はいがん(げんぱつせいはいがん)
肺がん(原発性肺がん)
肺にできたがん。がんの中で、男性の死因の第1位
29人の医師がチェック 381回の改訂 最終更新: 2025.12.15

肺がんで食べられない時の食事の工夫

肺がんになると食欲の低下や味覚障害などで食事をとれなくなることがあります。なかなか食べられないときに試してみると良い工夫について紹介します。

1. 肺がんになった時の食生活

食事は体力維持や治療の効果を高めるためにとても大切です。栄養状態が低下してしまうと、治療の進行を妨げるだけでなく合併症にかかってしまう危険もあります。しかし、手術や抗がん剤放射線療法からくる副作用によるさまざまな症状の影響で、きちんと食事を摂れない人も少なくありません。

症状別に食事の取り方の工夫をまとめますので、できるところから試してみてください。

2. 食欲不振

治療の副作用により食欲が落ちることがあります。食べにくいときは状態に合わせて消化しやすい食事をとると良いです。また、食べることが義務になってしまうとかえって苦痛に感じてしまうため、気分がいいときに食べたいものや好きなものを食べる心持ちが大切です。

◆食欲不振にオススメの食品

  • おもち、おはぎ:エネルギーになりやすく、消化に良い
  • 汁もの:手軽にたくさんの食品が摂れる
  • カレーライス、麺類、酢の物:香辛料や濃い味付けで食欲増進
  • プリン、茶碗蒸し、豆腐、山芋など:タンパク質が豊富でのどごしも良い

◆工夫のポイント

  • 食事は品数を多くし、少量ずつ小さな食器に盛り付ける
  • 味付けは好みに合わせて少し濃いめにし、主食は酢飯にしたり一口大のおにぎり等にする
  • 食べたいと思ったときにすぐに食べられるように、好きなものを手元に用意しておく

3. 吐き気・嘔吐

栄養状態の低下や脱水症状を起こすことがあるため、症状に合わせて少しでも食事ができるような工夫が必要です。

◆吐き気・嘔吐にオススメの食品

冷たいもの、あっさりとしたもの、口当たりが良く飲み込みやすいもの。

  • 水分の多い果物や野菜(スイカ、みかん、りんご、なし、トマトなど)
  • プリン
  • シャーベット
  • ゼリー
  • 卵豆腐
  • 冷や麦などの冷たい麺類

※脱水対策でスポーツドリンクの利用も良い。

◆工夫のポイント

  • 嘔吐のタイミングを把握して、食べられるときに少しずつ食べる
  • 生活環境のにおいに配慮する(タバコ、化粧品、汗など)
  • 食べられないときは水分だけでも補給する。スポーツドリンクも有用

4. 口内炎

口内炎ができると食事が億劫になってしまいます。辛いものや酸味の強いもの、硬く乾燥しているものなど、刺激が強い食品は避けたほうが良いです。

口内炎にオススメの食品

  • おかゆ
  • 牛乳
  • バナナ
  • アイスクリーム
  • 冷奴
  • プリン
  • ゼリー

◆工夫のポイント

(1)食事が摂れる場合

  • 熱いものは避け、人肌程度に冷ましてから食べると刺激が少なくなる
  • 塩分や酸味、香辛料を多く含む刺激の強い食べ物や、硬く乾燥しているものは控える。
  • 軟らかく煮込んだり、とろみをつけたり、裏ごしをするなどして口当たりを良くする
  • 味付けは薄くする
  • 食材は細かく刻んだりミキサーにかけるなどして噛みやすく、飲み込みやすくする
  • 流しこめる料理はストローを使用し、口の中に広がらないよう工夫する

(2)痛みであまり食事が摂れない場合

  • 荒れた口内にしみにくい濃厚流動食(バランス栄養飲料)や栄養補助食品を利用する
  • 点滴をしたり、経管栄養(胃や腸の中に管を挿入して栄養剤を注入し、栄養状態を保つ、あるいはよくするための方法)を利用する。※主治医や栄養士に要相談

5. 味覚障害

抗がん剤や放射線療法の影響で味覚が変化し、何を食べても味がしなかったり、砂を食べているような感覚になることがあります。原因として、味を感じる味蕾(みらい)細胞の再生に不可欠な栄養素(亜鉛、鉄分、ビタミンB12)が吸収されにくくなり、味蕾細胞が減少してしまうことなどが考えられています。また、唾液が少なくなり口の中が乾いていると味を感じづらくなります。

◆味覚障害にオススメの食品

味蕾細胞の再生に必要な栄養素をしっかり摂ることが大切です。

  • 亜鉛が多い食品:牡蠣、豚レバー、牛もも肉、豆腐、納豆、黒ごま、ひじき等
  • 鉄分が多い食品:小松菜、ほうれん草、豚レバー、しじみ、ひじき等
  • ビタミンB12が多い食品:さんま、しじみ、あさり、牛レバー等

肉類から金属味がするようになって食べられなくなった場合は、別の食品(チーズ、ヨーグルト、牛乳、大豆・大豆製品など)でタンパク質を摂るようにするのも大切です。

◆工夫のポイント

(1)味を強く感じる場合

  • 強く感じる味を避け、自分に合う味付けを試してみる
  • 食べる直前に自分で味付けできるようにする
  • 肉・魚等はアク抜き・臭み取りを行う

(2)味を感じにくい場合

  • 味付けをハッキリさせる(濃いめに付ける、香辛料・香味野菜を使う等)
  • 塩分を加えたり、だしを効かせたり、ごまやゆずなど香りを添える
  • 料理の温度を人肌程度にする

(3)食品の乾燥、ざらつきが気になる場合

  • あんかけにする、汁物と一緒に食べるなどをして食べ物に水分を補う

(4)苦味を強く感じやすい時

  • 金属製の食具(箸やスプーン等)は苦味を感じる場合があるため、プラスチック製や木製のものを利用する

※肺がんの患者が外科手術をする際に特に気をつけたいこと

肺がんの手術を受けると、長時間体を動かさないでいることで血行が悪くなり、血のかたまりが血管内にできやすくなります。特に動脈硬化が進んでいる人は血管が狭くなっています。動脈硬化が進んでいる人は血のかたまりがさらにできやすいため、脳梗塞心筋梗塞を起こしやすくなります。脳梗塞や肺梗塞心筋梗塞は起こることはまれですが、まれとは言え後遺症を残したり、命に関わることもある重大な合併症です。日頃より、脂質や糖質の多い食事や不規則な食生活を節制しましょう。そうすることで、手術の合併症が起こる確率は下がります。