2017.09.27 | ニュース

喘息の注射、ヌーカラ®とそれに似た薬は効く?

文献の調査から

喘息の注射、ヌーカラ®とそれに似た薬は効く?の写真

気管支喘息の治療では、複数の薬を使っても発作が繰り返す人もいます。メポリズマブ(商品名ヌーカラ®)はほかの薬で不十分な場合に使うことがあります。効果として報告されているデータの調査が行われました。

メポリズマブはどんな薬?

メポリズマブ(商品名ヌーカラ®)は気管支喘息の治療薬です。4週間ごとに皮膚に注射して使います。

気管支喘息には吸入ステロイド副腎で作られるホルモンの1つ。ステロイドホルモンを薬として使用すると、体の中の炎症や免疫反応を抑えることができるため、様々な病気の治療で用いられているや長時間作用性β2刺激薬(LABA)がよく使われますが、効果が不十分な場合もあります。添付文書の記載によれば、メポリズマブは「既存治療によっても喘息症状をコントロールできない難治の患者」に使用できます。

メポリズマブは抗IL-5抗体白血球が作り出す、免疫の一部を担う物質。体内の病原体に付着して、他の免疫細胞の働きを助けたりするに分類されます。同じ抗IL-5抗体にレスリズマブがあります。また抗IL-5受容体抗体のベンラリズマブも似たしくみで働く薬です。レスリズマブとベンラリズマブは日本では未承認です(2017年9月25日時点)。

 

喘息に対する抗IL-5治療の効果

イギリスとオーストラリアの研究班が、喘息に対する抗IL-5治療の効果について文献の調査を行い、『The Cochrane Database of Systematic Reviews』に報告しました。

2015年にも同様の調査が行われていましたが、より新しい研究報告も調査範囲に含めて内容が更新されました。

 

重症の好酸球性喘息患者で発作半減

調査の結果、メポリズマブ(4件)、レスリズマブ(4件)、ベンラリズマブ(5件)の研究が見つかりました。

主に重症の好酸球性喘息で、前年に2回以上の発作比較的急激に、症状が一定時間あらわれること。その後の時間経過や適切な治療によって、症状が無くなりやすいものを指すことが多いがあったなど治療がうまくいっていない人が対象とされていました。好酸球性喘息とは、喘息の中でも白血球血液の中にある血球の一種。免疫を担当しており、病原体が体内に入って来た時に、それと戦う役割を担うの一種でアレルギー免疫反応によって、体が過剰な防御反応を起こして悪影響が生じてしまう状態反応などに関与する好酸球という細胞が増えている場合を指します。ただし好酸球性喘息の正確な定義は研究ごとに少しずつ違っていました。

効果として、抗IL-5治療を使った人では、ステロイドの点滴などの治療が3日以上必要となった喘息発作の数がおよそ半分になっていました。

副作用やその他の原因による有害事象のうち深刻なもので、抗IL-5治療を行うと増えるものは見られませんでした。

研究班は「全体としてこの研究は、重症好酸球性喘息でコントロール状態が悪い人に、標準治療に加えるものとして抗IL-5治療を使うことを支持する」と結論しています。

 

抗IL-5治療は喘息の新常識になるか?

抗IL-5治療の効果についての報告を紹介しました。

メポリズマブは日本でもすでに使用可能となっています。好酸球についても添付文書に「投与前の血中好酸球数が多いほど本剤の気管支喘息増悪発現に対する抑制効果が大きい」などの記述があり、おおむね一致する結果と言えるでしょう。

ただし、メポリズマブは非常に高価な薬です。薬の値段にあたる薬価は4週間ごとの使用量である100mgあたり17万5,684円です。薬価がそのまま患者の自己負担になるわけではありませんが、多くの人では方針をよく考えたうえで使う必要があるでしょう。

データが蓄積され、より多くの面から薬の利益がはっきりとわかってくることで、ひとりひとりの必要性に合わせた治療選択の役に立てることができます。

執筆者

大脇 幸志郎


参考文献

Anti-IL5 therapies for asthma.

Cochrane Database Syst Rev. 2017 Sep 21.

[PMID: 28933516]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。