2016.04.07 | ニュース

帯状疱疹のウイルスが脳に侵入!脳炎の症状が現れた人の例

56歳女性の症例報告

from CMAJ : Canadian Medical Association journal = journal de l'Association medicale canadienne

帯状疱疹のウイルスが脳に侵入!脳炎の症状が現れた人の例の写真

帯状疱疹は、強い痛みをともなう発疹が特徴です。症状は顔にも現れます。まれには脳炎をともなうこともあります。アメリカの研究班から、顔の症状があって受診し、脳炎を発見された人の例が報告されました。

◆片目の痛みと精神症状

この56歳女性は、もともと健康でしたが、右目の痛み、頭痛などの症状があり病院を受診しました。38℃の発熱、右の額から鼻にかけての発疹などの症状があり、診察から帯状疱疹が疑われました。

さらに精神の錯乱があったため、脳や主要な神経の感染症を見分ける脳脊髄液の検査が行われました。

脳脊髄液は脳や脊髄を取り囲んでいる液体です。脳に細菌やウイルスなどの病原体が感染したとき、脳脊髄液に病原体が含まれているのが見つかったり、脳脊髄液の成分である白血球の数、タンパク質や糖などの量が変化します。

 

◆脳液髄液からウイルスのDNAを発見

脳脊髄液の検査の結果、多数の白血球が見つかるなどの特徴に加え、帯状疱疹を起こす水痘帯状疱疹ウイルスのDNAが見つかりました。

MRIによる画像検査でも、脳炎の様子が見られました。

これらの結果から、水痘帯状疱疹ウイルスが感染して脳炎を起こしていると見られました。

通常の抗ウイルス薬であるアシクロビルを使って治療が行われ、10日間で退院となりました。退院5か月後の診察では後遺症は見られませんでした。

 

帯状疱疹の中では脳炎が起こる割合はまれですが、ほかにも目や耳などさまざまな場所に帯状疱疹の症状が起こります。痛みと発疹などの特徴から素早く診断し治療することが、重症になることを防ぐために大切です。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Herpes zoster ophthalmicus complicated by encephalitis.

CMAJ. 2016 Mar 1.

[PMID: 26350907]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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