢とともに減ってくると症状は治まってくる

子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)の検査・診断

  • 内診主に産婦人科で行われる検査。腟に指を入れて、腟や子宮の周囲に大きな病変がないかを確認する目的で行われる
  • 画像検査:卵巣子宮の両側にある器官で、女性ホルモンを分泌したり、卵子を作り出したりする働きを持つものにチョコレート嚢腫がないかなどを調べる
    • 経膣超音波検査空気の細かな振動である超音波を使った画像検査。体の奥の血管や臓器を観察することができる
    • 腹部MRI磁力(電磁波)を用いて、お腹の中の状態を調べる検査。胆のう、胆管、膵臓や、子宮、卵巣の検査などで行われることが多い検査
  • 腹腔鏡内視鏡の一種。腹部の内部を観察するために用いる。細長い棒の先にカメラがついていて、腹部の皮膚に小さな穴を開け、そこからカメラを差し込んで中を覗くでお腹の内部を観察し、癒着皮膚や体内の組織同士が炎症のためにくっついてしまうことがあるかなどを調べる
    • 癒着の程度を腹部MRIなどの画像で診断することは困難

子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)の治療法

  • 対症療法病気による症状自体を抑えるための治療。病気の根本の原因を治す治療(根本治療)と区別される(痛み止め、漢方薬など)
  • ホルモン体内で作られて、血流にのって体の特定の部位を刺激する物質。内分泌物質とも呼ばれるバランスを改善する薬
    • 中用量ピル(商品名:プラノバールなど)
      卵胞ホルモン女性ホルモンの一種で、ステロイドホルモンの仲間。女性生殖器の発達や、子宮内膜の増殖などの作用をもつエストロゲン女性ホルモンの一種で、ステロイドホルモンの仲間。女性生殖器の発達や、子宮内膜の増殖などの作用をもつ)と黄体ホルモン(プロゲスチン)という2種類の女性ホルモンを配合した薬
      ・副作用としてまれに血栓症血液が血管の中で固まり、血栓を作って血管が塞がってしまうことによって発症する病気が起こる
      ・血栓症のリスクが高い人(高血圧のある人など)は慎重に使うべきとされる
      ・喫煙で血栓症が起こりやすくなるとされ、使用中は禁煙する
      ・その他の副作用に肝機能異常肝臓の病気や異常によって、肝臓の機能が低下していること。採血でAST, ALTなどの数値が上昇していることを指す場合が多い不正出血、乳房緊満感、むくみ体の部位がむくんだ状態のこと。血液から水分が周囲に漏れ出ることで、全体が腫れてむくみが生じる、吐き気、頭痛、ニキビなど
      内膜症性嚢胞がある場合、他の目的で使うピル(商品名:ヤーズ、フリウェルなど)は注意して使うべきとされる
    • 黄体ホルモン療法
      ・ジエノゲスト(商品名:ディナゲスト)
      ・黄体ホルモンのように働いて女性ホルモンの分泌を抑え、子宮内膜症細胞の増殖を抑える
    • 偽閉経療法(GnRHアゴニスト):女性ホルモンを抑えて閉経したような状況を作る
      ・ブセレリン(商品名:スプレキュア、イトレリンなど)、ナファレリン(商品名:ナサニールなど)
    • LH-RHアゴニスト:女性ホルモンの分泌を抑える
      ・リュープロレリン(商品名:リュープリン)など
    • ダナゾール(商品名:ボンゾール):女性ホルモンの分泌を抑える
    • 手術:保存手術と根治手術2つのタイプがある
      ・保存手術は、症状を抑えるための手術(腹腔鏡内視鏡の一種。腹部の内部を観察するために用いる。細長い棒の先にカメラがついていて、腹部の皮膚に小さな穴を開け、そこからカメラを差し込んで中を覗くを用いた手術が一般的)
      ・根治手術は、完全に治しきるための手術
  • 妊娠の希望の有無で大きく治療方法が変わる
  • 内膜症性嚢胞がん無制限に増殖して周囲へ広がる、異常な細胞(がん細胞)による病気。塊となって腫瘍を作る固形がんと、白血病のように血液中にがん細胞が存在する血液がんがある化することもあるので、しっかりと長期的に経過を見ることが大切

子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)に関連する治療薬

黄体ホルモン製剤(プロゲステロン製剤)

  • 黄体ホルモンを補充し、無月経、月経周期異常、月経困難症、機能性子宮出血、不妊症などを治療する薬
    • 黄体ホルモン(プロゲステロン)には子宮内膜を増やし受精卵が着床するように子宮内環境を整える作用がある
    • 黄体ホルモンの不足やバランスの崩れにより無月経や月経周期異常がおこる
    • 黄体ホルモンの不足やバランスの崩れは機能性子宮出血や不妊症なども引き起こす
黄体ホルモン製剤(プロゲステロン製剤)についてもっと詳しく

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