いんふるえんざ
インフルエンザ
インフルエンザウイルスに感染することで、高熱やのどの痛み、関節・筋肉の痛みなどが引き起こされる感染症。毎年冬場に流行する
39人の医師がチェック 336回の改訂 最終更新: 2024.11.05

インフルエンザとはどのような感染症か

インフルエンザは毎年冬に流行する感染症です。流行が始まったら、できるだけ人混みを避け、こまめに手指衛生(手洗いまたはアルコール消毒)をしてください。インフルエンザワクチンの接種も予防に効果的です。治療で大切なのは十分な水分摂取と休息です。特に持病がなくもともと健康な若者であれば医療機関に行かずに自宅療養することもできます。

1. インフルエンザとは

インフルエンザウイルスの感染により気道に炎症が起きた状態です。発熱、頭痛、関節痛、筋肉痛、鼻水などの症状があらわれます。大半は自然に回復しますが、子どもや高齢者では重症化して肺炎や脳炎を起こすこともあります。毎年冬場に流行するため、その前の10-11月頃から予防接種を打って備えておくことが大切です。

治療薬(抗インフルエンザ薬)は複数ありますが、いずれも発熱の期間を半日から1日ほど短くする程度ですので、症状が軽ければ必要ではありません。

2. インフルエンザの感染経路

インフルエンザの感染経路は飛沫感染接触感染です。症状が始まってから2日間が最も感染力が高い時期です。

インフルエンザウイルスは気道の粘膜から体内に入ってきます。気道とは、鼻の中、口の中、のど、気管支などの空気が通る部位です。ウイルスの付着した手で口元を触ったり(接触感染)、近くの人がした咳・くしゃみからウイルスを含んだ唾液のしぶきを吸い込んだりすることで(飛沫感染)、インフルエンザに罹患します。

したがって、インフルエンザにかかった人は、家族の人ともに、以下のような点に気をつけることが望ましいと言えます。

  • こまめに手指衛生(手洗いやアルコール消毒)を行う
    • 同居している人は、食事前や共有物に触れた後などを中心に
    • インフルエンザにかかった人は、特に口、鼻、眼周囲を触れた後を中心に
  • タオルや食器の共有は避ける
    • 洗濯、洗浄後であれば可
  • 咳エチケットを心掛ける
  • 鼻をかんだティッシュはどこかに放っておかずにそのまま捨てる

咳エチケットのイラスト

インフルエンザがうつる期間

インフルエンザが周囲に感染する期間は、症状の出始めの1日前から7日後までが目安です。感染力が最も強いのは、発症してから24-48時間の間と考えられています。 インフルエンザの症状は、ウイルスが身体に入ってから数日(平均3日ほど)経った後に出始めます。

学校保健安全法では感染力が強い時期には出席が望ましくないということで、「症状が出てから5日間」かつ「解熱してから2日間(幼児は3日間)」を出席停止期間と定めています。

参考文献 
N Engl J Med . 2010 Jun 10;362(23):2175-2184. doi: 10.1056/NEJMoa0911530.
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3. インフルエンザの潜伏期間

潜伏期間とは、すでに感染しているが症状が出ていない期間のことです。

インフルエンザの潜伏期間は一般的には1-4日の範囲です。平均をとると数日程度とされています。 子どもや免疫不全状態の人で、特に初めての感染の場合には、これよりも潜伏期間が長くなる傾向があります。

感染力は強くありませんが、潜伏期間中にほかの人にうつることもあります。インフルエンザの症状が出現する(発症する)1日前からすでに、周囲に対する感染力があることも知られています。

参考文献 
Lancet . 1999 Oct 9;354(9186):1277-82. doi: 10.1016/S0140-6736(99)01241-6. 
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4. インフルエンザかもしれないと思ったら何科を受診すると良いか

インフルエンザは多くの病院やクリニックで診てもらえます。内科か、子どもであれば小児科が比較的適しています。発熱患者を診ない医療機関も散見されますので、診てもらえるか心配な場合には、受診前に問い合わせておくと安心です。

ただし、本当に受診が必要な状況なのかどうかは再考してみてもよいと思います。特に持病のない若者であれば、インフルエンザであっても症状を和らげる薬を処方してもらう以外に受診するメリットはさほどありません。

インフルエンザはほとんどのケースで自然に治癒するウイルス感染症です。早く治すために抗インフルエンザ薬が欲しいと考える人がいるかもしれませんが、効果は限定的で特効薬とは言えません。インフルエンザの症状が出始めてから48時間以内に使用すると効果がありますが、その効果は発熱などの症状がある期間を半日から1日程度短くするだけです。また、発症から48時間以上経ったインフルエンザを早く治す方法はありません。

冬の混んでいる外来に行って何時間も待って体力を消費するくらいならば、自宅でしっかり休養をとって体力を温存するというのは十分に合理的な選択です。症状が出てから2日以上経っているならば「常備薬でなんとかする」という考えも間違っていません。

5. インフルエンザは重症化するか

インフルエンザは健康な人であれば通常は自然に治る病気です。しかし、もともと何かしらの持病がある人や高齢者では重症化して、入院や、まれではありますが死亡につながることがあります。

日本では年間約1万人がインフルエンザに関連して亡くなっており、その80-90%は65歳以上の高齢者です。若い人でも、インフルエンザが肺炎急性呼吸窮迫症候群ARDS)といった病状につながって重症化し、命の危険がおよぶ場合もありますが、ごくまれです。高齢者免疫不全患者心臓や肺に持病のある人幼い子どもでは注意が必要と言えます。症状でいうと、呼吸が非常に苦しそうな場合や意識がもうろうとするような場合には重症化しているかもしれないため、早めの受診をお勧めします。

肺炎

インフルエンザによって肺炎が起こることがあります。ただし頻度は高くありません。インフルエンザによる肺炎の原因は以下のように分かれます。

  • インフルエンザウイルスそのものによる肺炎(ウイルス性肺炎
  • インフルエンザの影響を受けて痛んだ肺に、新たに細菌が感染を起こして生じた肺炎細菌性肺炎

細菌性肺炎は特に高齢者に多く、その原因となる菌は、肺炎球菌黄色ブドウ球菌(MRSAを含む)、インフルエンザ桿菌(かんきん)が中心です。非常にややこしいネーミングですが、インフルエンザ桿菌というのはインフルエンザウイルスとは全く別の病原体で、ウイルスではなく細菌に分類されます。

インフルエンザウイルスによるウイルス性肺炎は、頻度は少ないものの重症になる場合が多いことが知られています。

参考文献 
Chertow DS, Memoli MJ. Bacterial coinfection in influenza: a grand rounds review. JAMA. 2013 Jan 16;309(3):275-82. doi: 10.1001/jama.2012.194139. 
Hageman JC, et al. Severe community-acquired pneumonia due to Staphylococcus aureus, 2003-04 influenza season. Emerg Infect Dis. 2006 Jun;12(6):894-9. doi: 10.3201/eid1206.051141. 
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インフルエンザ脳症

インフルエンザウイルスの感染によって、脳に異常が生じてしまうのがインフルエンザ脳症です。5歳以下の子どもで見られることがありますが、かなりまれな状態です。次のような症状があります。

  • けいれん
  • 意識障害
    • 意識がなくなる
    • 異常行動

NSAIDs(エヌセイズ)と呼ばれる種類の解熱薬は、インフルエンザ脳症のリスクを増やします。中でもアスピリン(アセチルサリチル酸)などサリチル酸系の解熱薬は、ライ(Reye)症候群と呼ばれる脳症の原因にもなります。そのため、特に子どもの発熱に対してはNSAIDsを避ける必要があります。

以下の薬はNSAIDsの一種です。処方薬だけでなく市販薬としても手に入れられます。

子どもがインフルエンザになったときには、解熱薬の中でもアセトアミノフェン(商品名:アンヒバ、アルピニー、カロナール、コカールなど)ならば、インフルエンザ脳症ライ症候群を引き起こすリスクが小さいと言われているため、こちらを使用することが望ましいです。

ライ症候群は、インフルエンザ以外に水痘水ぼうそう)などのウイルス感染症でも起こります。ですから、ほかの病気の治療でアスピリンを飲んでいる子どもは注意しなくてはなりません。特に川崎病にかかった子どもは常用薬としてアスピリンを飲む場合が多いので、インフルエンザや水痘かもしれないと思ったらかかりつけの医師に相談してください。

参考文献 
Steininger C, et al. Acute encephalopathy associated with influenza A virus infection. Clin Infect Dis. 2003 Mar 1;36(5):567-74. doi: 10.1086/367623. Epub 2003 Feb 14.

ギラン・バレー症候群

インフルエンザによってギラン・バレー(Guillain-Barre)症候群が引き起こされることがまれにあります。次のような症状があらわれます。

  • 筋力低下
  • 顔面神経麻痺
  • 自律神経の異常
  • 手足の感覚障害や痛み

完全に回復するケースも多いですが、後遺症が残ったり、心臓や呼吸の異常で亡くなるケースもある難病です。上記の症状に当てはまる人は、素早く内科を受診してください。内科の中では神経内科が専門となります。

6. 子どものインフルエンザの合併症

子どものインフルエンザによる合併症に次のものがあります。

通常は子どものインフルエンザも1週間以内に自然に治ります。重い合併症はめったにあらわれません。万が一、意識がぼんやりしたりおかしな行動を始めたら、早めに医療機関に連れて行ってください。

参考文献 
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子どものインフルエンザは入院になるか

子どもがインフルエンザで入院することはあります。幼い子どもほどインフルエンザで入院が必要になるケースが多く、早産児や免疫不全などもともとの病気がある子どもでは入院率が高くなります。

参考文献
J Pediatr . 2010 Nov;157(5):808-14. doi: 10.1016/j.jpeds.2010.05.012. Epub 2010 Jun 26. 
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7. インフルエンザワクチンは打ったほうがいいか

インフルエンザにはワクチンがあります。打てば必ず安心とは言い切れませんが、ワクチンは有効です。インフルエンザワクチンでインフルエンザにかかることをある程度は予防できます

18-64歳の健康成人については、ワクチンによって70-85%程度のインフルエンザ発症を予防できたとする報告があります。子どもや65歳以上の高齢者では予防効果はもう少し低いとする報告が多く、いずれも20-50%程度のインフルエンザ発症を予防できたというような報告が目立ちます。

麻疹はしか)のワクチンと比べると、インフルエンザワクチンによる発症予防率は決して高くありません。しかし、インフルエンザワクチンを接種しておくと、インフルエンザにかかった際の症状が軽くなると考えられています。特に高齢者、免疫不全患者、心臓や肺に持病のある人、子どもはワクチンを打っておくメリットが大きいと言えます。

健康な若い人はインフルエンザにかかっても滅多に重症化しませんが、自分が予防接種を受けておくことでインフルエンザ感染を予防し、インフルエンザにかかると危険な人たちへの感染を間接的に防いであげる効果があります。これを集団免疫と言います。上記に挙げたような、予防接種をしておくべき人と同居している人も、予防接種を打っておくと安心です。

集団免疫のイメージ図:抗体のある人が多いと、免疫の弱い人に感染させることが少なくなる。

参考文献 
JAMA . 2000 Oct 4;284(13):1655-63. doi: 10.1001/jama.284.13.1655. 
N Engl J Med . 1995 Oct 5;333(14):889-93. doi: 10.1056/NEJM199510053331401. 
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インフルエンザワクチンの副反応

インフルエンザワクチンの接種後に以下の症状があらわれることがあります。

これらはワクチンの副反応と言えます。ほとんどは数日以内に自然に改善します。我々はコロナ禍を経験してワクチンについて学ぶ機会が多かったですが、ワクチンの副反応のほとんどは自然回復するものなので、体調不良を感じた際には慌てず身体を休めるようにしてください。

アナフィラキシーはインフルエンザワクチンに対する強いアレルギー反応です。アナフィラキシーがあらわれることはめったにありませんが、他のあらゆる薬と同じように、インフルエンザワクチンに対するアナフィラキシーが起こることもゼロではありません。

参考文献 
厚生労働省「インフルエンザQ&A」 Vaccine . 2009 Mar 26;27(15):2114-20. doi: 10.1016/j.vaccine.2009.01.125. Epub 2009 Feb 6.

インフルエンザワクチンを打てない人

以下の人はインフルエンザワクチンを打つことができません。

  • 6か月未満の乳児(免疫がつかず、かつ、過去の経験が十分でないため)
  • インフルエンザワクチンそのもの、もしくはワクチンの成分に対して、命に関わるアレルギー反応をおこした経験のある人

また、以下の人はインフルエンザワクチンを打つ際に、医師に相談する必要があります。

  • 卵やワクチンの成分に対してアレルギーのある人(インフルエンザワクチンの精製時に、鶏卵を使用するため)
  • ギラン・バレー症候群になった経験のある人
  • 接種当日に気分の優れない人

ワクチンを接種してはならないということではありませんが、リスクを理解したうえで接種すること、接種後の経過観察時間をしっかり確保すること、日を改めて接種することや、場合によっては接種を見合わせることなどを外来で相談します。

8. インフルエンザの予防法

どのような手法を取っても感染を100%防ぐことは困難です。しかし、一般的に効果があるとされている対策には以下があります。

  • インフルエンザワクチンの接種
  • 咳エチケット(咳やくしゃみの際に、口元を覆うこと)
  • マスクの着用
  • 手洗い
  • 自宅や職場の加湿
  • 人混みや、感染者が多い箇所(病院など)をなるべく避ける

ワクチンについては上記「7. インフルエンザワクチンは打ったほうがいいか」で述べましたので、それ以外の主な対策について解説します。

咳エチケット

自身のインフルエンザを予防するという意味では効果が限定的ですが、咳エチケット(咳やくしゃみの際に、口元を覆うこと)は周囲への感染拡大を防ぐために有効です。 自分の手にくしゃみをした場合、その手で周囲のものを触るとそこにウイルスが付着しますので、できるだけすぐに手を洗うことが勧められます。

マスクの着用

市販されているマスクではウイルスの侵入を完全には防ぐことは出来ないと考えられます。ウイルスはマスクの生地の穴よりも十分に小さいので、呼吸とともにマスクを越えて出たり入ったりすることができるからです。

N95やN99と呼ばれる特殊なマスクは、ウイルスの侵入を理論上は大幅にカットすることができます。しかし、これらはあくまでも医療者などが短時間作業をする場合を想定して作られたマスクです。これらの特殊なマスクは正しく装着していると息苦しさが強く、日常生活には向きません。また、正しく装着するためには、訓練を受けた人が使い、フィットテストと呼ばれる確認方法をとるべきとされます。

市販のマスクでも、咳やくしゃみなどの飛沫を遮断する効果はあると考えられ、感染症状のある人は着用が望ましいです。一方で、健康な人が市販マスクをつけることでウイルス感染を十分に予防できるとは考えにくいです。

手洗い

ウイルスの接触感染を防ぐために、手洗いはとても大切です。たとえば外出したあとや、食事の前(特に手づかみで食べるパンやおにぎりなど)などには手洗いを行うことで、感染リスクを下げることができます。

また、自身の感染を周囲に拡大させないという意味では、咳・くしゃみをする際に口元を覆った後(咳エチケット)、鼻をかんだ後などは、周囲のものに触れる前に手を洗うことが勧められます。鼻をかんだティッシュを机の上に放置するなども好ましくありません。

手を洗う際には石けんを使用して、流水でしっかりと洗ってください。

また、インフルエンザウイルスにはアルコール消毒が有効であるため、アルコールを手に擦り込むことも有効と考えられます。

参考文献:Influenza Other Respir Viruses 2013 Sep

自宅や職場の加湿

加湿器を使用するなどして、乾燥を予防することは効果的と思われます。

空気が乾燥しているとウイルスが環境中を漂いやすいなどの理由で、空気乾燥はインフルエンザに感染するリスクと考えられます。ただし、湿度をどの程度にすると良いかはわかっていません。一般的に快適とされるのが湿度40-60%程度ですので、これを目安としてみてください。

9. インフルエンザの種類とは

インフルエンザウイルスにもさまざまなタイプがあります。医療機関で速やかにできる検査としては、インフルエンザA型とB型を検出する検査があります。以下では、インフルエンザの型について個別に説明します。

A型とB型は何が違うか

医療機関で使用する検査キットでインフルエンザA型とB型は比較的容易に区別ができますが、対策に大きな差はありません。出やすい症状や、抗インフルエンザ薬の効き具合が多少異なるという意見はありますが、患者さん目線では同じようなものと考えてよいでしょう。

C型とは

インフルエンザウイルスにはA型とB型のほかにC型もありますが、C型はA型やB型のように激しい症状や流行を起こしません。このためC型インフルエンザウイルスは一般的に重視されません。抗原検査キットはC型ウイルスには対応していません。

新型インフルエンザとは

「新型インフルエンザ」という決まったものはありません。季節性インフルエンザとは異なる種類の新しいインフルエンザで、人々がまだ免疫を持っていないために急速に感染が拡大して多くの人の健康が脅かされる恐れがあるものを指します。2009年に流行したH1N1型インフルエンザは当時「新型インフルエンザ」と呼ばれました。当時は新型でしたが、現在は何年かごとに流行するウイルスのひとつになっています。 インフルエンザウイルスは毎年少しずつ変化しているので、細かく言えば「新型インフルエンザ」は毎年あらわれうるものです。しかし、新型であろうとなかろうとインフルエンザについて我々が気を付けることは同じです。

参考:厚生労働省「「新型インフルエンザ」入門

インフルエンザのHとNとは

インフルエンザウイルスA型はウイルスが持つ特徴的な物質によってさらに分類されます。分類に用いられる物質には、赤血球凝集素(H)とノイラミニダーゼの血清型(N)というものがあります。例えばH5N1、H1N1、H3N2、H7N9などの種類があります。H5N1やH7N9は、主に鳥に感染する鳥インフルエンザです。鳥インフルエンザが変異して人にも感染する事例が近年あらわれています。

鳥インフルエンザとは

鳥インフルエンザは、もともとヒトに感染せず、鳥の間だけで感染していた種類のインフルエンザです。A型(H5N1)やA型(H7N9)が特に有名です。

ヒトが鳥インフルエンザに感染すると重症になることが分かっています。H5N1は1997年に香港でヒト感染が認められて以降、アジアを中心に患者が発生しています。2023年12月の時点で、ヒトで発症が認められたのが882名、うち461名が亡くなっています。

H7N9は2013年3月、上海で初めてヒトへの感染が報告されました。こちらも同じく重症化しやすく、同様に数十%程度の致死率が報告されています。

2014年時点までH7N9の日本国内でのヒト感染はありません。国内の鳥類から鳥インフルエンザウイルスが検出されることはありますが、2024年5月現在ではヒトに感染する遺伝子変異を持つものは見つかっていません。

参考文献 
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WHO: "Human infection with influenza A(H7N9) virus in China" 
N Engl J Med . 2008 Jan 17;358(3):261-73. doi: 10.1056/NEJMra0707279. 
Ann Intern Med . 2005 Sep 20;143(6):460-2. doi: 10.7326/0003-4819-143-6-200509200-00011. 
J Infect Dis . 2015 May 1;211(9):1364-6. doi: 10.1093/infdis/jiu530. Epub 2014 Oct 29.

厚生労働省「鳥インフルエンザA(H5N1)について」 
厚生労働省「鳥インフルエンザA(H7N9)に関するQ&A

鳥インフルエンザの予防法

鳥インフルエンザの予防には、流行地域を訪れないようにするのが第一です。旅行や出張などで海外に行くときには、行き先の感染症情報(厚生労働省検疫所「海外で健康に過ごすために(FORTH)」など)もチェックするようにしてください。

流行地域では以下のとおり、鳥インフルエンザ感染の原因になる行為を避けてください。

  • 鳥類に直接触れない
    • 生きている鳥、死んでいる鳥、食肉用の鳥を含みます
  • 鳥類の糞便や血液などで汚染されているものに直接触れない
  • 鳥類の生肉や、十分に火の通っていない肉を食べない
    • 冷凍や冷蔵の肉でもウイルス量が劇的に少なくなるわけではありません
    • 鳥類の肉は安全な製造者から購入してください
    • 鳥類の肉は十分に加熱して食べてください
  • 原因不明の呼吸器症状が出ている人と濃厚接触しない
  • 鳥類の肉が売られたり屠殺されたりしている市場に行かない

ヒトが鳥インフルエンザウイルスに感染する場合、ウイルスに感染した鳥類(あるいはその死骸)と密に接触することが感染の原因となります。

通常のインフルエンザ感染症のように人から人へ劇的な拡がりを見せることはまだありませんが、数が少ない例として、鳥インフルエンザ感染症 (H5N1) で人から人への感染が強く疑われる(または否定出来ない)例が報告されています。

今後、ウイルスが変異することによって、人から人へ感染が拡がりやすくなるリスクがあるので注意が必要です。

参考文献 
J Infect Dis . 2009 Jun 15;199(12):1726-34. doi: 10.1086/599206. 
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インフルエンザ菌はインフルエンザとは関係ない

インフルエンザ菌(インフルエンザ桿菌)はインフルエンザとは関係ありません。インフルエンザの原因はインフルエンザウイルスです。「インフルエンザ菌」と紛らわしい名前がついている理由は、インフルエンザ菌が発見された当初、インフルエンザの原因と誤解されたためです

インフルエンザ菌(Haemophilus influenzae)はインフルエンザ桿菌(かんきん)とも言います。桿菌とは顕微鏡で見ると棒のような形をしているという意味です。

インフルエンザ菌は肺炎中耳炎などを起こします。子どもにもよく感染します。

予防接種にある「ヒブワクチン」はインフルエンザ菌の一種に対するワクチンです。インフルエンザ菌b型(Haemophilus influenzae type b)を略して「Hib」つまり「ヒブ」と呼んでいます。Hibは子どもに髄膜炎(ずいまくえん)という重い病気を起こします。しかしインフルエンザの原因ではありません。もちろんHIVとも関係ありません。