にょうちんさ
尿沈渣
1人の医師がチェック 1回の改訂 最終更新: 2025.09.24

基準値(参考)

赤血球数:3個/1視野 以下
白血球数:1-2個/4-7視野 以下
上皮細胞数:1個/10視野 以下
円柱:1個/20視野 以下
細菌:陰性(ー)
※HPF(顕微鏡的強拡大)あたり

詳細

尿沈渣とは、尿を遠心分離機にかけて沈殿させて、沈殿したものを顕微鏡で観察する検査です。赤血球や白血球などの成分が視野(強拡大視野400倍)に何個認められるかで表現します。

赤血球

例:腎炎、腫瘍、結石、膀胱炎 など
赤血球は健常者の尿中にもわずかに存在しますが(3個/1視野 以下)、それ以上認められる場合は顕微鏡的血尿と診断されます。尿を目で見ても赤いことがわかる場合は肉眼的血尿と呼びます。原因は、腎臓の糸球体病変によるもの(糸球体腎炎など)、それ以外の病変によるもの(膀胱炎など)、の大きく2つにわけることができます。前者の場合、赤血球の形はコブ状、ドーナツ状、金平糖状のように変形していることが多いですが、後者の場合、変形せずに均一な形をしていることが多いです。

白血球

例:腎盂腎炎膀胱炎尿道炎前立腺炎腎結核 など
尿中の白血球が通常より増加している場合は顕微鏡的尿と診断されます。尿を目で見ても混濁していることがわかる場合は肉眼的膿尿と呼びます。白血球が増えているということは、尿路で炎症が起きていることが示唆されます。顕微的血尿の場合、腎盂腎炎などの内科的尿路感染が疑われる一方、肉眼的血尿の場合、膀胱炎尿道炎などの下部尿路感染症が疑われます。

上皮細胞

  • 扁平上皮細胞
    • 扁平上皮細胞は尿の出口周辺にある細胞で、健常者でも存在します。多い場合は尿道炎、尿道結石などが疑われます。
  • 移行上皮細胞
    • 移行上皮細胞は、腎臓の出口から尿の出口まで存在している細胞です。多数出現する場合は、尿路感染症尿路結石悪性腫瘍などが疑われます。病気の鑑別には細胞の形を見分けることが大切です。
  • 尿細管上皮細胞
    • 尿細管上皮細胞は、腎臓の尿細管と呼ばれる部分にある細胞です。多数出現する場合は、急性尿細管壊死などの腎疾患が考えられます。

円柱

  • 硝子円柱
    • 少量ならば健常者でも見られます。激しい運動後に出現しやすいです。
  • 赤血球円柱
  • 白血球円柱
    • 糸球体や尿細管で炎症が起きていることを意味しています。
    • 例:糸球体腎炎腎盂腎炎、間質性腎炎
  • 上皮円柱
  • 顆粒円柱、ろう様円柱
    • 円柱は尿中への排泄時間が長いと変性して顆粒化します。もっと変性すると、ろう様化してきます。腎臓の障害が強い場合は、これらの円柱が出現してきます。
    • 例:慢性腎不全
  • 幅広円柱
    • 慢性腎不全などで拡張しているネフロンにて形成される円柱です。
    • 例:慢性腎不全
  • 脂肪円柱
  • 空胞変性円柱
赤血球 白血球 上皮細胞 円柱 尿タンパク
腎炎 (+++) (±) (+) (++) (++)〜(+++)
ネフローゼ (±) (±) (+) (+++) (+++)
尿路結石 (+++) (±) (+) (-) (±)〜(+)
尿路感染症 (±) (+++) (+++) (±) (±)〜(+)

結晶

正常尿でも多数の結晶が見られます。尿路結石がある場合では、結石成分確認に用いられます。また、チロジンやロイシンは重症肝疾患で見られることがあります。

微生物

通常は陰性になります。多数の細菌が検出される場合は細菌尿と呼ばれ、尿路感染症が疑われます。尿沈渣では、細菌のみならず真菌(特に酵母)や寄生虫なども確認することができるため、これらの尿路感染症の診断にも有用です。