鉄欠乏性貧血の基礎知識
POINT 鉄欠乏性貧血とは
貧血とは、酸素を運搬する細胞である赤血球に含まれるヘモグロビンが不足している状態を指します。鉄分は、体がヘモグロビンを作るために必須なので、鉄分不足の状態が続くと鉄欠乏性貧血となります。鉄分不足になる原因には様々なものがありますが、胃腸からの出血、あるいは月経に伴う出血による鉄分の喪失が最も多い原因です。 鉄欠乏性貧血の症状としては、他の貧血と同様にめまい、頭痛、疲労感、怠さ、失神、動悸、息切れなどがあります。診断は採血検査でヘモグロビンの濃度を調べたり、体内の鉄に関連した検査値を調べることで行います。鉄欠乏性貧血の診断がついた場合には、出血源を調べるなど、鉄が体内で不足している原因をつきとめることが重要です。 治療としては、鉄が欠乏する原因を治すことが根本的な治療になります。それと並行して鉄剤の内服や点滴と行い、貧血が著しい場合には輸血が検討されます。鉄欠乏性貧血が心配な方、治療したい方は内科を受診してください。
鉄欠乏性貧血について
鉄欠乏性貧血の症状
鉄欠乏性貧血の検査・診断
鉄欠乏性貧血の治療法
- 鉄欠乏性貧血の治療としては鉄剤の内服が原則
- 何らかの理由で内服が難しい場合には点滴を行うこともある
- 鉄分はオレンジジュースや
ビタミン Cのサプリメントとともに摂ると効率よく体内に取り込めると言われている - 鉄分補給が十分かどうかを確認するために定期的に血液検査を行う
- 過剰な鉄分の補充は有害となるので、適度な鉄分の量を採血で確認する
- 鉄剤の
内服薬 は吐き気が見られることが多く、医師と相談しながらきちんと治療を継続することが重要 - 鉄欠乏性貧血の原因となる病気そのものをしっかりと調べて、必要があれば治療することも重要
- 極端な高度貧血の場合には輸血が検討される
鉄欠乏性貧血に関連する治療薬
経口鉄剤
- 鉄欠乏性貧血による頭痛やめまい、息切れなどの症状を改善する薬
- 血液中の赤血球には酸素を運ぶヘモグロビンという成分が含まれ、ヘモグロビンをつくるには鉄が必須である
- 鉄が足りないと全身に十分な酸素が運べなくなる
- 本剤は鉄分を体内に補給することで、赤血球を増やす作用をもつ
- 手術前の造血目的などで使用する場合もある
鉄欠乏性貧血の経過と病院探しのポイント
鉄欠乏性貧血が心配な方
鉄欠乏性貧血は貧血の一種ですので、進行すると少しの運動で息切れがしたり、動悸がしたりします。このような症状は貧血に限らずさまざまな状況で生じますが、鉄欠乏性貧血の場合には、そうなった原因が別にあるはずです。頻度として多いのは、女性であれば月経に伴う出血、高齢者であれば消化管出血です。消化管出血の場合には便が赤や黒といったように普段と異なる色調になることがありますが、少量の出血は肉眼では色の違いが分からないため、便の色が正常だからといって消化管出血がないとは言い切れません。
上記のような症状に心当たりがある場合には、一度お近くの内科クリニックを受診されることをお勧めします。内科の中での診療科は、消化器内科や血液内科など原因によって様々ですので、まず始めに受診するのはかかりつけの内科があればそちらが良いでしょうし、特にかかりつけがなければ通常の一般内科で問題ありません。貧血や、体内の鉄分の量は簡単な血液検査で確認することができますし、ある程度以上に進行した貧血であれば顔色や目の診察で見当をつけることができます。そして、血液検査で実際に鉄欠乏性貧血があるとなった場合には、その先の詳細な検査に進むことになります。