2018.01.29 | ニュース

喘息の診断と治療に、呼気一酸化窒素検査はどう役立つか?

文献の調査から
from Comparative Effectiveness Review
喘息の診断と治療に、呼気一酸化窒素検査はどう役立つか?の写真
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呼気一酸化窒素(FeNO)検査は、吐いた息の成分を測定して、気管支喘息の診断などの参考とする検査です。これまでの研究データをもとに、FeNO検査の性能などが検討されました。

FeNO検査の研究データの調査

FeNO検査は日本では2013年に保険適用とされた比較的新しい検査です。医療機関によっては気管支喘息の診断の助けなどに使われていて、息を吹くという簡便な検査方法が利点のひとつです。FeNOの検査値が低い値に抑えられているかどうかで、喘息の治療がうまくいっているかどうかを見る、というような使い方がされることもあります。

アメリカの医療研究・品質調査機構(AHRQ)の研究班が、FeNO検査の性能などについて、これまでに研究から報告されているデータの調査を行いました。この調査は、文献の検索により過去の研究を収集し、内容を吟味して統合したものです。研究班はまず5点の問いを設定しました。

  • 5歳以上の患者でFeNO検査は喘息をどの程度見分けられるか?
  • 5歳以上で喘息がある患者で、FeNO検査は喘息の病状やその影響を判定するためにどう役立つか?
  • 5歳以上の患者で、FeNO検査は喘息の治療薬を選ぶためにどう役立つか?
  • 5歳以上の患者で、FeNO検査は治療効果を判定するためにどう役立つか?
  • 0歳から4歳で喘鳴症状を繰り返している子供にFeNO検査を行うことで、5歳以上での喘息をどの程度予測できるか?

それぞれの問いに対応する研究を探し、見つかったデータの質を評価して、結果の確かさを「強い」「中等度」「弱い」「証拠不十分」の4段階に分類しました。

 

5歳以上の患者でFeNO検査は喘息をどの程度見分けられるか?

FeNO検査の性能について、喘息らしいかどうかを判定する基準値をさまざまに変えた時のデータが見つかりました。

FeNO基準値(ppb)

感度

特異度

20未満

0.79

0.72

20-30

0.64

0.81

30-40

0.53

0.84

40以上

0.41

0.94

このデータの確かさは「中等度」と判定されました。

感度とは、実際に喘息がある人を見逃さず喘息らしい(陽性)と言い当てられる割合を指します。特異度とは、実際には喘息がない人を喘息と間違えず「喘息ではなさそうだ」(陰性)と言い当てられる割合を指します。

たとえばFeNO検査で40ppb以上の基準値を設定した研究データからは、喘息ではない人の94%で正しく検査陰性となる一方、喘息がある人の中で検査陽性となる人は41%にとどまると見られました。

 

5歳以上で喘息がある患者で、FeNO検査は喘息の病状やその影響を判定するためにどう役立つか?

見つかったデータでは、FeNOの検査値が、喘息を治療で抑えられるかなどと弱い関連があったものの、確かさは「弱い」と判定されました。

 

5歳以上の患者で、FeNO検査は喘息の治療薬を選ぶためにどう役立つか?

5歳以上の子供でも大人でも、FeNO検査を使わないで治療した場合に比べて、FeNO検査を計画に組み入れて治療したほうが発作のリスクが少ない(成人でオッズ比0.62、子供でオッズ比0.50)と見られ、確かさは「強い」と判定されました。

また、FeNO検査によって吸入ステロイド薬が効きやすい人を見分けることはできるかもしれないというデータがありました。その確かさは「弱い」と判定されました。

 

5歳以上の患者で、FeNO検査は治療効果を判定するためにどう役立つか?

薬を使ったあとでFeNOの検査値に変化があることを報告した研究などが見つかったものの、問いに対する答えは得られませんでした。

 

0歳から4歳で喘鳴症状を繰り返している子供にFeNO検査を行うことで、5歳以上での喘息をどの程度予測できるか?

調査した限りでは、0歳から4歳の子供のFeNO検査で将来の喘息の診断を予測できるかどうかは「証拠不十分」と判定されました。

 

FeNO検査の役割は?

喘息の診断などの目的に対して、FeNO検査でわかることについての調査を紹介しました。FeNO検査を活用することで発作のリスクを少なくできるなど、いくつかの側面が示されました。

現時点では十分なデータがない疑問についても、将来研究が進めば、よりはっきりとした判断ができるかもしれません。

FeNO検査は簡便さなどの利点があり、今後さらに普及する可能性もあります。データに基づいて検査の目的と性能を考えて使うことで、喘息の診断や治療に役立てることができます。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

The Clinical Utility of Fractional Exhaled Nitric Oxide (FeNO) in Asthma Management.

Comparative Effectiveness Review Number 197. 2017 Dec.

https://effectivehealthcare.ahrq.gov/sites/default/files/pdf/cer-197-fractional-exhaled-nitric-oxide.pdf

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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