たんどうがん
胆道がん
胆道に発生する悪性腫瘍(胆管がん、胆のうがん、乳頭部がん)の総称
6人の医師がチェック 167回の改訂 最終更新: 2022.10.17

遠位胆管がんとは?症状・検査・ステージ・治療についての解説

胆道の中でも胆のう管と合流した以降の胆管を遠位胆管といいます。遠位胆管は中部胆管と下部胆管の総称です。遠位胆管がんの治療では胆管と同時に膵臓を切除する手術が標準的です。

1. 遠位胆管は中部胆管と下部胆管を合わせたもの

胆道の正常解剖のイラスト

胆道(たんどう)は胆汁(たんじゅう)の流れる道のことを指します。胆汁は肝臓で作られ胆道を通って十二指腸に流れ込みます。胆道はいくつかの場所に分かれます。

  • 肝内胆管
  • 肝外胆管
    • 肝門部領域:上部胆管
    • 遠位胆管
      • 中部胆管
      • 下部胆管
    • 十二指腸乳頭部
  • 胆嚢(たんのう)

遠位胆管は中部胆管と下部胆管の2つに分けることができます。

胆道を胆汁が流れる川に例えてみます。肝内胆管は川を作る小さな流れです。小さな流れがいくつか合わさって川をつくります。川は肝門部と呼ばれる場所から始まります。肝門部は胆管以外にも肝臓への血管が流れ込む場所で重要な場所です。肝門部領域は川の上流を指します。肝門部領域は肝門部胆管と上部胆管に分けて呼ばれることもあります。上部胆管は肝門部から胆のう管が合流するまでの部分を指します。

胆のうは胆汁が溜められたり濃縮される場所です。胆のうには胆石ができることも知られています。

胆のう管が合流してから十二指腸の出口までの部分が遠位胆管です。遠位胆管を中部胆管と遠位胆管の2つに分ける方法があります。中部胆管は胆のう管の合流した場所から膵臓の上縁までを指します。下部胆管は膵臓の上縁から十二指腸乳頭部の手前までを指します。

十二指腸と胆管が合流する場所を十二指腸乳頭部といいます。

2. 遠位(中部・下部)胆管がんの症状は?

遠位胆管がん症状で多いものは黄疸(おうだん)、腹痛などです。他の症状もありますが胆汁が流れなくなったことが症状の原因であることが多いです。

  • 黄疸
  • 腹痛
  • 体重減少
  • 悪心(吐き気)・嘔吐
  • 発熱

遠位胆管がんに多い症状は黄疸や腹痛です。遠位胆管にがんができるとがんが胆管の中で大きくなり胆汁の流れが悪くなります。胆汁の流れが悪くなると黄疸という症状が出ます。黄疸は皮膚が黄色くなったりする症状です。

胆汁の流れが悪くなると胆管炎を起こすことがあります。胆管炎は腹痛や発熱の原因になります。

参考:胆道癌診療ガイドライン2013年版. Ann Surg.2007;245:755-62

3. 遠位(中部・下部)胆管がんの生存率は?

遠位(中部・下部)胆管がんの生存率はステージごとに集計されています。

ステージとはがんの進行度を分類したものです。遠位胆管がんではステージIからステージIVbに分けられます。

  5年生存率
ステージI 59.3%
ステージII 39.3%
ステージIII 32.6%
ステージIVa 29.6%
ステージIVb 9.7%

表のステージは今のステージの決め方の一つ前の決め方で定められたものなので、生存率も現在のステージごとの生存率とは若干意味が違う数字です。

また、この生存率は手術をした人々の最終的なステージにおける生存率です。手術の前と最終的なステージは異なることがあります。手術をしなかった場合の生存率については知ることができない点にも注意が必要です。

参照:J Hepatobiliary Pancreat Surg.2009:16;1-7

4. 遠位(中部・下部)胆管がんの検査は?

遠位胆管がんの検査はがんの診断をしたり、がんと診断した後にステージを決めるための検査があります。

胆道がんのステージを決めるための検査の順序

超音波検査

超音波検査エコー検査)は超音波を利用した検査です。放射線を使用しません。超音波検査では腫瘍の状態や胆管が閉塞した場所の推定をすることができます。

超音波検査ではお腹にプローブという機械を当てて体の中を観察します。超音波検査は繰り返して検査ができ、その場で画像が見えるので手術後にも使うことがあります。診療の様々な場面で登場します。

CT検査

CT検査はレントゲンX線)を使った検査です。体に放射線を当てて画像を撮影します。遠位胆管がんではがんや拡張した胆管を確認できることがあります。CT検査の中でも造影剤を使ったダイナミックCT検査という方法が大事です。ダイナミックCT検査では腫瘍の特徴をつかむことができたり、がんができた場所と血管の位置関係の把握などに役立ちます。

造影剤は腎臓の機能が低下している場合などで使用できないことがあります。その場合には他の検査を組み合わせて診断します。

MRI検査(MRCP)

MRI検査は、磁気を利用する画像検査です。放射線を使うことはありません。体にペースメーカーなどの金属製品が入っている人ではMRIを使えない場合があるので、必ず検査前に相談してください。MRI検査の中でも胆道の流れを映し出すMRCPが遠位胆管がんの診断には有用です。胆管にがんができて胆汁の流れの妨げになると胆管が拡張するなどの所見が確認できることがあります。

ERC(内視鏡的逆行性胆管造影)

胆管に造影剤を注入して胆管の形をレントゲンを利用して観察します。胆管の形はMRCPでも確認できますがERCには内視鏡を使う利点があります。ERCでは胆汁などを内視鏡を使って体の外に取り出すことができます。胆汁にがん細胞が交ざっているかを確認することができます。

遠位胆管がんは黄疸という症状がきっかけでみつかることがあります。黄疸は胆管の中でのがんが大きくなり胆汁の流れが妨げられることを原因とします。黄疸があると肝臓に負担がかかり肝臓の機能が悪化します。ERCと同時に黄疸を改善するENBD(減黄術)を施行します。ENBDの方法は「胆道がんの症状は?皮膚が黄色くなる黄疸とは?」で解説しています。

PTC(経皮的肝胆道造影)

PTCは皮膚から肝臓を貫いて肝内胆管に針を刺し、そこからチューブを挿入します。チューブから造影剤を注入して胆道の形を確認します。黄疸に対する治療の際にPTCをすることがあります。黄疸に対する治療はPTBDと呼ばれます。PTBDの方法については「胆道がんの症状は?皮膚が黄色くなる黄疸とは?」で解説しています。

POCS(経口胆道鏡)

胆道を内視鏡で直接観察します。内視鏡は胆道鏡を使用します。あまり多く用いられる検査ではありませんが直接胆道の腫瘍の状況を確認できることが利点です。病変の一部を取り出したりすることができます。

病理検査

病理検査は病変の一部などを顕微鏡で観察してがんがあるかどうかを判断します。直接体の一部をみるので信頼性はかなり高いです。胆道がんでの病理検査は主に2つの方法があります。

1つはERC(内視鏡的胆道造影)などで胆管の造影などをするときには胆汁を体の外に取り出すことができます。胆汁の中にもがん細胞が含まれるていることがあり、悪性と判断することができます。

もう1つは体の外から病変に針を刺して組織を取り出す方法です。病理検査は絶対に必要な検査ではありません。病理検査はいずれの方法を選んだとしても体への負担がつきものです。このために画像所見で胆道がんと明らかな場合には病理検査をせずに診断することも多いです。

腫瘍マーカー

胆管がん腫瘍マーカーにはCA19-9とCEAがあります。腫瘍マーカーは信頼性の高い検査ではありません。

CA19-9

基準値:37 IU/ml以下

CA19-9(シーエー・ナインティーン・ナイン)は胆管がんの腫瘍マーカーとして知られています。CA19-9は膵臓がん胃がん肺がんなどでも上昇することがあります。CA19-9はがん細胞だけから出される物質ではありません。がん以外の病気でも上昇します。がん以外の病気では膵炎、慢性胃炎、腎嚢胞(じんのうほう)などの良性の病気でもCA19-9が上昇することが知られています。

CEA

基準値:5.0ng/ml以下

CEA(シーイーエー)は胆管がんの腫瘍マーカーとしても使われます。他のがんでは大腸がん胃がん肺がんなどでもCEAが上昇することがあります。CEAはがん細胞だけから出される物質ではありません。がん以外の病気でも上昇します。がん以外の病気では肝炎、肺炎糖尿病などの良性の病気でもCEAが上昇することが知られています。喫煙するだけでもCEAが上昇します。

5. 遠位(中部・下部)胆管がんのステージとは?

遠位(中部・下部)胆管がんのステージはステージIからステージIVに大きく分けられます。さらにステージIはIAとIBに、ステージIIはIIAとIIBに分かれます。ステージはT因子(胆道でのがんの状態)、N因子(リンパ節転移の有無)、M因子(遠隔転移の有無)の3つの組み合わせから決められます。以下が対応した表です。

  T因子 N因子 M因子
ステージ 0 Tis N0 M0
ステージ IA T1 N0 M0
ステージ IB T2 N0 M0
ステージ IIA T3 N0 M0
ステージ IIB T1、T2、T3 N1 M0
ステージ III T4 Any N M0
ステージ IV Any T Any N M1

参照:胆道癌取扱規約 第6版

T因子

TはTumor(腫瘍)の頭文字です。胆管でのがんの状態を示しています。遠位胆管がんのT因子は胆管壁や周りの臓器への浸潤の程度で決まります。遠位胆管がんはCT検査やMRI検査などによる画像検査などが重要です。

  • TX:腫瘍評価不能
  • T0:腫瘍が明らかではない
  • Tis:carcinoma in situ
  • T1a:の局在が粘膜層にとどまるもの
  • T1b:癌の局在が線維筋層にとどまるもの
  • T2:胆管壁を超えるが他臓器への浸潤なし
  • T3a:胆嚢、肝臓、膵臓、十二指腸、他の周囲臓器浸潤
  • T3b:門脈本幹、上腸間膜静脈、下大静脈等の血管浸潤
  • T4:総肝動脈浸潤、腹腔動脈浸潤、上腸間膜動脈浸潤

N因子

Nはリンパ節(lymph node)を指すNodeの頭文字です。N因子はリンパ節転移の程度を評価したものです。肝門部の近くのリンパ節を領域リンパ節といいます。ここでのリンパ節転移は領域リンパ節への転移をさします。領域リンパ節以外の転移は遠隔転移に入ります。

  • NX:評価不能
  • N0:領域リンパ節転移なし
  • N1:領域リンパ節転移あり

リンパ節転移とは?

がんは時間とともに徐々に大きくなり、リンパ管の壁を破壊し侵入していきます。リンパ管は全身で網の目のようなつながり(リンパ網)を作っています。

リンパ網にはところどころにリンパ節という関所があります。リンパ管に侵入したがん細胞はリンパ節で一時的にせき止められます。がん細胞がリンパ節に定着して増殖している状態がリンパ節転移です。

M因子

MはMetastasis(転移)の頭文字です。遠隔転移を評価します。遠位胆管から離れた臓器に胆管がんが転移することを遠隔転移と言います。領域リンパ節転移は遠隔転移とはいいません。臨床現場において「転移」という言葉は、遠隔転移を指して領域リンパ節は除くという意味で使われている場合があります。

  • M0:遠隔転移なし
  • M1:遠隔転移あり

6. 遠位(中部・下部)胆管がんの治療は?

胆道がんの治療の選びかた

遠位胆管がんは黄疸(おうだん)などの症状をきっかけにして見つかることがほとんどです。黄疸はがんによって胆汁の流れが滞ることでおきます。黄疸は皮膚が黄色くなるなどの症状です。黄疸の状態を改善する治療を減黄術(げんおうじゅつ)といいます。減黄術には内視鏡を使う方法や体の外から針を刺す方法があります。黄疸の症状がないときには減黄術は必要ではありません。

  • 減黄術
    • 内視鏡を利用する方法
      • ENBD(Endoscopic nasobiliary drainage:内視鏡的経鼻胆道ドレナージ
      • ステント療法(Endoscopic biliary stenting:EBS)
    • 体の外から管を入れる方法
      • PTBD(percutaneous transhepatic biliary drainage:経皮経肝胆道ドレナージ)
  • 根治を目的とする手術
    • 膵頭十二指腸切除術
  • 抗がん剤治療
  • 放射線治療

遠位胆管がんを根治する治療は手術になります。根治とはすべてのがんを体から取り除くことです。転移があったりがんの広がりが大きくて手術で取り除くことが難しい場合などには抗がん剤治療が推奨されます。放射線治療は転移した部位に痛みなどの症状がある場合に使われることがあります。

7. 減黄術とは?

減黄術は黄疸を改善する治療のことです。黄疸は血液中のビリルビンという物質の濃度が上昇することでおきます。血中ビリルビン濃度の上昇は胆汁の流れが悪くなることなどを原因としています。

黄疸にも種類がある?

遠位胆管がんを原因とする黄疸は胆汁が流れなくなる閉塞性黄疸(へいそくせいおうだん)です。黄疸にはいくつか種類があります。閉塞性黄疸は胆汁の流れが滞ることを原因としています。他の黄疸には肝細胞性黄疸、溶血性黄疸、体質性黄疸があります。

胆汁の流れは?

胆汁は肝臓で作られ肝臓の中の胆管(肝内胆管)を流れていきます。いくつかの肝内胆管が合流して肝臓の外へ出ます。肝臓の外の胆管を肝外胆管といいます。

肝外胆管は胆のうにつながる胆のう管と合流して総胆管(そうたんかん)になります。総胆管は膵臓と十二指腸がつながるファーター乳頭(Vater乳頭)で膵管と合流します。ファーター乳頭を通って胆汁は十二指腸に流れていきます。

黄疸の治療は?

滞っている胆汁を体の外に出すことで黄疸は改善します。黄疸を改善させる治療はいくつかあり、まとめて減黄術(げんおうじゅつ)ということもあります。減黄術により皮膚の掻痒感(そうようかん;かゆみ)、倦怠感(けんたいかん)、食思不振などの黄疸が原因と考えられる症状の改善が期待されます。

閉塞性黄疸に対する減黄術とは?

閉塞性黄疸に対する減黄術は大きく分けて2種類があります。

  • 内視鏡を利用する方法
    • ENBD(Endoscopic nasobiliary drainage:内視鏡的経鼻胆道ドレナージ)
    • ステント療法(Endoscopic biliary stenting:EBS)
  • 体の外から管を入れる方法
    • PTBD(percutaneous transhepatic biliary drainage:経皮経肝胆道ドレナージ)

それぞれの方法については「胆道がんの症状は?皮膚が黄色くなる黄疸とは?」で解説しています。

8. 膵臓の摘出が必要な遠位(中部・下部)胆管がんの手術とは?

遠位胆管がんの手術では胆管にできたがんとともに膵臓の一部を切除します。手術の方法は膵頭十二指腸切除術というものです。

膵臓十二指腸切除術は、英語のpancreaticoduodenectomyを略してPDとも呼ばれています。がんの手術は取り残しがないように行わなければなりません。がんの周りを広く切除することで取り残さない確実性が向上します。

膵頭十二指腸切除術の説明イラスト

膵頭十二指腸切除で切除する臓器は?

遠位胆管がんを広く切除するには隣接する胃の一部、十二指腸、胆管、胆のう、空腸の一部を同時に切除する必要があります。

膵頭十二指腸切除術で切除する臓器は以下のものです。

  • 膵頭部(十二指腸に接する膵臓の右側)
  • 胃の下半分(幽門側)
  • 十二指腸
  • 空腸の一部
  • 胆管
  • 胆のう

さらに、胆道の周囲のリンパ節を切除するリンパ節郭清(かくせい)も同時に行います。リンパ節は血管の近くにあります。リンパ節郭清は血管の近くにあるリンパ節を全部まとめて切除することです。

膵臓十二指腸切除後の再建は?

膵頭十二指腸切除術の後には、再建という作業が必要となります。再建とは臓器の機能を作り直すことです。ここでは膵液の流れ、胆汁の流れ、消化された食べ物の流れの3つを作り直す必要があります。再建の方法はいくつかありますが、目的は同じです。

最も重要な縫合部位は小腸(空腸)と膵臓(膵管)を繋いだ部分(膵管-空腸吻合)です。膵管-空腸吻合が上手くいかないと膵液(すいえきろう)という合併症を起こすからです。膵液瘻は腹腔内出血を起こす膵仮性動脈瘤の原因になることもある危険な合併症です。また膵管が狭くなり過ぎてしまうことも問題になります。膵管には手術の後も管を入れておくことがあります。管は体の外に出す場合(外瘻化)と体の中に短い管を入れておく場合(内瘻)があります。

手術の後に栄養価の高い液体を直接腸に流し込めるように経腸栄養チューブという細い管を体の外に出しておくこともあります。

9. 遠位(中部・下部)胆管がんの手術による合併症は?

遠位胆管がんの手術は膵頭十二指腸切除術です。ここでは膵頭十二指腸切除術の合併症を中心に解説します。

膵液瘻(すいえきろう)

膵頭十二指腸切除は膵頭部という膵臓の一部を切除します。

膵臓は膵液という消化液を作り分泌します。膵液は食べ物の消化吸収を助ける役割を果たします。膵臓を取り除いた後には、膵液がちゃんと食べ物に混ざるように、膵管と小腸(空腸)をつなぎ合わせる必要があります。このため膵管と小腸を糸で縫い合わせます。

手術の後で、膵管と小腸を縫い合わせた部分のくっつきが悪く膵液が漏れ出ることがあります。これを膵液瘻(すいえきろう)と言います。膵液は体を溶かすことがあります。血管の壁を溶かして出血の原因にもなります。膵液瘻が発生した場合は、膵液を体に溜まり続けたままにしておくことは危険です。このために膵液を体の外に抜くための管を挿入することもあります。

膵液瘻は程度によりますが、治るまでに時間がかかることがあります。十分に治るまで管は体の中に入れておき徐々に短くするなどの方法をとります。

腹腔内膿瘍(ふくくうないのうよう)

お腹の中に感染がおきてうみ)の溜まりができることを腹腔内膿瘍といいます。腹腔はお腹の臓器の隙間にあるスペースのことです。

腹腔内膿瘍が起きた場合には膿瘍に針を刺して膿を体の外にだす治療が必要です。ドレナージといいます。ドレナージとともに抗菌薬(抗生剤)を使って治療します。

術後腹腔内出血(じゅつごふくくうないしゅっけつ)

膵液瘻(すいえきろう)や腹腔内に感染を起こした後に炎症の影響で血管が破れて出血することがあります。手術の後に数本管が入っているのはこのような出血を見逃さないためです。出血が激しい場合は緊急でカテーテル治療による止血術を行ったり、場合によっては開腹手術を行う必要があります。

創部感染(そうぶかんせん)

創部(そうぶ)とは手術で切った傷のことです。手術ではお腹を切開します。手術中から抗生物質を使用して感染の予防に努めていますが、創部についた細菌が増殖して感染を起こすことがあります。

創部感染が起こると、傷を開放したりして膿を体の外に出す必要があるので、早めに抜糸をすることがあります。創部感染があっても、手術後の経過で体調が回復して栄養状態が改善されれば傷口に肉芽(にくげ)が盛り上がってきて傷が閉じます。創部感染は、患者さんから見やすい場所で起きる合併症なので心配になることもあると思いますが、一日一日、少しずつよくなっていきます。

胆管炎(たんかんえん)

胆管炎は、膵頭十二指腸切除術で注意しなければいけない合併症の一つです。膵頭十二指腸切除術では、胆のうと胆管とともに膵臓を切除します。この後に小腸(空腸)と胆管を繋ぎ合わせます。すると細菌が多く存在する腸液が胆管に逆流して胆管に炎症が発生することがあります。

胆汁漏(たんじゅうろう)

膵頭十二指腸切除術では胆のうと胆管とともに膵臓を同時に切除します。

胆のうは胆汁を一時ためておく場所です。胆管は胆汁が流れていく管です。膵頭十二指腸切除術後は、胆汁の流れを再度作り直す必要があります。胆管と空腸をつなぎ合わせることを行います。胆管と空腸は糸で縫い合わされます。まれに胆管と空腸がしっかりとくっつかずに、胆汁が腸の外側の腹腔に漏れ出ることがあります。これを胆汁漏といいます。胆汁は刺激性の強い物質なので強い腹痛の原因になります。胆汁漏が原因でおきる腹膜炎を胆汁性腹膜炎といいます。胆汁漏がわかったときにはまず胆汁を体の外に出す管を挿入し胆汁性腹膜炎を改善するようにします。

胃排泄遅延(いはいせつちえん)

膵頭十二指腸切除術では胃の一部を同時に切除します。手術の後には、胃の動きが悪くなり、胃液や食物が胃の中に長く留まってしまうことがあります。これを胃排泄遅延と言います。

胃の内容物が留まり続けると気分が悪くなったり嘔吐の原因になります。胃排泄遅延のはっきりとした原因はまだ不明な部分がありますが、下記のようなものが原因として考えられています。

  • 十二指腸切除に伴い胃の運動を促す消化管ホルモンが減少する 
  • 手術中にいくつか血管を切離しなければならないので、胃の血流が悪くなる
  • 胃を切除する際に同時に迷走神経を切離する
  • 胃の形が変わる

胃排泄遅延の程度がひどい場合は一度食事を止めて胃を休めることが必要になります。程度によっては入院が必要になることもあります。

縫合不全(胃-空腸吻合)

縫合不全(ほうごうふぜん)とは、手術で縫い合わせたところが十分くっつかず、隙間ができてしまうことです。

膵頭十二指腸切除術で十二指腸や膵臓の一部を切除した後は小腸(空腸)と胆管、膵臓、残った胃をつなぎあわせることが必要になります。つなぎあわせることを吻合(ふんごう)と言います。胃と空腸の吻合に縫合不全が起こらないようにすることが特に重要です。

胃と空腸の縫合がうまくいかないと、食べたものや胃液などの消化液が繋ぎ合わせた場所から腹腔に漏れ出ることがあります。

消化液などが漏れることで、腹膜炎という危険な状態に陥ることがあります。縫合不全が見つかった場合は消化液を体の外に出す(ドレナージする)ための管を挿入して自然に閉じるのを待ちます。

腸閉塞(ちょうへいそく)

腹部の手術を行うとある程度の確率で腸が動かなくなる腸閉塞という合併症が発生します。腸閉塞にはいくつかの分類があります。

手術の後に起こるのは麻痺性腸閉塞が多いです。手術による影響が腸管に及び、腸が動きを止めてしまうことが原因になります。一番危険な腸閉塞は絞扼性腸閉塞です。絞扼性腸閉塞とは腸が捻(ねじ)れて腸管への血流がなくなり腸が壊死する危険性のある腸閉塞です。この2つの腸閉塞を手術後に見分けることが重要です。このために医師は術後に腹部の診察を繰り返し行い適宜レントゲン撮影などを行うのです。

腹水

手術後にお腹に水が溜まることがあります。お腹に溜まる水を腹水といいます。手術後の腹水は肝臓の機能が低下していることなどを原因として起こります。肝臓を切り取ると肝臓の機能が低下します。腹水がたまるとお腹が張って苦しく感じるかもしれません。

腹水は手術後に体の状態がよくなるにしたがって減っていきます。溜まっている腹水を尿として出すために利尿剤を使用することもあります。腹水の量があまりにも多いときにはお腹に針を刺して腹水を直接抜いたりもします。

深部静脈血栓症、肺梗塞

深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)とは、足などの静脈の中に血栓ができることです。血栓は血の塊のことです。

同じ姿勢で長時間過ごすと足などの血液の流れが滞り、血栓ができやすくなることが知られています。手術中や手術後は患者さんの姿勢が変わらないことが多いので血栓ができやすいです。飛行機などで同じ姿勢を継続することで血栓ができるエコノミークラス症候群も同じ現象です。

血栓ができるだけでは大きな問題にならないこともあります。しかし血液の塊が体を流れていくと、肺の血管に詰まる肺塞栓症(はいそくせんしょう)や肺梗塞(はいこうそく)を起こし、致死的な状態に陥ることがあります。深部静脈血栓症を予防するために施設によっては血液を固まりにくくする薬を使用したり、機械を使い足を持続的にマッサージすることもあります。手術後には許可の出ている範囲内で体を動かすことが大事です。

せん妄

せん妄譫妄、せんもう)とは、軽度から中等度の意識混濁に幻覚、妄想、興奮などの様々な精神症状を伴うものとされています。たとえば以下のような症状が現れます。

  • 話しかけても反応が通常より悪い
  • 見えないものが見えるとの発言がある
  • 妄想をしていると思われる発言が繰り返される
  • 異常に興奮したりしている

せん妄は高齢者に起こりやすく、血液中の電解質のバランスが崩れることなども原因の一つです。環境の問題としては手術などで身体にストレスが加わり環境が大きく変わることなども原因の一つです。

せん妄には薬物療法に効果があります。あまりにもせん妄の状態が重度で患者さんや身の回りの人の身体に危険が及ぶと判断されたときには、やむをえず身動きができないようにすることがあります。これは手術後でドレーンなどの管が身体に入っているのを抜いたりすることを予防するためです。

せん妄は一時的なことが多く、身体の回復に伴い改善することが多いですが、頻繁にせん妄状態に陥るときには精神科の医師によって専門的な治療を開始されることがあります。

10. 遠位(中部・下部)胆管がんの手術後の生活で気をつけることは?

遠位胆管がんの手術では膵臓の一部、胃の一部などを切除します。このため手術の後に体に変化が起きることがあります。

下痢

遠位胆管がんが進行すると周囲に浸潤(広がっていくこと)していきます。遠位胆管がんが浸潤しやすいものに上腸間膜動脈神経叢と腹腔神経叢があります。神経叢(しんけいそう)というのは神経の束です。上腸間膜動脈神経叢と腹腔神経叢は腸の運動をコントロールし、食べ物を正常に消化させる役割があります。遠位胆管がんを切除するとき、これらの神経ごと切除せざるをえないことがあります。その場合、腸の運動がうまく調整できなくなり下痢を起こすことがあります。

下痢に対して通常は下痢止めで対応できることが多いですが、時間をおいても治らなかったりよくなる気配がみえない場合は医師に相談することをお勧めします。自分でできる下痢対策としては、刺激物の摂取をできるだけ避ける、脂肪の多い食事をできるだけ避けるなどがあります。

糖尿病

遠位胆管がんの手術では膵臓の一部(膵頭部)を切除します。このために膵臓の機能が低下します。

膵臓はインスリンという物質を分泌する臓器でもあります。インスリンは血糖値を下げる役割を果たしています。インスリンの量が減ると血糖値が上昇し糖尿病になることもあります。膵臓を切除する手術後は、血糖値に十分注意を行うことが大事です。

退院後は血糖値を自分で測定することになるかもしれません。日々自分の血糖値を把握しておくことはとても大事です。血糖値が高いときにはどうすればいいか、逆に低いときにはどうすればいいかなども担当医の説明をよく聞いて憶えておくことが大事です。

胃のむかつき

膵頭十二指腸切除術後は、胃に流れこんだ食べ物や胃液が長く胃に留まることがあります。胃排泄遅延と言います。胃排泄遅延が起きると強い酸性物質である胃酸が長く胃に留まるために胃に負担がかかります。むかつきなどの症状があります。

胃排泄遅延が長期間続くと胃が荒れたりすることがあります(胃炎)。胃炎の対処法としては、胃酸の分泌を抑える薬などが処方されます。

食事

膵頭部十二指腸切除術後は、膵臓の消化酵素を出す機能が低下したり胃の一部がなくなったりしているために手術前と同じ食事ができません。食事には体の変化を踏まえたうえで工夫が必要です。

  • 消化のよい食事を選ぶ
  • 食事の量は少なめで、回数を多くする
  • 脂肪分はできるだけ控える
  • コーヒー、紅茶などのカフェインは控えめにする
  • 唐辛子などの刺激物(香辛料など)もなるべく避ける
  • アルコールはできるだけ控えてどうしても飲みたいときには医師に相談を
  • タンパク質を多く摂取する

手術後は一度に多くの量を食べることはいい考えではありません。栄養は必要ですが、食事の量が多すぎて腸閉塞の原因になったりすることもあるので、量よりは回数を増やすことをお勧めします。

カフェインや香辛料も極力避けておいたほうが無難とも言えます。また膵臓からは脂肪を吸収しやすくするための消化酵素も分泌されます。膵臓の一部が失われることで脂肪を吸収する力が低下します。吸収されない脂肪は下痢の原因にもなります。

食事で最も大事な栄養素としてタンパク質があります。タンパク質は人間の筋肉などを作るのに重要です。手術の後には筋力が低下していることがほとんどです。良質なタンパク質の摂取は手術前の体の動きをとりもどすことにも有利に働きます。

体の動き

手術後には体力が落ちていることを実感されると思います。胆管がんの手術は大掛かりな手術になるので、入院期間も長期に及ぶことがあります。入院期間はどうしても体を動かす機会が少なくなります。退院後は身の周りのことをするのも大変だと思います。焦らずに地道に少しずつ体の動きを取り戻していくことが重要です。

血糖値

膵臓からはインスリンという血糖値を下げるホルモンが分泌されています。インスリンは血糖値を下げる働きを持ちます。膵臓を切除すると膵臓の機能が低下することは避けられません。手術後にインスリンの注射が必要になる場合があります。

11. 遠位(中部・下部)胆管がんの抗がん剤治療を使う時は?

遠位胆管がん抗がん剤を使う時は遠隔転移がある時もしくはがんの周りへの広がりが大きくて手術で摘出が難しいと考えられる時です。

GC療法とは?

GC療法はゲムシタビン(Gemcitabine)とシスプラチン(Cisplatin)の2種類の抗がん剤を使う治療です。ゲムシタビンとシスプラチンの頭文字をとってGC療法と呼ばれることがあります。

GC療法の効果は?

GC療法の効果を試した研究を紹介します。

局所で進行したまたは遠隔転移のある胆道がんの患者に対して、GC療法とゲムシタビン単独療法の効果が比較されました。遠位胆管がんは胆道がんの一つです。

患者はランダムに2つのグループに分けられ、GC療法、ゲムシタビン療法のどちらかを使って治療することとされました。評価の項目は生存期間、進行までの期間、治療による副作用です。

結果は表の通りでした。

  GC療法 ゲムシタビン単独療法
生存期間 11.7ヵ月 8.1ヵ月
進行までの期間 8.0ヵ月 5.0ヵ月

表の数字は中央値です。中央値とは、順位で半分に当たる値のことです。

GC療法のほうがゲムシタビン単独療法よりも生存期間、進行までの期間が長くなりました。この結果から遠位胆管がんに対する抗がん剤治療はGC療法が第一選択として考えられています。

参照:N Eng J Med.2010;362:1273-81

GC療法の方法は?

GC療法のスケジュールの例を表に示します。

1 8 21
ゲムシタビン 1000mg/m2      
シスプラチン 25mg/m2      

投与量は体表面積を基準にして決められます。体表面積は身長と体重から計算されます。

上記のスケジュールを3週間(21日)を1サイクルとして繰り返していきます。

この他に副作用対策として一般的に5-HT3受容体拮抗薬(吐き気止め)副腎皮質ホルモンなどが併用されます。また治療中は抗がん剤の効果、副作用、腎臓などの機能や骨髄機能などを確認します。

S-1単独療法とは?

S-1単独療法はS-1という薬の一剤による抗がん剤治療です。

S-1は内服薬(飲み薬)です。成分名で言うとテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤です。S-1の一剤による抗がん剤治療で効果が確かめられています。S-1はほかにも膵臓がん大腸がんなどの治療で用いられることがあります。

S-1単独療法の効果は?

S-1単独療法の効果が確かめられた研究を紹介します。

ゲムシタビン単独療法で進行が見られた胆道がんに対してS-1療法の効果が試されました。遠位胆管がんは胆道がんの一つです。この研究に参加した人のうち64%が手術後に再発をした人です。

S-1療法の治療結果は全生存期間が半数の人で13.5ヵ月以上、病気が進行するまでの期間は半数の人で5.4ヵ月以上でした。

重い副作用としては、好中球の減少(5%)、貧血(5%)が現れました。その他の副作用としては吐き気(27%)、食思不振(55%)、顔、爪などへの色素沈着(32%)が報告されました。

この研究の結果からS-1療法は遠位胆管がんの2つ目の抗がん剤として使われることがあります。

参考:Invest New Drugs.2012;30:708-13

S-1単独療法の方法は?

S-1単独療法は通常「28日連日服用後、14日間休薬」を1サイクルとし、1サイクルを繰り返して使います。

1-28 29-42
S-1 80mg/m2 ◯(連日服用) 休薬

用量は通常、体表面積によって変更されます。体表面積1.25m2未満の人であれば80mg/日、1.25〜1.5m2であれば100mg/日、1.5m2以上であれば120mg/日となります。全身の状態などによっても増減が考慮されます。副作用にはやや注意が必要で、下痢が多い人には特に注意するべきと考えられます。

GS療法とは?

GS療法はゲムシタビン(Gemcitabine)とS-1の2種類の抗がん剤を使う治療です。ゲムシタビンとS-1の頭文字をとってGS療法と言います。S-1は内服薬(飲み薬)です。成分名で言うとテガフール・ギメラシル・オテラシルカリウム配合剤です。

GS療法の効果は?

GS療法の効果を試した研究を紹介します。

局所で進行したまたは遠隔転移のある胆道がんの人に対してGS療法が試されました。GS療法とS-1療法が比較されました。対象となった患者さんはランダムにそれぞれの治療法に分けられて治療が行われました。結果は表のようになりました。

  GS療法 ゲムシタビン単独療法
1年生存率 52.9% 40.0%
進行までの期間(中央値) 7.1ヵ月 4.2ヵ月

1年生存率、半分の人が進行するまでの期間はGS療法がよいという結果が得られました。入院が必要な副作用の頻度はGS療法の方が多いと報告されています。副作用には白血球ヘモグロビン血小板の減少などがありました。

進行した胆道がんに対してはゲムシタビンとシスプラチンを併用するGC療法が最初に用いられる治療ですが、今後はGS療法との比較などが行われる可能性があります。

参照:Cancer Sci.2013;105:1211-6

GS療法の方法は?

GS療法は21日を1サイクルとして繰り返して行います。ゲムシタビンは1日目と8日目に点滴で投与します。

S-1は内服薬(飲み薬)です。GS療法では「14日連日服用後、7日間休薬」を1サイクルとし、1サイクルを繰り返して使います。

1 8 14 21
ゲムシタビン 1000mg/m2          
S-1 60mg/m2    

投与量は体表面積を基準にして決められます。体表面積は身長と体重から計算されます。体表面積1.25m2未満の人であれば60mg/日、1.25-1.5m2であれば80mg/日、1.5m2以上であれば100mg/日となります。

12. 遠位胆管がんの放射線治療は?

遠位胆管がん放射線療法を使う場面はいくつかあります。放射線治療の効果や副作用などを理解して選ぶことが大事です。

転移した場所に対する放射線治療

遠位胆管がんが進行すると転移をします。遠位胆管がんが転移しやすい場所には肺、肝臓、骨、リンパ節などがあります。転移をした場所で痛みなどの症状が現れる場合があります。痛みの症状が出やすいのが骨への転移です。骨転移による症状を緩和するには放射線治療が効果的です。

骨転移は背骨に起きることがあります。背骨の真ん中には神経が通っています。骨転移が大きくなると神経に影響することもあります。神経に影響すると麻痺などの症状がでることがあります。麻痺症状を防いだり緩和する目的でも放射線治療を使うことがあります。

手術ができない場合の一つの手段

遠位胆管がんを根治に導くには手術が唯一の方法だと考えられています。遠隔転移がない場合はまず手術ができるかを考えます。遠隔転移は領域リンパ節以外のリンパ節や他の臓器に転移があることです。遠隔転移がなくてもがんの広がりが大きな場合は手術ができないこともあります。

手術ができないからといって手を加えないとがんが大きくなり黄疸などの様々な症状がでることがあります。そのときにはがんが周囲に与える影響を予防する目的で放射線を遠位胆管がんに照射して症状が出るのを予防します。他に抗がん剤治療なども選択肢にあります。その時の状況で最も適した治療法を選択することが大事です。放射線治療によって期待できる効果や副作用、他の選択肢である抗がん剤治療などについてしっかりと説明を効いた上で治療を選ぶことが大事です。

放射線治療はどうやるの?

放射線治療は、回数を分けて行われます。回数を分ける目的は正常な細胞への影響を抑えることです。

放射線治療の分量にはGy(グレイ)という単位が用いられます。Gyは吸収線量の単位です。吸収線量とは、放射線を照射された物質が単位質量あたりで吸収するエネルギー量を指します。2011年の原発事故以来、Sv(シーベルト)という単位がよく報道にも現れるようになりました。Svは線量当量・等価線量・実効線量などの単位です。1GyのX線は1Svに相当します。

骨への転移などに対しては1回3Gyを10回、合計30Gyなどの照射が一般的です。転移のある場所や状況を踏まえて量や回数などを調整します。

一方で手術ができない場合に関しては1回2Gyの放射線を20−25回行うことが一般的です。骨と異なり腹部に放射線を照射する場合は気をつける副作用などが多いので慎重に行われるケースが多いです。

参照:Cancer.1985;55:1468-72

放射線治療の副作用は?

放射線治療の副作用はすぐに現れる早期障害と時間がたってから現れる晩期障害があります。

  • 早期障害
    • 吐き気
    • 食思不振
    • 胸やけ
    • 皮膚が赤くなったり、軽い痛みが出る
  • 晩期障害
    • 皮膚が固くなる
    • 胃や腸に潰瘍ができて出血することがある
    • 胆管炎

放射線治療にもいくつか注意が必要な副作用があります。副作用かなと思ったら医師に相談してみてください。実は何でもないことが副作用ではないかと思えてしまう場合もありますが、不安を解消する意味でも相談するのは大事なことです。