きかんしぜんそく
気管支喘息
アレルギーなどで空気の通り道(気道)に炎症が起こることで、気道が狭くなってしまう病気
25人の医師がチェック 267回の改訂 最終更新: 2024.02.16

気管支喘息の原因は何?タバコや飲酒、運動、遺伝、アスピリン喘息など

喘息の原因は不明の部分もあります。喘息は日本の子どもの9%から14%ほど、成人(15歳以上)の6%から10%ほどがかかるという身近な病気です。ここでは、いま分かっている喘息発症の原因や、喘息患者さんの症状を悪くする要因について解説します。 

喫煙は喘息になってしまう原因にも、喘息患者さんが喘息発作を起こしてしまう原因にもなります。また、親が喫煙しているかどうかは子どもの喘息発症率に関与しており、両親が喫煙者の場合には喘息を発症するリスクが大きく上がると言われています。妊婦の喫煙も胎児に影響を与え、喘息発症のリスクが上がることが分かっています。

このように、喘息にとってタバコが避けねばならないものであることは明らかで、患者さん自身も理解しているケースがほとんどです。

それでもタバコをやめられないのはなぜでしょうか。喫煙習慣にはニコチン依存症という薬物依存症の側面があります。ご自身の強い意志で禁煙できる方は素晴らしいですが、中にはどうしても禁煙できない方もいらっしゃいます。禁煙が出来ない場合は、タバコを吸ってしまうということを薬物依存症という病気のひとつと考えて、医療機関を受診して、お医者さんと一緒に禁煙してみてはいかがでしょうか。

参考文献

飲酒そのものが喘息を発症する原因になるかどうかは分かっていません。

しかし、一部の喘息患者さんでは、飲酒により喘息症状が悪化することが分かっています。日本人はアルコールを分解する酵素が欧米人と比較して遺伝的に弱い傾向にあることが分かっており、お酒に弱い方は特に飲酒によって喘息症状が悪化しやすいと言えます。

参考文献

  • 渡辺 尚, アルコール (飲酒) 誘発喘息の発症機序に関する研究 : 特にアセトアルデヒドとの関係について, アレルギー. 1991 ; 40 : 1210-7.

花粉症と喘息は直接の因果関係には乏しいですが、密接な関係にあります。

スギ、ヒノキ、カモガヤ、ブタクサ、ヨモギといった花粉により喘息を発症することがありますが、この際に目のかゆみやくしゃみ、鼻水といった典型的な花粉症の症状を伴わないで喘息を発症することもあります。また、逆に喘息の患者さんはアレルギー体質が強い傾向にあることが分かっており、花粉症にかかりやすいと言ってよいでしょう。

参考文献

黄砂、PM2.5などは近年話題になっている大気汚染物質です。これらが直接喘息を発症させる要因になっているかどうかは分かっていません。

しかし、もともと喘息がある人はこれらの物質を吸ってしまうことにより症状が悪化する可能性があることが分かっています。なので、喘息患者さんが大気汚染の強い地域に行く際や、大気汚染の強い時期に野外に出られる場合には、マスクを着用することをオススメします。マスクの種類によってはPM2.5などの微粒子を防げないこともあるので、マスク購入の際には説明をよく読むようにしましょう。

参考文献

喘息発作と気象の変化(曇天、台風、気温の変化など)との間には因果関係があることが知られています。日本国内の研究で、前日と比較して3℃以上気温が下がると喘息発作が起きやすくなったという報告があり、季節の変わり目などは喘息患者さんにとって要注意の時期と言えるでしょう。

参考文献

  • 石崎 達, 他, 気管支喘息発作と気象要因の解析, アレルギー. 1974 : 23 ; 753-9.

ビタミンD、脂肪酸、マグネシウムなどの摂取量と喘息発作の間に関係があるかもしれない、などという意見はあるのですが、現時点で喘息を発症させる可能性のある食事というのは明らかではありません。

ただし既に喘息を発症している患者さんの症状を悪化させる可能性のある食品に関しては分かっているものもあります。サリチル酸塩、食品保存料、グルタミン酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ある種の着色料・防腐剤などにより症状が悪化する喘息患者さんもいます。

また、食品と直接の関係はありませんが、肥満の方は喘息を発症しやすく、肥満の喘息患者さんは喘息発作を起こす頻度が多かったり、症状が強くなることが分かっています。肥満により喘息治療薬の効きも悪くなると言われています。喘息にかかる危険が高い方はなるべく肥満にならないように注意することが喘息の予防になりますし、肥満の喘息患者さんでは症状を和らげるためにも減量をお勧めします。

このように喘息患者さんの食事については注意点がいくつかありますが、全員にとって明らかに悪いようなものはあまり知られていないので、過度に気にしてストレスをためないことも大事でしょう。

参考文献

特定の薬剤が原因で喘息を新たに発症するかどうかは分かっていませんが、既に喘息と診断されている患者さんのうち、アスピリンなどの非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs(エヌセイズ)とも呼ばれます)で喘息発作が起こる方がいます。このような喘息をアスピリン喘息(あるいはNSAIDs過敏喘息)といいます。

子どもではアスピリン喘息は稀ですが、大人の喘息患者のうち5%から10%ほどはアスピリン喘息であると言われており、20歳代から40歳代くらいの若い患者さんが初めて発症することが多いという特徴があります。また、アスピリン喘息患者さんは、しばしば鼻水や鼻づまりなどの鼻関連の症状が出ます。

アスピリン喘息(NSAIDs過敏喘息)という名前のとおり、アスピリン喘息の患者さんではNSAIDsの使用は避けなくてはなりません。NSAIDsは市販の薬剤でも痛み止めや解熱薬としてしばしば含まれているため、十分に注意が必要です。湿布や塗り薬、目薬にNSAIDsが含まれているものもあり、これらも決して使ってはいけません。また、NSAIDsを使用しなければ大丈夫かというとそうではありません。アスピリン喘息患者さんの多くは重症の喘息であり、薬剤の使用がなくても喘息発作を起こしてしまうことがしばしばあります。さらに、ある程度以上の喘息発作の場合には、病院を受診するとステロイド剤の点滴を受けることがありますが、種類によってはこの点滴ステロイド剤でもアスピリン喘息が激しく悪化することがあります。このため、アスピリン喘息の患者さんは診察に際して医療関係者に必ずその旨を伝える必要があります。

その他、喘息患者さんが注意すべき薬として代表的なものにβ遮断薬と呼ばれる系統の薬があります。この薬は、心不全の治療に使われることが多いのですが、喘息が安定していないときに使うと、より喘息が悪化する可能性があるので、喘息を指摘されている患者さんは注意が必要です。 β遮断薬と呼ばれるタイプの薬は市販薬ではないため、薬局で薬を購入する際には心配することはありません。β遮断薬を避けるには、持病の治療を担当するお医者さんに喘息であることを伝えておけば十分だと考えられます。

【参考】
Allergy. 2011 ; 66 : 818-29.
Eur Respir J. 2000 ; 16 : 432-6.

運動と喘息は密接な関係にあることが分かっています。喘息は空気の通り道である気管支が刺激に対して過敏になり、炎症を起こす病気です。炎症によって気管支が狭くなってしまい息苦しさなどの症状が現れます。

運動時の激しい呼吸によって気管支の表面が冷却されて乾燥すると、喘息発作を起こしやすくなります。したがって、多くの喘息患者さんは運動により喘息症状が悪化することを自覚しています。しかし、運動によって喘息発作がおきてもほとんどのケースで運動終了後1時間以内には自然回復します。実際の運動では、水泳では喘息発作はおきにくく、ランニング、特に短距離走の繰り返しや中距離走で起こりやすいと言われています。

このように喘息患者さんにとって、運動が喘息発作の原因となりうることは分かっていますが、運動によって新規に喘息を発症することもあることが分かっています。アスリートは運動による激しい呼吸により気管支の表面が傷ついたり修復されたりを繰り返すことで、次第に喘息のような状態になっていきます。これをアスリート喘息といいいます。2012年の夏季ロンドンオリンピックでは日本選手団の11.2%が喘息と診断されました。これは日本人平均よりも高い数字であり、アスリート喘息の関与が考えられています。喘息の治療薬はドーピング禁止薬物が含まれていることも多く、喘息のあるアスリートは、喘息治療に際してスポーツ医学に精通した医師の診察を受けるのが望ましいと言えるでしょう。

【参考】
Principles and practice. 6th ed. Philadelphia ; Mosby : 2003, p1323-32.
Eur Respir J. 2009 ; 33 : 740-6.
Br J Sports Med. 2012 ; 46 : 471-6.

喘息を発症するかどうかにおいて、遺伝の要素は大きいと考えられています。両親どちらかが喘息の場合には喘息を発症する可能性が3倍から5倍ほど高くなるという報告が出ています。また、一卵性双生児では、一人に喘息がある場合にはもう一人も38%から62%ほどで喘息を持っていると言われています。

このように喘息はある程度遺伝することが分かっているので、血縁者に喘息の方がいる場合は喘息にかかる可能性が高まるといえます。そのような方は、次のような点に注意をしてください。

  • ダニやハウスダストをはじめとしたアレルギー物質をなるべく吸入しない
  • 喫煙しない
  • 気汚染物質を可能な限り避ける
  • 肥満にならないようにする
  • ペット飼育をなるべく避ける

これらは喘息の発症に関係があるとされる原因です。この原因を一つひとつ避けることで血縁者に喘息の方がいる場合でも、発症する可能性を減らすことにつながるかもしれません。

【参考】
Eur Respir J. 1997 ; 10 : 2490-4.
Eur Respir J. 1999 ; 13 : 2-4.