生理痛に隠れやすい子宮内膜症、お腹を切らないと診断できない?最新の研究状況から
子宮内膜症は不妊や卵巣がんにつながる可能性もある重要な病気ですが、診断は難しく、お腹を切って腹腔鏡を入れる検査が標準とされます。ほかの方法で診断する研究から有望な結果が出ているかどうか、調査が行われました。
◆子宮内膜症とは?
子宮内膜症は、本来なら子宮の内側に作られるはずの
20代から30代の女性に多く、月経周期にともなう腹痛、特に性交時や排便時の痛みを特徴とします。性
診断には通常、
◆子宮内膜症の診断の研究を調査
ここで紹介する研究は、子宮内膜症の診断方法の研究にどのようなものがあるかを調べてまとめたものです。
見つかった研究のデータから、腹腔鏡検査などの外科的な方法と比べて、ほかの方法の信頼性が計算されました。
外科的な診断法に置き換わるためには、次の2点を満たすことが基準とされました。
◆質の低い研究しか行われていなかった
11件の研究が見つかりました。しかし、研究の方法によって結果に偏りが入りにくいようにする設計の質を検討したところ、11件の研究すべてが低い質の研究と判断されました。
11件の研究の中で、血液検査などを組み合わせた15種類の診断方法が試されていました。そのうち腹腔鏡検査を置き換えるための基準を満たした診断方法は次の2種類でした。
どちらも場所を限定した判定なので、たとえば膣の診察と経膣超音波で直腸以外の子宮内膜症を診断できるかどうかは上の結果に含まれていません。
研究班は、見つかった研究の質が低かったことから、「子宮内膜症の診断にはいまだ腹腔鏡がゴールド・スタンダードのままである[...]」と結論しています。
基準を満たす結果が出ていた2種類の検査も、研究の質が低い点、場所が限られている点をふまえれば、十分な証拠があるとは言えないでしょう。
腹腔鏡検査は負担が大きい検査ですが、置き換わるほど信頼性の高い診断方法は見つかっていませんでした。さらに新しい技術が加わるまでは、子宮内膜症を確実に診断して
執筆者
Combination of the non-invasive tests for the diagnosis of endometriosis.
Cochrane Database Syst Rev. 2016 Jul 13.
[PMID: 27405583]※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。