顔の帯状疱疹:かゆみ・痛み・腫れ・麻痺などの初期症状と水ぶくれ
顔の腫れ・かゆみ・
目次
1. 顔の帯状疱疹の初期症状:腫れ・かゆみ・麻痺などに注意
顔の帯状疱疹で出ることがある症状を挙げます。
- 耳の中・耳の周りの痛み
- 耳の中・耳の周りの水ぶくれ
- めまい、ふらつき
- 耳鳴り
- 難聴(聞こえにくい)
- 顔が麻痺する
- 開口障害(口が開きにくい)
- 顔面の麻痺(表情が作れない、左右非対称になる)
- 嚥下障害(食べ物を飲み込みにくい)
- 視力低下(目が見えにくい)
- 目の周りの痛み、腫れ
- 目の周りの水ぶくれ
- 目の充血
- 羞明(まぶしく感じる)
- 頭痛
意識障害 (意識がもうろうとする、ぼんやりする)
帯状疱疹は、全身のどこにでも起こりうる皮膚の病気です。痛みのある水ぶくれが代表的な症状ですが、顔にできた帯状疱疹は、近くにある神経に影響を与えることで、上に挙げた症状を現します。
顔面の帯状疱疹は眼部帯状疱疹や耳性帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)と呼ばれるもの帯状疱疹の中でも特に危険とされる場合なので、当てはまる症状があれば急いで耳鼻咽喉科や眼科で診察を受けてください。
帯状疱疹の一般的な症状については「帯状疱疹の画像:初期症状のかゆみ、赤み、水ぶくれとかさぶた」で説明しています。
帯状疱疹と間違いやすい虫刺され・かぶれとの見分け方は?
帯状疱疹では、水ぶくれがみられる前に痛み・かゆみ・腫れの症状が出ることが多く、虫刺されやかぶれと間違えることがあります。虫刺され・かぶれとは異なる帯状疱疹の特徴は以下です。
- 帯状疱疹では痛み・かゆみより遅れて水ぶくれが出る
- 帯状疱疹の症状は顔の左右どちらか片側に出る
- 帯状疱疹の症状は帯のような形に集まって出る
- 帯状疱疹の症状は離れた場所には出ない
これらの特徴をおさえておくと帯状疱疹になってしまったかどうかを判断しやすいです。ただし、それでも見分けるのが難しい場合も多いので、症状に悩んだら医療機関で相談してください。
顔の帯状疱疹と間違いやすい「ベル麻痺」とは?
顔の帯状疱疹と紛らわしい病気に、ベル麻痺(特発性顔面神経麻痺)というものがあります。顔面が麻痺する症状は同じですが、ベル麻痺で顔や耳の痛みと水ぶくれがみられることは有りません。また、治療に使う薬も違います。
ベル麻痺は顔の帯状疱疹よりも治りやすい病気です。
関連記事:目を閉じられない、味がわからない…「顔面神経麻痺」の研究、やり直したら違う結果に(参照文献:Cochrane Database Syst Rev. 2015 Nov 9)
2. 目の帯状疱疹は失明の危険も!すぐ眼科へ
顔の皮膚の感覚を伝える三叉神経(さんさしんけい)という神経に
- 顔面が腫れる
- 顔面が痛む
- 耳たぶが痛む
- 目が腫れる
- 見えづらくなる
目の周りに帯状疱疹(眼部帯状疱疹)がみられる、失明などの後遺症が残る可能性があります。疑わしいと感じたタイミングが受診のタイミングです。
関連記事:帯状疱疹のウイルスが脳に侵入!脳炎の症状が現れた人の例(参考文献:CMAJ. 2016 Mar 1)
協力医師からのメッセージ
3. 後遺症が多い耳の帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)は耳鼻科へ
帯状疱疹が
- 顔や耳の痛み
- 顔や耳の水ぶくれ
- 顔面の麻痺
- めまい
- 耳鳴り
- 難聴(聞こえが悪くなる)
ラムゼイ・ハント症候群は4割ほどの人に後遺症が残る危険な帯状疱疹です。すぐに治療を始めることが大切なので、耳鼻咽喉科などで相談してください。詳しくは「耳の水ぶくれは帯状疱疹?痛み・顔の麻痺などラムゼイハント症候群の症状について」で説明します。
4. 顔の帯状疱疹が痛くないことはある?
顔の帯状疱疹はピリピリ・チクチクと感じる痛みが特徴ですが、ほかの症状があっても痛みを感じないタイミングはありえます。
たとえば顔が麻痺して左右の片側だけ動かせなくなる症状が出た場合、痛みや水ぶくれが目立たず、ベル麻痺と見分けにくいことがあります。
5. 顔の帯状疱疹の治療は?
顔の帯状疱疹の治療には、原因のウイルスに対する薬(抗ウイルス薬)を病院で処方してもらう必要があります。しばしば激痛があるので、痛みを和らげるために
顔の帯状疱疹に市販薬は効かない?
顔の帯状疱疹に対して市販薬は有効ではありません。むしろ市販薬の間違った使い方をすると、帯状疱疹をかえって悪化させてしまうことも考えられるので、買ってきた薬を塗るのはお勧めしません。
顔の帯状疱疹の後遺症とは?
帯状疱疹の後遺症として、水ぶくれが治ったあとも数か月以上痛みが続くことがあります。帯状疱疹後神経痛といいます。
耳の帯状疱疹(ラムゼイ・ハント症候群)は特に後遺症が残りやすく、完治する人は6割程度と言われています。耳の帯状疱疹に特有の後遺症として、耳鳴りや飲み込みにくさなどもあります。後遺症に対するリハビリテーションも重要な治療になります。
帯状疱疹後神経痛は普通の痛み止めの薬が効きにくいことで知られています。ペインクリニックを受診すれば、
詳しくは「イオントフォレーシスなど、帯状疱疹後神経痛の治療を解説」で説明します。
6. 顔の帯状疱疹は入院になる?
顔の帯状疱疹は緊急度が高いため入院が必要になる場合が多いです。
一般的な帯状疱疹は、特に軽症の場合は入院しないで飲み薬だけで治せる場合がほとんどです。しかし、顔の帯状疱疹は重症になりやすく、後遺症も多いため、できるだけ早く点滴の薬を使って治療する必要がより強くなります。点滴薬が必要な場合には入院する段取りとなります。