2015.07.11 | ニュース

子どもに多い急性中耳炎、抗生物質は必要? 痛み、再発等を経過観察と比較

4件千人のメタアナリシス
from The Cochrane database of systematic reviews
子どもに多い急性中耳炎、抗生物質は必要? 痛み、再発等を経過観察と比較の写真
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急性中耳炎は子どもによく起こり、耳の痛みや聞こえにくさの症状を表します。しかし、軽症では自然に治る場合が多いと言われています。急性中耳炎に対する抗菌薬(抗生物質)の効果を過去の文献から検証する研究が行われ、診断後すぐに抗菌薬を使った場合と、経過観察して特に必要と見られれば抗菌薬を使った場合とで痛みや検査結果などに違いがないという結果が報告されました。

◆過去の文献を検証

研究班は、論文データベースを検索し、子どもが急性中耳炎と診断されてからすぐに抗菌薬を使った場合と、経過観察して特に必要と見られれれば抗菌薬を使う方針とした場合を比較した研究を集め、内容を検証して統合しました。

 

◆いずれも差がない

次の結果が得られました。

即時に抗菌薬を使うことと予期的観察の比較のレビューのため、高所得国で行われた5件の試験(対象者は1,149人の子ども)が採用され、バイアスのリスクは低いか中等度と見られた。4件の試験(1,007人の子ども)がこのレビューに使用可能な結果のデータを報告していた。これらの試験から、959人の子どもについてのデータを3日後から7日後の痛みについてのメタアナリシスのため抽出した。3日後から7日後に痛みの差は見られなかった(リスク比0.75、95%信頼区間0.50-1.12)。247人の子どもを対象にした1件の試験で、11日後から14日後の痛みについてのデータが報告されていた。即時に抗菌薬を使うことは、予期的観察に比べて痛みのある子どもの数を減らさなかった(リスク比0.91、95%信頼区間0.75-1.10)。加えて、4週後のティンパノメトリーの異常所見、鼓膜穿孔急性中耳炎の再発があった子どもの数にも群間で差が見られなかった。深刻な合併症は抗菌薬群でも予期的観察群でも見られなかった。

見つかった5件の研究のうち、データが統合できた4件の研究から、対象となった959人の子どもについての結果を統計解析したところ、痛み、ティンパノメトリー検査の異常、鼓膜が破れること、急性中耳炎の再発について、違いが見つかりませんでした

研究班は、この研究で得られた結果から、「したがって、臨床上のマネージメントは、適切な鎮痛と抗菌薬の限定的な役割についてのアドバイスに重点を置くべきである。抗菌薬は満2歳未満で両側の急性中耳炎があるか、急性中耳炎と耳漏がある子どもに対して最も有益である」と結論しています。

 

子どもが痛がっているときは不安になるかもしれませんが、必要以上に抗菌薬を使うことは、副作用のリスクや、抗菌薬が効かない耐性菌を生み出すことにもつながります。どんな場合に抗菌薬の効果が期待できるのかは十分な情報をもとに判断したほうがよいのかもしれません。

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

Antibiotics for acute otitis media in children.

Cochrane Database Syst Rev. 2015 Jun 23

 

[PMID: 26099233]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。

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