腎がんの原因について:遺伝や危険因子(リスクファクター)などの説明
腎がんの一部は遺伝によって発生します。他方、生活習慣や持病の中にも腎がん
目次
1. 腎がんと遺伝性疾患の関係について
遺伝性の病気であるフォンヒッペル・リンドウ病とバート・ホッグ・デュベ病の人は腎がんになりやすいことが知られています。
フォンヒッペル・リンドウ病(von Hippel-Lindau病)
フォンヒッペル・リンドウ病(以下VHL病)は、全身に
- 腎がん
- 脳や
脊髄 の血管腫 網膜 の血管腫- 副腎褐色細胞腫
- 膵臓腫瘍
原因となる遺伝子異常がある人のうち、4割程度の人に淡明細胞型腎がんが発生するとされます。VHL病の人は、腎がんを発症するリスクが高いので、早期発見のために定期的に
VHL病は日本国内では600-1000人の患者さんがいると推定されています。 この病気はVHLという
バート・ホッグ・デュベ病(Birt-Hogg-Dubé病)
バート・ホッグ・デュべ病(以下BHD病)は、腎腫瘍や肺
遺伝する病気はどうすればいいのか
遺伝する病気について理解し、その後の対応を判断するために、遺伝カウンセリングを受けることをお勧めします。遺伝カウンセリングを利用するには主治医に相談してください。 遺伝する病気は患者さん本人だけでなく家族・親戚にも関係があるので、遺伝カウンセリングは家族も一緒に受けることが望ましいです。親・子・兄弟は特に大切です。
2. 腎がんの危険因子:肥満・喫煙・透析・高血圧症
生活習慣や持病の中には腎がんが発生するリスクを高めるものがいくつか知られています。
それぞれについて説明します・
肥満
肥満の人には腎がんが発生しやすいことが知られています。 ここでいう肥満は
- BMI=体重[kg]÷身長[m]÷身長[m]
BMIの正常値は18.5以上22未満であって、25を超えると肥満と診断されます。BMIが高い人には腎がんが発生する危険性が高いことが知られています。BMIが25を超えている人は食事療法や運動療法を行って減量に取り組んでみてください。減量がなかなかうまく進まない人はお医者さんや管理栄養士に相談して、食事や運動習慣の見直しをしてください。
参考:Br J Cancer. 2001;85:984-990
喫煙
喫煙は腎がん発生の危険性を高めると考えられています。 喫煙者は、非喫煙者に比べて腎がんを発症する危険性が1.38倍(男性で1.54倍、女性で1.22倍)であったとする報告があります。また、同じ研究では、喫煙量と危険性は
喫煙は首や喉のがん(咽頭がん・喉頭がん)や肺がん、心筋梗塞など腎がん以外にも多くの病気の発生する可能性を高めることが知られています。腎がんのみならず健康のためにも禁煙に取り組んでください。とはいえ、禁煙は難しいものです。禁煙が難しい場合は禁煙外来などを利用して取り組んでみてください。「このページ」でお近くの禁煙外来を行っている医療機関を探すことができます。
参考:
Int J Cancer. 2005;114:101-108
透析治療が必要な慢性腎不全
透析患者さんは腎がんを発生しやすいことが知られています。 透析の期間が長いほど腎がんが発生する危険性が高くなります。また、腎臓に嚢胞(水が入った袋)袋が多発する
高血圧症
高血圧症は腎がん発生の
- 病院や健診などで測定した血圧(診察室血圧)の場合
収縮期血圧 140mmHg以上または拡張期血圧 90mmHg以上を満たす
- 自宅で測定した血圧(家庭血圧)の場合
- 収縮期血圧135mmHg以上または拡張期血圧85mmHg以上を満たす
血管新生因子が増加することや腎臓の近位