いんとうがん(じょういんとうがん、ちゅういんとうがん、かいんとうがん)
咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)
咽頭がんは咽頭にできるがん。鼻の奥から口蓋垂に高さにできる上咽頭がん、口蓋垂から舌の付け根までにできる中咽頭がん、食道の入り口付近にできる下咽頭がんに分けられる
1人の医師がチェック 15回の改訂 最終更新: 2023.12.29

咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)の基礎知識

POINT 咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)とは

咽頭がんのうち、上咽頭がんは鼻の奥から口蓋垂(のどちんこ)の範囲にできるがんです。中咽頭がんは口蓋垂から舌の付け根までの範囲にできるがんです。下咽頭がんは舌の付け根の高さから、食道の入り口までの範囲にできるがんです。症状は上咽頭がんは鼻づまり、鼻血、耳の詰まった感じ、耳鳴り、難聴などがでて、進行すると目が二重に見えることもあります。中咽頭がんや下咽頭がんの症状はのどの違和感や痛みです。咽頭がんは首のリンパ節に転移しやすく、首にしこりを触れることもあります。診断は細いカメラ(ファイバースコープ)を鼻から入れて行います。がんであることを確かめるために、腫瘍を一部切り取って組織診断を行います。がんの広がりや転移を調べるために、CT検査、MRI検査、超音波検査、PET-CT検査を行います。合併したがんを調べるために上部消化管内視鏡(胃カメラ)を行うことがあります。治療は放射線治療、化学療法(抗がん剤)、手術治療を組み合わせて行います。

咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)について

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咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)の症状

  • 咽頭がんのできた場所で、症状は異なる
  • 咽頭がんは頸部リンパ節転移を起こしやすく、腫れたリンパ節をしこりとして触れることがある
  • 上咽頭がんの症状
    • 初期症状
      • 鼻づまり
      • 鼻血
      • 耳がつまった感じ:中耳とつながる部分にがんができて、滲出性中耳炎になるため
      • 耳鳴り
      • 難聴
    • 進行した場合の症状
      • ものが二重に見える(複視:ふくし):目を動かす神経にがんが広がるため
      • 顔のしびれ:顔の感覚の神経にがんがひろがるため
      • 首のリンパ節の腫れ
  • 中咽頭がんの症状
    • 初期症状
      • 食べ物を飲み込む時の違和感
      • のどがしみる
    • 進行した場合の症状
      • のどの痛み
      • 飲み込みにくさ
      • 話しにくさ
      • のどからの出血
      • 呼吸困難
      • 首のリンパ節の腫れ
  • 下咽頭がんの症状
    • 初期症状
      • 食べ物を飲み込む時の違和感
      • のどがしみる
    • 進行した場合の症状
      • のどの痛み
      • 飲み込みにくさ
      • のどからの出血
      • 耳の周りの痛み:下咽頭の神経が耳の神経とつながっていて、下咽頭の痛みを耳の痛みとして感じるため
      • 声がかすれる:がんが周りにひろがると声帯の動きが悪くなるため
      • 首のリンパ節の腫れ
症状の詳細

咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)の検査・診断

  • ファイバースコープ検査
    • 鼻から細くて柔らかいカメラを入れて、がんの近くを観察する
  • 病理検査
    • 組織診:がんを疑う部分を一部切り取って、がんがあるか顕微鏡で詳しく調べる
    • 細胞診転移を疑うリンパ節に針を刺して、がんがあるか顕微鏡で詳しく調べる
    • 中咽頭がんではヒトパピローマウイルスの有無を、組織診で調べる
  • 血液検査
    • 治療が行える全身状態かを調べる
  • 画像検査
    • 首のリンパ節への転移や、遠い臓器への転移がないか調べる
      • 超音波検査エコー検査)
      • CT検査
      • MRI検査
      • PET-CT検査
  • 上部消化管内視鏡検査
  • これらの検査により、がんの進行の程度を病期ステージ)で分ける
検査・診断の詳細

咽頭がん(上咽頭がん、中咽頭がん、下咽頭がん)の治療法

  • 治療は手術、放射線治療抗がん剤化学療法)を組み合わせて行う
  • 上咽頭がんの治療
    • 手術ができない部位のため、放射線治療が基本になる
    • 放射線治療に抗がん剤を組み合わせた、化学放射線治療を行う
    • 化学放射線治療後に頸部リンパ節がんが残存、再発した場合は手術を行う
  • 中咽頭がんの治療
    • 手術もしくは、放射線治療、化学放射線治療を行う
    • 手術治療後は咀嚼機能(噛む機能)や嚥下機能(飲み込む機能)が低下することがある
    • ヒトパピローマウイルス関連の中咽頭がんは放射線治療や抗がん剤が効きやすい
    • ヒトパピローマウイルス関連の中咽頭がんは手術より、化学放射線治療を行うことが多い
  • 下咽頭がんの治療
    • 早期がんでは放射線治療、化学放射線治療を行う
    • 進行がんでは手術治療を行うことが多い
    • 進行がんの手術では喉頭を切り取ることもあり、手術後は声がでなくなることがある
    • 喉頭を切り取らない手術では、手術後は嚥下機能が低下し、食べ物が肺に入りやすくなる(誤嚥:ごえん)
    • 声を出す機能を維持したい場合は、化学放射線治療を行うが、治療後にがんが残存、再発した場合は手術を行う
  • 治療後の経過観察
    • 外来での定期的な経過観察と画像検査を行い、がんの再発の有無を確認する
  • 再発予防方法
    • 禁煙
    • 過度の飲酒を控える
治療法の詳細

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からだ