きゅうせいちゅうじえん
急性中耳炎
耳の奥の中耳という場所に細菌が感染し炎症を起こす病気。特に子どもに起こることが多い
24人の医師がチェック 244回の改訂 最終更新: 2018.02.16

中耳炎の薬:大人と子供で違う?抗生物質は要る?

急性中耳炎では投薬の治療が主になります。医療機関で処方されて薬の種類が多くて、不安になることもあるかもしれません。安心して治療ができるように、ここでは急性中耳炎に使われる薬についてみていきましょう。

1. 中耳炎は薬局の薬で治る?

急性中耳炎で最も多い自覚症状は耳の痛みです。痛みを自覚してすぐに病院に受診するのが難しいかもしれないので、それまでの間は自身で痛みを和らげる工夫が必要です。

急性中耳炎の人が痛みでよく困るケースに次のようなものがあります。
急性中耳炎では体が温まると痛みが悪化します。このため、入浴をした後や夜間寝た後に体温が上がって耳の痛みが強くなることがあります。夜間などですぐに病院に受診できない場合、その場で症状を和らげるのに市販の鎮痛剤(痛み止め)が役立ちます。

市販の鎮痛薬には、バファリン®A、ロキソニン®S、新セデス®錠、リングル®アイビーなどがあります。こども向けの鎮痛薬には、小児用バファリンCIIがあります。3歳以上で使用可能です。

ただし、耳の痛みの原因は、急性中耳炎のみではないため、あとで耳鼻咽喉科に受診して原因を調べてもらうようにして下さい。

2. 中耳炎に処方される薬は?

それでは医療機関に受診した際に処方される薬はどんなものでしょうか。

急性中耳炎で使用する薬は下記です。

  • 抗生物質
  • 鎮痛薬
  • 気道疾患治療薬
  • 点耳薬

中耳炎は副鼻腔炎の薬で治る?

急性副鼻腔炎に続いて、急性中耳炎になることがあります。急性副鼻腔炎に対しての治療薬は急性中耳炎にも効果があることがありますが、耳の痛みなど、急性中耳炎を示唆する症状が新たに出た場合は、きちんと耳鼻咽喉科を受診して下さい。

また、診断をつけてからそれに応じて治療を行うのが望ましいため、家にある抗生物質を自己判断で飲んだりすることはやめて下さい。

副鼻腔炎から中耳炎になった場合は2つのパターンが考えられます。

説明します。
副鼻腔炎蓄膿症(ちくのうしょう)とも呼ばれます。副鼻腔炎には急性副鼻腔炎慢性副鼻腔炎があります。1ヶ月以内に症状がなくなるものを急性副鼻腔炎と言い、2−3ヶ月以上、症状が持続するものを慢性副鼻腔炎といいます。

急性副鼻腔炎から急性中耳炎になる原因は、鼻水の中のウイルス細菌中耳に入ることです。急性副鼻腔炎で処方された薬は鼻水をおさえる効果があるので急性中耳炎にも効果的です。しかし、耳の痛みなどの症状が新しく出た場合は、まず自己判断で対応せずに耳鼻咽喉科に受診して下さい。

慢性副鼻腔炎合併するのが滲出性中耳炎です。鼻の奥と耳の中をつなぐ耳管が狭窄して症状がでるので、慢性副鼻腔炎鼻汁が多かったり、鼻にポリープができると滲出性中耳炎になることがあります。滲出性中耳炎では耳の痛みは少なく、聞こえづらさや耳が詰まった感じなので症状が現れます。

中耳炎で塗り薬を使うことはある?

中耳炎で塗り薬を使用することはありません。外用薬を使うとすれば、急性中耳炎の炎症が強く、鼓膜に穴が空いた場合に点耳薬を使います。

大人と子供で処方される薬は違う?

軽症の場合は抗生物質なしでの自然治癒が期待できます。そのため、解熱鎮痛薬のみで経過観察をする場合もあります。
解熱鎮痛薬は、身体への影響を考えて子供の場合はアセトアミノフェン、大人ではNSAIDsを用いることが多いです。
アセトアミノフェンとNSAIDsの違いは「「ロキソニン」と「カロナール」は何が違うの?解熱鎮痛剤の特徴について解説」で詳しく解説しているので参考にして下さい。

子供と赤ちゃんで処方される薬は違う?

子供と赤ちゃんでは処方される薬はほとんど同じです。

抗生物質は細粒のみになります。味も飲みやすいように工夫されていますが、苦くて飲めないなどある場合は、アイスやゼリーにのせたり、ジュースに混ぜるなど工夫してみましょう。副作用で下痢を起こすことが多く、整腸剤も処方されます。

解熱鎮痛薬は細粒、シロップ、座薬などがあります。希望に応じて処方してもらいましょう。

3. 授乳中の中耳炎の薬は?

授乳中に急性中耳炎になった場合は、鼓膜所見や症状に応じて治療を行います。軽症であれば数日経過を見ることも可能です。耳鼻咽喉科で鼻処置やネブライザーをすることも効果的です。

痛みが強い場合はアセトアミノフェン(カロナール®)であれば問題なく使えます。

炎症が強くて痛みも強い場合は抗生物質を使用します。ペニシリン系であるアモキシシリン(サワシリン®など)は古くから使われている抗生物質であり、妊婦も問題なく使用出来ることがわかっています。

4. 中耳炎で処方される抗生物質は?

軽症の急性中耳炎は抗生物質を使わないで経過をみますが、「症状が強い場合」や「耳からが出ている場合」などには抗生物質を使用します。それは、軽症のほとんどは抗生物質が無効なウイルス感染であり、細菌が原因であったとしても軽症であれば、免疫力によって治ることができるからです。

近年、抗生物質を使った治療を行う際、耐性菌が問題になっています。本来有効なはずの抗生物質(抗菌薬、抗生剤)が効かない細菌を耐性菌といいます。耐性菌は抗生物質を使えば使うほど現れる危険性が高くなります。このため、抗生物質は本当に必要なときにだけ用いなければなりません。自然治癒が期待できる軽症例では抗生物質を温存することで耐性菌が現れにくくすることができます。

急性中耳炎の抗生物質は原因となる細菌に合ったものが選ばれます。インフルエンザ菌肺炎球菌、モラキセラ・カタラーリスが急性中耳炎の原因となる細菌として知られています。これらの細菌に効果がある抗菌薬は、アモキシシリン(商品名:サワシリン®、ワイドシリン®)などです。直近1ヶ月以内に抗生物質を使用した場合は、急性中耳炎が耐性菌によって起こっている可能性があり、アモキシシリン水和物・クラブラン酸カリウム(商品名:クラバモックス®)等を使用します。物質を使用する時は、下痢の副作用がありますので、小児では整腸剤(商品名:ビオフェルミンR®など)を一緒に内服します。

急性中耳炎の抗菌薬治療は「感染症治療薬ガイドの急性中耳炎」でも詳しく説明しているので参考にして下さい。