急性中耳炎の症状は?
急性中耳炎の症状は耳が痛い、熱が出るなどのイメージがあると思います。その他の症状は何があり、どんな症状があれば病院に行くべきなのでしょうか。
目次
1. 耳が痛い原因は?
自分の耳が痛い時や、子供が耳を痛がった時に最初に考える病気は、急性中耳炎なのではないでしょうか。急性中耳炎は耳の痛みの原因としては多いのですが、耳が痛くなる病気は他にもあります。また、耳以外の病気でも耳が痛くなることがあります。
- 耳が原因の場合
- 耳周辺が原因の場合
- 耳や耳周囲以外が原因になる場合
上記のような原因で耳の痛みを引き起こします。耳に痛みを起こす病気は耳以外が原因になることもあります。
子供の場合で耳の痛みがある場合は、急性中耳炎であることがほとんどです。
大人の場合で耳の痛みがある場合は、急性中耳炎も原因として多いですが、その他では急性外耳炎も原因として多いです。直接耳と関連しないもので頻度が多いものは、顎関節症からの痛みで、耳の前あたりの痛みや起床時の耳の痛みが典型的な症状です。
2. 大人と子供の急性中耳炎では症状が違う?
急性中耳炎は子供に多い病気ですが、大人でも急性中耳炎になることがあります。大人の場合と子供の場合とは症状が異なるのでしょうか。また、どんな症状が出た時に病院に受診すればいいのかを説明します。
1歳未満の赤ちゃん(乳児)の中耳炎の症状
自分の症状を訴えられない乳児の場合は、下記の症状が参考になります。
- 熱
- 機嫌が悪い
- なかなか泣きやまない
- 耳を手で触る
- 粘っこい鼻水
- 耳の穴から液体がでている
- 食欲がない
- 元気がない
一般的には、粘っこい鼻水などをともなう風邪症状が続いた後に、症状が現れます。鼻水が出ていた後に、耳を気にする様子があれば、小児科もしくは耳鼻咽喉科の受診を検討してみて下さい。不機嫌で泣いたり、熱があっていても、本人がぐったりせずに元気であれば、受診を翌日にしてもよいです。反対に、ぐったりして元気がない、いつもより呼びかけへの反応がにぶい、おしっこの量がへっているなどがあれば、夜間であっても、小児科もしくは耳鼻咽喉科、救急科を受診して下さい。夜間に対応している耳鼻咽喉科は少ないため、各自治体の救急相談センターなどで、受診ができる施設を確認しておくとスムーズに受診をすることができます。
しかしながら、1歳未満の赤ちゃんの発熱の原因は急性中耳炎以外にもさまざまあります。生後3ヶ月までは母親からもらった
3-6ヶ月以降は自分の免疫物質を作る移行期のため、感染しやすく、風邪をひいたり発熱をおこしたりする時期です。6ヶ月ごろの赤ちゃんはよく熱を出しますが、38℃の熱が1日続いても、ほかに変わった様子がなく元気があれば、慌てて受診をする必要はありません。
数日間の発熱が続く原因で、0歳児に多いのが突発性発疹です。はじめての発熱の原因となることがほとんどです。平均して生後7ヶ月前後に多く、39℃台の高熱が数日間持続し、解熱後に全身に
1歳以上の幼児の中耳炎の症状は?
1歳以上の幼児では、言葉で自分の症状を伝えてくるかもしれませんが、下記の症状が参考になります。
- 熱
- 耳の痛み
- 耳を手で触る
- 粘っこい鼻水
- 耳の穴から液体がでている
- 元気がない
- 耳の聞こえが悪い
1歳以上では耳の痛みを訴えてくることが多くなります。数日前からの鼻水の後に、耳の痛みが出てきた場合は急性中耳炎の可能性が高いです。体が温まると、耳の血流が良くなって耳の中の腫れが悪化するので、痛みが強くなります。お風呂あがりや、一眠りした後などに耳の痛みをうったえる場合には原因として急性中耳炎が最も疑われます。また、鼓膜の奥に液体がたまることで、耳の聞こえが悪くなることもあります。
人によっては風邪をひくたびに中耳炎になることを繰り返しますが、5歳を超えてくると急性中耳炎になる頻度が減ります。
大人の中耳炎の症状は?
大人の中耳炎の症状は以下のものになります。
- 耳の痛み
- 耳だれ(耳漏:じろう)
- 難聴
- 耳鳴り
- めまい
風邪症状に続いて耳の痛みがでることが多いです。
3. 耳だれは急性中耳炎?
耳の穴から透明の液体や、膿が流れ出てくる耳だれは、耳漏(じろう)とも言います。子供の耳の穴の周囲に液体が付着しているのを見つけて、びっくりしたことがあるお母さんもいるかもしれません。この液体はどこからでてくるのでしょうか。
急性中耳炎が悪くなると、中耳腔の膿が多くなるので鼓膜を破って外側に膿が流れ出てきます。これが耳漏です。耳漏があるということは鼓膜に穴があいているということです。あいた鼓膜の穴は、炎症がおさまると自然に閉鎖することがほとんどですが、繰り返し炎症を起こすと、鼓膜の穴が残存したままとなり、慢性中耳炎に移行します。
耳だれは急性中耳炎以外でも出ることがあります。例えば、耳掃除をしすぎたときや、鼓膜の手前の外耳道に炎症がおきる急性外耳炎、感染を伴った慢性中耳炎などです。耳垢がベタベタしたタイプの人では、茶色いネバネバした耳垢(湿性耳垢:しっせいじこう)を耳だれと間違えやすいです。耳だれは黄色の膿のようなものや、サラサラした液体が出てくる点で湿性耳垢とは異なります。
4. 耳に水が入った感じは急性中耳炎?
耳に水が入ったような感じは低い音の聞こえが悪化した時に起こりやすい自覚症状です。急性中耳炎の他に、滲出性中耳炎や、急性低音障害型
5. 急性中耳炎は熱がでるの?
急性中耳炎は熱を伴うことが多いです。『小児急性中耳炎
子供の発熱は急性中耳炎が原因?
子供の急性中耳炎では1/3から2/3で発熱をともないます。しかし、子供の熱の原因はさまざまで、全てが急性中耳炎を原因とするわけではありません。保育園に通っている子供は、
発熱はかぜのみでも起こりますが、かぜに引き続いて急性中耳炎を起こすと、熱が長引いたり、高くなったりすることがあります。一方で熱がほとんどない急性中耳炎もあります。このように子供の発熱は必ずしも急性中耳炎ではないことがあります。
赤ちゃんの発熱は急性中耳炎が原因?
赤ちゃんが熱を出した時は重い病気にかかったと心配になってしまいますが、熱が出る原因はさまざまで、重い病気ではないことの方が多いです。急性中耳炎も発熱の原因の1つです。
発熱への対応は赤ちゃんの月齢や発熱した状況にによって異なります。赤ちゃんの発熱ですぐに医療機関に受診したほうがいいのは次の場合です。
- 3ヶ月未満
- 38度を超える熱が3日以上、さがらない
- 顔色が悪い
- ぐったりして声をかけても反応が弱い
これらの状況についてもう少し詳しく説明します。
生後3ヶ月未満の赤ちゃんの発熱には特に注意が必要です。生後3ヶ月まで、赤ちゃんはお母さんからもらった
生後3か月から6か月の間は母親からもらった免疫物質が減るころです。代わりに自分で免疫物質を作れるようになるのですが、そのシステムが未熟であるため、この時期は感染症にかかりやすくなります。原因のほとんどは一般的なかぜ(急性上気道炎)であるので、発熱があっても、元気な場合は3日程度様子を見て、熱が下がらなければ医療機関を受診するというのも選択肢の1つです。
しかし「3日以上熱が下がらない」、「顔色が悪い」、「ぐったりして声をかけても反応が弱い」といった条件に当てはまる場合は、一般的なかぜ以外が発熱の原因になっている可能性があるので、すみやかに医療機関を受診して下さい。
熱が5日続いた時はどうする?
熱が5日以上持続した場合は急性気管支炎や肺炎、川崎病などの病気の可能性があります。
熱が続いた場合には、下記のパターンが考えられます。
- 発熱してから一度も医療機関に受診せずに5日続いた場合
- 発熱してから5日たったが、途中で急性中耳炎と診断されている場合
- 急性中耳炎と言われて5日たっている場合
それぞれの状況について、説明します。
まず、発熱してから一度も医療期間に受診せずに5日続いている時には、すみやかに小児科に受診して下さい。5日目まで待たずに38度以上が3日間続いた時点で、一度受診しておくことが望ましいです。急性中耳炎の他に肺炎や髄膜炎、川崎病といった病気が原因になっている可能性があります。
次に、発熱してから5日たったが、途中で急性中耳炎と診断されている場合です。
この場合は、急性中耳炎の程度によって、
ただし、ぐったりしている、食事や水分がとれないなどの状態であれば、通院中の医療期間に再度受診して相談してください。
最後に急性中耳炎と言われて、すでに5日たっているが、熱が下がっていない場合です。この場合は、急性中耳炎が悪化している可能性や、急性気管支炎や肺炎を
発熱が持続すると体力を消耗し、食欲低下や脱水にもなりやすいです。食事や水分が十分に摂取できていない場合や、排尿の回数が減っている場合は脱水になっている可能性が高いので、早めに医療機関に受診してください。脱水の程度や身体の状態によっては点滴で水分を補う必要があります。
また、ぐったりしていつもより元気がなかったり、声をかけても反応が悪い、顔色が悪いなどがあれば、発熱の日数にかかわらず、医療機関に受診して下さい。
急性中耳炎の熱は何日間続く?
急性中耳炎で発熱が続く日数は人によって異なります。38度以上の熱がでる期間は数日以内と短期間であることがほとんどですが、合併する急性上気道炎の炎症を反映して、37度台の微熱が1週間前後、持続することもあります。
熱がないときはお風呂に入ってもいい?
たとえ発熱がない時でも、急性中耳炎で耳の痛みがある場合は、入浴はさけて下さい。身体があたたまると、粘膜の腫れがひどくなり、耳が痛くなることが多いからです。発熱で汗をかいてどうしても、入浴が必要な場合は体が温まりすぎないように短時間にするよう心がけて下さい。
急性中耳炎で耳の痛みがあるのは最初の2-3日です。その後に熱がなく、耳の痛みもなければお風呂に入ってもかまいません。
夕方に熱が出やすい?
一般的に体温は朝が最も低く、夕方から夜にかけて上昇する傾向にあります。平熱であっても朝と夕方では差があります。そのため、夜間には熱があがったように見えます。昼間にすでに熱がある人では、夜にさらに熱が上がることで、とても高い熱が出たように見えます。
発熱があっても、水分が摂れて元気であればすぐに医療機関に受診する必要はありません。一方、高熱でなくても、顔色が悪い時やぐったりしている時は、医療機関の受診をおすすめします。
また、小さい子供ほど、眠い時、お腹がいっぱいの時、泣いたりした時には、熱が上がります。さらに暑い環境下では、その影響を受けて、熱が上がりやすくなることも知られています。熱がこもりすぎないように、適宜、着ている服や布団の量を調整してみて下さい。
熱がないときは保育園に行ってもいい?
急性中耳炎の治療中で、解熱剤を使用しなくても1日を通して37.5℃を下回るようになれば、保育園に行ってもかまいません。38度前後の熱がある場合は、周囲にも感染させやすい時期であるので、保育園は休んで下さい。
鼓膜切開後も熱出ることはある?
急性中耳炎で耳の痛みや高熱の人では鼓膜切開が考慮されます。鼓膜切開は耳の痛みや発熱の改善を目的として行われます。しかし、鼓膜切開をしたとしても、熱が下がらないことはあります。急性中耳炎に伴った、かぜ(急性上気道炎)で熱が出ていることもあるからです。
日本での小児急性中耳炎の研究では、鼓膜切開を行うと、鼓膜切開を行わない場合に比べて発熱期間が短くなるという報告があります。一つの研究ですので判断はできませんが、鼓膜切開を行うと短期間で、解熱する効果があるかもしれません。
鼓膜切開後も発熱が長引く場合は、肺炎や急性気管支炎などの合併の可能性もありますので、必要に応じて小児科への紹介や、血液検査や画像検査を行うことが検討されます。
6. 大人の急性中耳炎も熱でるの?
大人の急性中耳炎も一般的にはかぜ(急性上気道炎)の後に起きることが多く、発熱をともなうことが多いです。しかし、発熱をともなわない軽度の急性上気道炎後に急性中耳炎が発症することもあり、発熱がまったくなく耳の痛みのみの急性中耳炎もあります。