きかんしぜんそく
気管支喘息
アレルギーなどで空気の通り道(気道)に炎症が起こることで、気道が狭くなってしまう病気
25人の医師がチェック 267回の改訂 最終更新: 2024.02.16

喘息発作ではどんな薬を使う?自宅でも使える薬、注射、点滴など

喘息は発作を起こさないように普段からしっかりと治療していくのが大事です。しかし発作を起こしてしまった時の対応も重要です。ここでは発作が起きた時に使う薬剤に関して詳しく解説していきます。 

喘息の発作が起きてしまったとき、それがどのくらい危険なものであるのか患者さんにとっては分かりにくいことだと思います。実際に多くの喘息発作は何も治療をしなくても自然におさまる一方で、呼吸が出来なくて亡くなってしまうほどの重症になる場合もあります。したがって、どのようなタイミングで病院を受診すべきかという点が重要です。

喘息発作が起きたときに、どのような状況になったら救急外来を受診すべきかというのは患者さんによって異なるので、日頃から主治医に聞いておくのがベストでしょうが、喘息治療のガイドラインでは以下のような状況のとき受診することを目安としています。

・手持ちの短時間作用型β2刺激薬(SABA)の吸入を1時間から2時間おきに必要とするとき

・手持ちの気管支拡張薬で3時間以内に症状が改善しないとき

・症状が次第に悪化していくとき

・中等度以上の喘息症状のとき

ここでいう中等度の喘息発作とは、苦しくて横になれないだとか、かろうじて歩ける程度の息苦しさ、を目安としています。またパルスオキシメーターという酸素濃度測定器を持っている患者さんの場合にはSpO2が95%以下の場合、ピークフローメーターを持っている患者さんの場合には普段の80%以下の値しか出ない場合、というのが目安になります。

参考文献:日本アレルギー学会喘息ガイドライン専門部会/編, 喘息予防・管理ガイドライン2015. 協和企画, 2015

喘息発作が起きてしまった際に、自宅で対処するにはどのようにしたらよいでしょうか?

発作が起きてしまった時の一般的な対応としては、なるべく安静にしておくのが無難でしょう。既に処方を受けている方は短時間作用型β2刺激薬(SABA)の吸入を行います。効果が不十分であれば1時間までは20分おきに吸入を繰り返し、以降は1時間に1回を目安に吸入します。自宅での使用が可能なSABAの例を挙げます。

  • サルブタモール(商品名ベネトリン®、アイロミール®、サルタノール®)

  • フェノテロール(商品名ベロテック®)

  • イソプレナリン(商品名アスプール®)

  • プロカテロール(商品名メプチン®)

SABAではありませんが、もともとシムビコート®を処方されている患者さんの場合には、発作出現時に1吸入、数分間経過しても発作が持続する場合にはさらに追加で1吸入するというような用法があります(患者さんによって使用方法の指示が異なることはあるので、詳細は主治医に確認が必要です)。

ただし、自宅での治療にはやはり限界があるので、これらの治療薬を使用しても数時間以内に息苦しさが改善しない場合には病院を受診すべきでしょう。

アドレナリンは喘息で救急受診した場合に使われることのある非常に強力な治療薬であり、成人の喘息発作に対して皮膚に0.1-0.3ml程度を注射して用います。

気管支を囲む筋肉をゆるませたり、気管支のむくみを抑えることで強力に気管支を拡張します。

ただし、甲状腺機能亢進症、重症不整脈閉塞隅角緑内障などがある場合には使用を控えるべきとされます。妊娠している場合にも基本的には使い難い薬剤です。また効果は数十分以内に切れてきます。喘息発作に対してアドレナリン皮下注射は緊急事態をしのぐための奥の手と考えて良いでしょう。

喘息発作で病院を受診し、短時間作用型β2刺激薬の吸入で症状が治まらない場合や、もともと内服ステロイド薬を使っている場合などで点滴が行われます。内服ステロイドと同様に、多くのステロイドが全身に巡るため長期的な使用では副作用が問題になりますが、点滴ステロイドをある程度以上の喘息発作を乗り切るために短期的に使用することは重要な治療であると考えられています。

点滴ステロイド薬はさらに2種類に分類できます。

  • コハク酸エステル型ステロイド

  • リン酸エステル型ステロイド

いわゆるアスピリン喘息の患者さんでは、コハク酸エステル型ステロイドを点滴すると症状がより悪化することが多いため、リン酸エステル型ステロイドの点滴にしなくてはなりません。

コハク酸エステル型ステロイド、リン酸エステル型ステロイドにあたる薬剤名の例を挙げます。

  • コハク酸エステル型ステロイド

    • サクシゾン®

    • ソル・コーテフ®

    • 水溶性プレドニン®

    • ソル・メドロール®

  • リン酸エステル型ステロイド

    • 水溶性ハイドロコートン®

    • コーデルゾール®

    • デカドロン®

    • リンデロン®

コハク酸エステル型のステロイド製剤は非常によく点滴で使われるため、アスピリン喘息と診断されたことがある患者さんは受診時に必ず担当医に速やかにその旨を伝えてください。

参考文献

「ステロイド」と効くと皆さんはどんなイメージを持たれるでしょうか?副作用が怖い、とか、ドーピングで使う、とかネガティブなイメージが強いのではないかと思います。実際に飲み薬や点滴で、多量のステロイドを何年間も使っていけば重大な副作用はしばしば起こります。しかし、マスメディアなどからの情報が独り歩きして、ステロイドの有用性より副作用ばかりが強調されすぎていると多くの医師が考えています。ステロイドは多くの病気において重要な治療薬であり、100年前には治療手段の無かった難病に対する治療薬として多くの分野で活躍しています。ステロイドのメリットとデメリットをしっかりと把握して、必要な時に必要なだけキッチリと使う、という姿勢が重要だと思います。

ここでは喘息発作で病院を受診した時に使われる点滴ステロイドについて解説します。

点滴ステロイドに関しては、喘息発作を起こしているあるいは起こしそうな時に使用するのが基本的な使い方です。強力な喘息治療薬ですが、吸入ステロイドとは異なり多くの量のステロイドが全身に巡るため、長期的に(月単位で)使用する場合には副作用に十分注意が必要です。副作用の例を挙げます。

ほかにもさまざまな副作用があります。

ただし、喘息発作に対して数日から1週間以内ほどの短期間で使用するのであれば、上に挙げたような副作用はさほど気にすることなく使用することが出来ます。喘息発作という危機的な状況を乗り切るために点滴ステロイドが必要と判断された場合には、しっかりと治療する利益のほうが副作用を上回ると考えられます。

なお、発作を繰り返して頻繁に点滴ステロイドを必要とする場合も確かに存在します。そのような場合には副作用を考えてできることもあります。

  • ステロイドの副作用対策をしっかりする

  • 喘息以外の疾患が隠れていて治療がうまくいっていない可能性を検索する

  • ステロイドを使わない特殊な治療(ゾレア®、ヌーカラ®などの高価な注射薬の使用、気管支サーモプラスティの施行など)を考える

点滴ステロイド以外の選択肢も視野に入れて、それぞれの長所と短所を見比べることが重要となるでしょう。

点滴テオフィリン製剤は、喘息発作の際に使用することで気管支が広がり、症状の改善や、入院が必要になる割合が減ることが分かっている点滴薬です。ただし、血液中の濃度が高まると頭痛、吐き気、不整脈などの副作用が出やすく、用量の調整がやや難しい薬なので、近年は使用される頻度がやや減ってきています。血液中濃度が高まりすぎるのを防ぐために、血液中濃度を採血で調べながら使用することもあります。

参考文献:Ann Intern Med. 1991 ; 115 : 241-7.