帯状疱疹に市販薬は効かない? 病院で処方される薬、服用期間、副作用など
帯状疱疹の痛みや水ぶくれに対して市販薬はあまり有効ではありません。早めに病院に行って適した薬を処方してもらってください。「高い」とも言われる薬ですが、原因の
目次
1. 帯状疱疹に市販薬は効かない?
帯状疱疹の原因のウイルスに対して有効といえる市販薬はありません。
帯状疱疹を放置すると激しい痛みが続きますが、薬で治療すれば7日間程度の服用期間で効果が現れます。帯状疱疹の自然な経過について詳しくは「帯状疱疹の画像」のページで説明しています。
市販薬の中には、間違った使い方をするとかえって帯状疱疹を悪化させてしまうものもあります。自分で薬を塗ったりしないで、早く病院に行くことが大切です。
2. 帯状疱疹の薬ゾビラックス、バルトレックス、ファムビルとは
帯状疱疹の治療では、原因である
抗ヘルペスウイルス薬の服用期間
帯状疱疹に対して、抗ヘルペスウイルス薬は飲み薬として主に以下の3種類が使われます。
- アシクロビル(主な商品名:ゾビラックス®):1日に5回内服×7-10日間
- バラシクロビル塩酸塩(主な商品名:バルトレックス®):1日に3回内服×7日間
- ファムシクロビル(主な商品名:ファムビル®):1日に3回内服×7日間
上記の服用回数・服用期間は
帯状疱疹に対して抗ヘルペスウイルス薬は
バルトレックスは体重40kg以上の子どもには使えますが、腎障害のある子どもなどに対しては特に注意が促されています。
ファムビルは子どもの帯状疱疹に対しては安全性が確立していません。
抗ヘルペスウイルス薬の点滴は入院して使う
帯状疱疹が重症の場合などで、入院して点滴に使う注射剤にはアシクロビル(主な商品名:ゾビラックス®点滴
抗ヘルペスウイルス薬の塗り薬
抗ヘルペスウイルス薬の外用剤(塗り薬)もあります。主な薬剤としてビダラビン(アラセナ®Aなど)があり、症状がごく軽度である場合などに使われます。
3. 抗ヘルペスウイルス薬の副作用
帯状疱疹の治療の中心になる抗ヘルペスウイルス薬の安全性は比較的高いとされていますが、注意すべき副作用はあります。
抗ヘルペスウイルス薬(アシクロビル、バラシクロビル塩酸塩、ファムシクロビル)においては吐き気・下痢などの消化器症状、意識がぼんやりする・めまいなどの精神神経症状といった副作用があります。また頻度はまれですが、過敏症や腎障害といった副作用にも注意が必要です。
4. 抗ヘルペスウイルス薬を注意して使うべき人
特に
- 健康診断などにおいて腎臓が悪いと言われたことがある
透析 を受けている- 尿が出にくい
むくみ がある
上の中に該当するものがあれば、帯状疱疹の治療を受ける前に医師に伝えてください。
また、抗ヘルペスウイルス薬を飲んでいる間は授乳ができません。授乳中に病院に行くときは、帯状疱疹に限らず、授乳していることを医師に伝えましょう。
妊娠している人には、抗ヘルペスウイルス薬は「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与する」とされています。
5. 抗ヘルペスウイルス薬の飲み合わせに注意するべき薬
抗ヘルペスウイルス薬との飲み合わせに注意が必要な薬もあります。
- プロベネシド(商品名:ベネシッド®)
- 尿酸値を下げる作用があり、痛風予防などに使われる薬です。併用することで抗ヘルペスウイルス薬が正常に尿の中に排泄される作用が抑えられ、通常よりも抗ヘルペスウイルス薬の血液中の量が増えることにより、作用が過度に増強するなどの可能性が考えられます。
- シメチジン(商品名:タガメット®など)
- 胃酸の分泌を抑え、胃潰瘍などを治療する薬です。併用することで抗ヘルペスウイルス薬の排泄が抑えられる可能性が考えられます。
- ミコフェノール酸モフェチル(商品名:セルセプト®など)
- 臓器移植における拒絶反応を抑える薬です。併用することで抗ヘルペスウイルス薬とミコフェノール酸モフェチルの両剤共に排泄が抑えられる可能性が考えられます。
- テオフィリン(商品名:テオドール®、テオロング®、ユニフィル®など)
- 喘息などに使う薬です。併用することでテオフィリンの血液中の量が増えるとされています。
ほかの病気の治療期間に帯状疱疹が出た場合にも、帯状疱疹の治療期間にほかの薬を始める場合にも飲み合わせの注意が必要です。
帯状疱疹に限らず、病院・クリニックに受診した際には、現在治療中の病気や使用している薬、健康食品やサプリメントなどを漏らさず伝えることが非常に重要です。
6. 帯状疱疹の痛みや炎症を抑える消炎鎮痛薬
帯状疱疹の治療では、痛みを弱くする目的で消炎鎮痛薬を使うこともあります。痛みが激しくてがまんできないときは病院で相談してみましょう。
- アセトアミノフェン
- 比較的安全性が高く子どもにも使える薬です。
- ロキソプロフェンナトリウム(商品名:ロキソニン®など)
NSAIDs (エヌセイズ:非ステロイド 性抗炎症 薬)という薬の種類に分類されます。副作用として胃痛、胸やけなどの消化器症状や喘息誘発などの呼吸器症状などに注意が必要です。
アセトアミノフェンとNSAIDsは帯状疱疹でも痛みや発熱を抑えるために使われる消炎鎮痛薬です。アセトアミノフェンとNSAIDsの違いについてはコラム「「ロキソニン」と「カロナール」は何が違うの?解熱鎮痛剤の特徴について解説」でも説明しています。
7. 帯状疱疹の痛みや炎症に、塗って使うタイプの消炎鎮痛薬(外用塗布薬)
帯状疱疹の痛みをやわらげる塗り薬として、ウフェナマート(商品名:コンベック®、フェナゾール®)やイブプロフェンピコナール(商品:スタデルム®、ベシカム®)、ベンダザック(商品名:ジルダザック®)などが使われます。
- コンベック軟膏5%の基本情報(効能効果・副作用・薬価など)
- フエナゾール軟膏5%の基本情報(効能効果・副作用・薬価など)
- スタデルム軟膏5%の基本情報(効能効果・副作用・薬価など)
- ベシカム軟膏5%の基本情報(効能効果・副作用・薬価など)
- ジルダザック軟膏3%の基本情報(効能効果・副作用・薬価など)
8. 帯状疱疹の激しい痛みを抑えるステロイド(副腎皮質ホルモン)
主に帯状疱疹初期の強い痛みに対して、NSAIDsなどの消炎鎮痛薬では効果が不十分である場合などにステロイド
ステロイド内服薬は、帯状疱疹では比較的短期間の使用になることが一般的ですが、
注意が必要な薬ですが、自己判断で中止したり量を変えて飲んだりするのは非常に危険です。かえって病気が悪化したり、症状がぶり返したり、治りが遅くなる場合もあります。
治療期間や使用中の注意点、副作用が出たときの対処などを処方医や薬剤師からよく聞いてください。
9. 帯状疱疹によって傷付いた神経の回復を促すビタミン剤
メコバラミン(商品名:メチコバール®など)は
皮膚症状が消えた後の帯状疱疹後神経痛においても使われる場合があります。帯状疱疹後神経痛の治療については「イオントフォレーシスなど、帯状疱疹後神経痛の治療を解説」で説明しています。
10. その他の薬
皮膚のただれがひどい場合は、傷口から
水ぶくれの後の治りを良くするために、皮膚の再生を促す軟膏(アクトシン®軟膏など)が使われる場合もあります。