ひどい生理痛に針治療とツボ押しは効く?2015年までの医学研究から

生理痛がひどく、子宮内膜症などの原因がないのに日常生活がうまくできないほどの痛みがある状態を原発性月経困難症と言います。薬もありますが、鍼(ハリ)や指圧に効果はあるのでしょうか。これまでに研究されている内容のまとめが報告されました。
◆鍼治療、指圧の研究報告まとめ
ここで紹介する報告は、
研究班は、最新で2015年までの研究登録データベースを検索し、見つかった42件の研究から、合計4,640人の対象者についてのデータを集めました。
◆鍼、指圧ともに改善の報告あり
見つかった研究のうち、鍼治療を痛み止めの薬(
すべての研究において、鍼治療群のほうが痛みのスコアは低く、0から10のVASのスコアで平均差は研究によって0.64ポイントから4ポイントまでの幅があった(低い質のエビデンス)。4件のR
CT が痛みが和らいだ率を報告し、鍼治療群に利益があったとした(オッズ比4.99、95%信頼区間2.82-8.82、352人の女性、I2=0%、低い質のエビデンス)。有害事象は鍼治療群のほうが少なかった(オッズ比0.10、95%信頼区間0.02-0.44、4件のRCT、239人の女性、4件の試験、I2=15%、低い質のエビデンス)。
鍼治療で、NSAIDsよりも痛みが軽くなり、NSAIDsよりも副作用が少なかったという結果が報告されていました。ただし、ほかの研究で、鍼治療をニセの鍼治療(ツボを外して刺すなど)などと比べたデータもありましたが、その違いがあるかは確かめられませんでした。
指圧については次の結果がありました。
データは統合不能だったが、2件の研究が0から10のVASの痛みスコアで平均1ポイントから3ポイントの利益を報告していた。
指圧によって痛みが弱くなったとする報告がありました。
しかし、研究方法によって結果が偏っている可能性などを考えたうえの全体の評価としては、研究班は「鍼または指圧が原発性月経困難症を治療するうえで有効かどうかを証明する十分な証拠はない」とまとめています。
全体として研究からはっきり確かめられているとは言いにくいものの、鍼にも指圧にも効果があったとするデータが見つかりました。病院の治療以外の民間療法にはいろいろなものがありますが、その中でも医学研究として検討がなされている鍼と指圧については、比較的信頼できる情報があると言えるでしょう。
執筆者
※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。