月経困難症の市販薬:つらい生理痛に使える痛み止めなど
生理時に日常生活に支障をきたすほど強い症状が出ることを月経困難症と言います。月経困難症は他の病気に伴う場合もありますが、病気が背景にない場合には、手軽に買える市販薬で症状を抑えるのも一つの手です。実際、生理痛に対して、さまざまな種類の痛み止めが市販薬として販売されています。ここではその種類について代表的なものを紹介しますので、自分にあった薬選びに役立ててください。
目次
1. 月経困難症の痛みに使える市販薬の成分
生理痛に効く薬の代表的な薬は、非
【月経困難症に使われる市販薬】
- ロキソプロフェンナトリウム
- アスピリン(アセチルサリチル酸)
- イブプロフェン
- エテンザミド
その他の痛み止め成分として、アセトアミノフェンもよく使われます。15歳未満の子どもでも使える成分なので、小・中学生用として市販されている薬の主成分となっています。
また、漢方薬を使うのも一つの選択肢となります。医療機関で処方される漢方薬の多くはOTC医薬品(市販薬)としても入手できます。月経困難症で使われる漢方薬について、詳しくはこちらのページを見てください。
2. アセトアミノフェンを含む市販薬
アセトアミノフェンは、NSAIDsに比べて炎症を抑える作用は弱いですが、「胃腸への負担が少ない」、「子どもや妊婦に対して安全性が高い」、といったメリットがあります。
アセトアミノフェンを主成分とする市販薬には下記があります。
【アセトアミノフェンを主成分とする市販薬】
*いずれも、服用間隔は4時間以上あけ、1日あたり3回服用を限度とする。詳細は各商品名のリンク先を参照
商品名 | 1錠あたりに含まれる アセトアミノフェン の量 |
1回量 |
タイレノールA | 300mg | 成人(15歳以上):1回1錠 15歳未満は服用しないこと |
ノーシンAc | 150mg | 成人(15歳以上):1回2錠 7-14歳:1回1錠 7歳未満は服用しないこと |
ポパドンA | 150mg | 成人(15歳以上):1回2錠 7-14歳:1回1錠 7歳未満は服用しないこと |
チンツーミンA | 150mg | 成人(15歳以上):1回2錠 7-14歳:1回1錠 7歳未満は服用しないこと |
アイユニー | 100mg | 成人(15歳以上):1回3錠 11歳-14歳:1回2錠 5歳-10歳:1回1錠 5歳未満は服用しないこと |
バファリンルナJ | 100mg | 15歳以上:1回3錠 11歳以上15歳未満:1回2錠 7歳以上11歳未満:1回1錠 7歳未満は服用しないこと |
小児用バファリンCII | 33mg | 11歳以上15歳未満:1回6錠 7歳以上11歳未満:1回4錠 3歳以上7歳未満:1回3錠 3歳未満は服用しないこと |
こどもリングルサット | 50mg | 11-14歳:1回4錠 7-10歳:1回3錠 5-6歳:1回2錠 5歳未満は服用しないこと |
小児カイテキ錠 | 33mg | 11歳以上15歳未満:1回6錠 7歳以上11歳未満:1回4錠 3歳以上7歳未満は1回3錠 3歳未満は服用しないこと |
商品名に「こども」や「小児」とついている薬もありますが、有効成分は同じです。
また、NSAIDsとアセトアミノフェンの両方を含む市販薬も多くあります。バファリンルナi(アイ)、新セデス®錠、ノーシンピュアなどです。アセトアミノフェン以外の成分を含む薬には、ほかの成分による副作用もあります。
ここからは、シリーズごとに紹介していきます。
3. ロキソニン®︎Sシリーズ
市販薬のロキソニン®SはNSAIDsのロキソプロフェンナトリウムを主成分としています。病院で処方されるロキソニン®錠と同じ成分で、痛み、発熱、炎症を抑える効果があり、生理痛にも効果があります。ロキソプロフェンナトリウムはもともと病院で処方されなければ買えない医療用医薬品でしたが、有効性などが認められ、処方箋なしで買える市販薬として販売されるようになりました。
ロキソプロフェンナトリウムがよく使われている理由としては、痛みを抑える効果が高いことや安全性などがあります。
ロキソニン®Sプラス
ロキソニン®Sプラスは、ロキソプロフェンナトリウムに加えて、胃を守る成分として酸化マグネシウムを「プラス」した薬です。普通のロキソニン®Sに比べると「胃に優しい」薬ということになります。
とはいえ、胃に負担がかかるロキソプロフェンナトリウムが主成分であることは変わりません。「胃に優しい」と言っても、決められた用法・用量を守らなければ副作用が出る危険性も高くなります。
ロキソニン®Sプレミアム
ロキソニン®Sプレミアムは2016年4月に新たに発売され、ロキソニン®シリーズに加わりました。以下の4種類の成分による効果が期待できます。
【ロキソニン®Sプレミアムの成分】
- ロキソプロフェンナトリウム
- アリルイソプロピルアセチル尿素:鎮痛効果を高める
- 無水カフェイン:鎮痛補助効果をあらわす
- メタケイ酸アルミン酸マグネシウム:胃を守る
カフェインを含むため、依存性や不眠などの副作用には注意が必要です。
なお、ロキソプロフェンナトリウムを含む主な市販薬として他に下記があります。
【ロキソプロフェンナトリウムを含む主な市販薬】
- バファリンEX
- コルゲンコーワ鎮痛解熱LXα
- ハリー解熱鎮痛薬L
- メディペインS
- ユニペインL
- エキセドリンLOX
- ピタリノールLX
- スカイブブロンLX
- ロキベール
- ロキソプロフェン錠「クニヒロ」
- ロキソプロフェン錠「AX」
- ロキソプロフェンソフトカプセル「BMD」
ここで、「バファリン」という名前がついていても、バファリンEXとバファリンAなどでは成分が違うことに注意してください。バファリンEXの成分はロキソプロフェンナトリウムですが、バファリンAの成分はアスピリンです。市販薬にはこのように、同じ名前のついたシリーズでも成分の違う製品がある場合があります。欲しい薬の名前があいまいな場合は、薬剤師などに相談するとより確実です。
4. バファリンシリーズ
生理痛や頭痛にはバファリン…というイメージがある人も多いかもしれません。バファリンは痛み止めの中でも特によく知られている薬です。
バファリンA
「バファリン」とただ言ったときはだいたいバファリンAのことです。バファリンAの成分はアスピリンです。生理痛などの痛みに効果があります。アスピリンは別名でアセチルサリチル酸とも言います。
小児用バファリンCII
同じ「バファリン」の名前を持つ薬でも、小児用バファリンCIIなどの主な成分はアスピリンではありません。なぜなら、アスピリンは安全性などへの配慮から、15歳未満の子どもに対しては特に必要があって処方された場合にだけ使われる薬だからです。このため、市販薬では大人が使う薬と子どもが使う薬で成分を変えているのです。小児用バファリンCIIの成分であるアセトアミノフェンは、子供に対しても比較的使われやすい薬です。
女性向けのバファリンルナi
女性の生理痛・頭痛を主なターゲットとしているバファリンルナi(アイ)には2種類の有効成分が配合されています。
【バファリンルナiの有効成分】
- イブプロフェン
- アセトアミノフェン
さらに鎮痛効果を助ける成分(鎮痛補助成分)としてカフェインを、また胃を副作用から保護する成分として水酸化アルミニウムを配合しています。
小中学生、高校生向けのバファリンルナJ
生理痛と言えば成人女性のイメージが浮かぶかもしれませんが、初潮は小学校の高学年から中学校に入るころに多くなります。初潮が来ても生理痛をがまんしている子どもは多いと言われています。そこで、小・中・高校生の生理痛・頭痛を主な対象としたバファリンルナJという薬もあります。
バファリンルナJは、小学生(7歳以上)でも飲めるように痛み止めの成分はアセトアミノフェンだけで作られています。
5. セデス®シリーズ
痛くなったら…と言えばセデス®を思い出す人が多いかもしれません。セデスは市販の痛み止めの中でよく知られているものの一つです。
新セデス®️錠
主力商品の新セデス錠はアセトアミノフェンとエテンザミドという痛み止め成分を含んでいます。新セデス錠にはさらに別のしくみで痛みを抑える成分のアリルイソプロピルアセチル尿素と、鎮痛効果を助ける成分として無水カフェインが入っています。あわせて4種類の成分が働いて痛みを抑えます。
新セデス錠は7歳以上の子どもなら飲めます。
セデス®・ハイ
セデスシリーズには、さらに強い痛みに対して効果が期待できるセデス・ハイもあります。
セデス・ハイには4種類の成分が配合されています。
【セデス・ハイの配合成分】
- アセトアミノフェン
- 無水カフェイン
- アリルイソプロピルアセチル尿素
- イソプロピルアンチピリン(IPA)
ほかの成分に加えてIPAがさらに別のしくみで働いて痛みを抑えます。
新セデス錠が7歳から飲めるのに対し、セデス・ハイは15歳以上で飲むように制限されています。間違ってセデス・ハイを15歳未満の子どもが飲まないようにしてください。
市販薬では同シリーズ内でもこのように年齢制限が違うことがあるので注意が必要です。
6. イブシリーズ
イブ®Aはイブプロフェンを主な鎮痛成分とする製剤です。名前の由来は「イブプロフェン」の「イブ」です。シリーズではじめて発売されたイブ®Aはイブプロフェン単独成分の薬です。
イブ®A錠はイブプロフェンにアリルイソプロピルアセチル尿素(新セデス®錠にも入っている痛み止め成分)と無水カフェインを加えています。イブ®Aシリーズは主に生理痛や頭痛に対して効果が期待できます。
イブA錠EX
イブ®A錠EXはイブ®A錠よりイブプロフェン量が多い錠剤です。イブ®A錠には1回分あたり150mg、イブ®A錠EXには1回分あたり200mgのイブプロフェンが配合されています。
イブクイック頭痛薬DX
イブクイック®頭痛薬DXはその名前のとおり頭痛を抑えることを主に目的としている薬ですが、生理痛にも効果があります。
イブクイック®頭痛薬DXはイブ®Aシリーズの成分イブプロフェンに酸化マグネシウムを配合し、有効成分の吸収を速めるとともに胃の粘膜を副作用から守るように工夫されています。頭痛を早く和らげるほか、肩こりの痛みや、生理痛などの痛みを和らげる効果も期待できます。
7. ノーシンシリーズ
頭痛や生理痛に対してよく使われている市販の痛み止めにノーシンがあります。ノーシン(散剤)とノーシン錠の主な成分は3成分です。
【ノーシン錠の主成分】
- アセトアミノフェン
- カフェイン水和物
- エテンザミド
この3成分の組み合わせのことを、アセトアミノフェンAcetaminophen、カフェイン(カフェイン水和物)Caffeine、エテンザミドEthenzamideの頭文字をとって「痛みや熱に対してのACE処方(エースしょほう)」と呼ぶこともあります。
ノーシン(散剤)もノーシン錠も、主成分は同じ3成分です。
ノーシンピュア
「ノーシン」シリーズには生理痛を主な対象としたノーシンピュアがあります。ノーシンピュアは3成分を配合した薬です。
【ノーシンピュアの配合成分】
- イブプロフェン
- アリルイソプロピルアセチル尿素(新セデス®錠やイブ®A錠にも入っている痛み止め成分)
- 無水カフェイン
ノーシンピュアは15歳以上で飲めるようになっています。
小中学生用ノーシンピュア
ノーシンピュアには小中学生用の小中学生用ノーシンピュアもあります。
小中学生用ノーシンピュアはイブプロフェンを使っていません。主な成分は以下の3種類です。
【小中学生用ノーシンピュアの主成分】
- アセトアミノフェン
- アリルイソプロピルアセチル尿素
- 無水カフェイン
小中学生用ノーシンピュアは7歳以上で飲める薬です。
8. その他の市販薬
この他、市販の痛み止めにはリングル®アイビー、ナロンエースTなどいろいろなものがあります。多くは上で挙げたような鎮痛成分を主成分としています。
胃腸の過度な運動を抑える薬
特に軟便を伴うような下腹部の痛みに対してはブスコパン®A錠などの市販薬が効くことがあります。
ブスコパン®A錠はブチルスコポラミンを有効成分としています。ブチルスコポラミンは胃腸の過度な運動を抑える薬です。「痛み止めの薬」であまり効果が得られないような「お腹の痛み」に試してみるのもよいでしょう。
腹痛などの生理特有の痛みに用いる専用薬
市販薬にはいくつかの有効成分を組み合わせた製品が多く発売されていますが、中でもエルペインコーワは生理痛の仕組みを考慮して造られた生理痛専用薬です。
解熱鎮痛成分のイブプロフェンに加え、胃腸の過度な運動を抑える成分であるブチルスコポラミンの2種類の有効成分が配合されています。
つらい生理痛の中でも主に軟便を伴う下腹部痛がある場合に対して特に効果が期待できます。