[医師監修・作成]子宮内膜症の検査:超音波検査、CT検査など | MEDLEY(メドレー)
しきゅうないまくしょう(ちょこれーとのうほうをふくむ)
子宮内膜症(チョコレート嚢胞を含む)
子宮内膜が子宮以外の場所にできる病気。月経のたびに強くなる腹痛、性交時・排便時の痛みなどを起こす。
13人の医師がチェック 189回の改訂 最終更新: 2022.04.15

子宮内膜症の検査:超音波検査、CT検査など

子宮内膜症の検査にはMRI検査や超音波検査などの画像検査や、お腹の中をカメラで観察できる腹腔鏡検査などを用います。子宮内膜症は一つの検査だけでは診断できないこともあり、いくつかの検査を組み合わせます。

1. 子宮内膜症の検査をするのはどんなとき?

子宮内膜症が原因となりうる症状がある場合にはその原因が子宮内膜症なのかをまず検査します。では子宮内膜症の症状には何があるのでしょうか。子宮内膜症の症状には以下のものがあります。

  • 月経(生理)に関連した症状 
  • 慢性的な痛み
    • 骨盤痛(こつばんつう)
    • 腰痛(ようつう)
    • 腹痛
    • 排便痛(はいべんつう)
  • 不妊症
  • 性交痛
  • 便秘
  • 頻尿(ひんにょう)、排尿障害(はいにょうしょうがい)

子宮内膜症の症状は多くあり、便秘や頻尿など一見関係がなさそうな症状も子宮内膜症が原因となっていることがあります

2. 子宮内膜症と区別が必要な病気には何がある?

子宮内膜症が原因となる上記の症状は、子宮内膜症のひと全員に現れるわけではなく他の病気が原因で起きることもあります。子宮内膜症の検査では症状の原因が子宮内膜症かどうか調べることから始まります。以下で症状の説明と原因となりうる他の病気について解説します。

月経に関連した症状

子宮内膜症では月経に関連した症状が現れます。月経に関連した症状は、月経困難症過多月経不正出血などです。月経困難症は月経にともなう症状が日常生活に支障をきたすほど重く出ることです。過多月経は月経時の出血が多いこと、不正出血は月経周期とは違うタイミングで出血することです。

子宮内膜症以外で月経に関連した症状が出るのは子宮筋腫(しきゅうきんしゅ)や子宮腺筋症(しきゅうせんきんしょう)などです。

不正出血の原因には更年期によるエストロゲンの減少妊娠・がん子宮内膜がん子宮頸がんなどがあります。

これらの病気と子宮内膜症を区別するには超音波検査・MRI検査などの画像診断による検査が重要になります。

慢性的な痛み

子宮内膜症は慢性的な痛みの原因にもなります。

慢性骨盤痛と表現される下腹部痛や腰痛・腹痛・排便痛などが典型的とされます。これらは月経時に関係なく症状が現れます。子宮内膜症で慢性骨盤痛が現れるのは骨盤の中で癒着炎症が起きることが原因と考えられています。

子宮筋腫などの他の子宮の病気も慢性骨盤痛の原因になります。他には筋肉や神経などを原因とする整形外科で扱う病気腸の病気などにも注意が必要です。

MRI検査などの画像検査が原因を調べるのに重要です。診断が難しいときには腹腔鏡検査で直接お腹の中を観察することもあります。

不妊症

子宮内膜症は不妊症の原因の一つで、子宮内膜症の人のうち約半数で不妊症が現れるとの報告もあります。

子宮内膜症が不妊症の原因かを調べるのと併行して、他に不妊症の原因がないかを調べます。例えば男性は精液検査などで精子の状態を調べ、女性は卵管の形排卵に問題がないかなどを調べます。

子宮内膜症が原因の可能性がかなり高いと判断された時は、腹腔鏡(ふくくうきょう)検査をして診断と同時に治療をします。子宮内膜症による不妊症の手術として、腹腔の癒着(ゆちゃく)を剥がすなどの方法があります。

性交痛

性交痛は性交を始めようとするときや性交中に起こる痛みのことです。子宮内膜症が膣の近くに癒着や炎症を起こすことが原因で現れる症状です。性交痛は子宮内膜症以外でもクラミジアなどの感染症でも現れることがあります。

性交痛の症状があれば、内診や直腸診で膣や膣の周りを押してみて圧痛があるかどうかをなどを調べます。同時に性交痛の原因になりうる性感染症にかかっていないかなどを調べます。

便秘

女性の骨盤部正中矢状断。子宮の前には膀胱、後ろには直腸が隣り合っている。

子宮内膜症はお腹の中の腹腔という場所で炎症を起こすことがあります。腹腔は腸などの臓器の隙間です。腹腔に炎症が起きると腸と腸などが癒着します。癒着が起きると腸の動きが悪くなって排便に影響し、便秘の原因になります。

便秘の原因には他にも、大腸がんなどの大腸の病気や食事、ストレスなど様々なものがあります。他の症状なども参考にしながら大腸カメラなどの検査を追加で検討します。

頻尿(ひんにょう)・尿が出にくい

膀胱は尿を溜めておく臓器で子宮のお腹側に接しています。子宮内膜症が膀胱の近くにできて膀胱に影響すると、頻尿の症状や尿が出にくくなる症状が現れることがあります。

子宮内膜症が頻尿の原因になっているかの判断をするにはMRI検査などの画像検査が有効なことがあります。ただし頻尿の症状は過活動膀胱膀胱炎などの膀胱の病気を原因とすることが多いです。過活動膀胱膀胱炎が原因にないかも合わせて調べます。

3. 子宮内膜症の検査には何がある?

子宮内膜症を診断する診察や検査はいくつかあります。

  • 診察
    • 問診 
    • 内診・膣鏡診
    • 直腸診
  • 検査
    • 超音波検査 
    • MRI検査 
    • 腹腔鏡検査

4. 子宮内膜症の検査では何がわかる?

子宮内膜症の検査は以下に注目して行われます。

  • 子宮内膜症の場所
  • 子宮内膜症の広がり
  • 子宮内膜症以外の病気の可能性の有無

検査で子宮内膜症を詳しく調べることで適切な治療方法を選ぶことができます。症状の原因が子宮内膜症ではない場合には他の病気の検査が追加されることがあります。

問診でどんなことを聞かれるのか?どんなことを伝えればいいのか?

どの病気にも当てはまりますが病気の診断をするうえでは問診が重要です。問診が診断の決め手になることもあります。子宮内膜症ではどのような問診がされるのでしょうか。子宮内膜症でよく聞かれる質問は以下のようになります。

  • 症状について
    • 月経に伴って起こるか
    • 痛みの場所はどこか、痛みの程度はどうか
    • 痛みが和らぐ姿勢はあるか
    • 便通や尿は1日何回あるか
  • 月経について
    • 周期的かどうか
    • 出血の量や形状はどのようか
    • 月経周期以外のタイミングで出血はあるか
  • その他
    • 今までにかかった病気や通院中の病気はあるか
    • 家族に子宮や卵巣の病気になった人がいるか
    • 妊娠・出産歴はあるか

以上の問診内容は一般的な例です。受診するにあたってあらかじめ答えを準備するなどの参考にしてみてください。

内診では何をみている?

膣鏡の写真

内診とは女性器を診察することです。内診では指を膣から挿入して子宮が周りとくっついてないかなどを観察します。内診に続いて行われることが多いのは膣鏡診による検査です。膣鏡診を使うと膣の中を観察することができます。

内診は内診台という専用の診察台の上で行い、お産のときのような格好をして検査をうけます。

超音波検査では何がわかる?

超音波検査は子宮内膜症の診断で重要な検査の一つです。超音波検査は放射線を使う検査ではないので被曝の心配はいりません。

子宮内膜症の診断に使う超音波検査では、足の親指の太さ程度の棒状の機械(プローブ)を膣から挿入して観察をします。膣からの観察では、卵巣やお腹の中に水分が溜まっていないかなども把握することができます。

子宮内膜症に血液検査はある?

血液検査は全身の状態を把握するのに役立ちます。

子宮内膜症では過多月経(月経時の出血が多い)や不正出血(生理周期と関係なく出血する)がおきて血液が少なくなることがあります。血液検査では出血の程度なども推測することができます。

子宮内膜症が卵巣にできると、卵巣がチョコレート嚢胞(のうほう)と呼ばれる状態に変化することがあります。チョコレート嚢胞は卵巣がんと区別することが大事です。卵巣がんと区別をする目安として、血液検査でCA125やCEAなどの腫瘍マーカーの値を調べることがあります。ただし、腫瘍マーカーが上昇することは必ずしもがんが出来ていることを意味しません。子宮内膜症では腫瘍マーカーが上昇しないことが多いですが、基準値を上回ることもあります。極端に高い値の場合や、治療後に数値の変動があった場合に注目することで、診断の助けになる場合があります。

MRI検査とは?

MRI検査は子宮内膜症を診断するうえで最も大事な検査です。

MRI検査は磁気を利用する画像検査です。放射線を使うことはないので放射線の身体への影響を心配する必要はありません。身体の中にペースメーカーなどの金属製品が入っている人では、磁気の影響を考えてMRIを使えない場合があります。

MRI検査では子宮内膜症の広がりや周りの臓器への影響を推定することができます。造影剤という薬を注射して病変をよりはっきりとした形で画像化する方法もあります。

腹腔鏡検査で何がわかる?

腹腔鏡(ふくくうきょう)は手術の方法や道具として耳にしたことがあるかもしれません。

腹腔は腸などのお腹の中にある臓器の隙間の空間です。腹腔鏡は映像を映し出すカメラがついた棒状の機械です。腹腔鏡を腹腔の中に挿入することで腹腔内を観察できます。

腹腔鏡検査では子宮内膜症ができやすい卵巣や腹腔内を映像で観察することができるので、子宮内膜症を診断する上でもっとも信頼性の高い検査になります。子宮内膜が腹腔内に発生するとその部分が青く見えることがあります。これをブルーベリースポットといいます。卵巣に子宮内膜症ができた場合は茶色く見えることがあります。これをチョコレート嚢胞と言います。検査のあと医師から検査の画像の説明があります。そのときにブルーベリースポットやチョコレート嚢胞という言葉を、病気の部分を示すものとして説明されるかもしれません。

腹腔鏡検査は手術室で全身麻酔のもとで行う必要がある大がかりな検査です。全員に腹腔鏡検査をする必要はありません。他の検査で明らかに子宮内膜症と診断ができる場合には省略されます。

5. 月経(生理)のタイミングを避けて検査を受けることが大事

子宮内膜症は月経のときに重い症状がでることがあります。つらい症状の原因を探るべく医療機関を受診するのは正しい姿勢です。しかし月経中は検査を受けるタイミングとして適切かというと一考の余地があります。

子宮内膜症を調べるには内診や直腸診などが必要になります。このために出血をしている状態よりは出血をしていない状態の方が検査を受けるタイミングとしてはより適しています。また月経中はホルモンのバランスが通常と異なるので血液検査などにも影響することがあります。正確な診断をするという意味でも月経のタイミングを避ける方が望ましいと思います。

一方で月経が終わると症状も軽くなり「毎月のことだから」、「少しの間我慢するだけ」と考えて受診を先送りする人もいると聞きます。医療機関を受診することは勇気が要るかもしれません。しかし、受診すると原因がわかり治療により月経のときのつらさが少しでもよくなるかもしれません。たとえ原因がないといわれても安心して精神的にとても楽になると思います。もし医療機関の受診をためらっているのならば勇気を出して一歩踏み出してみてください。