2015.08.28 | ニュース

抗生物質を飲んで熱が下がったら、いつから学校に行けるのか?A群溶連菌の検出頻度から

111人で治療後に検査
from The Pediatric infectious disease journal
抗生物質を飲んで熱が下がったら、いつから学校に行けるのか?A群溶連菌の検出頻度からの写真
(C) Ermolaev Alexandr - Fotolia.com

A群溶連菌はごくありふれた細菌で、急性扁桃炎などの感染症を起こしますが、多くの場合は抗菌薬の治療で完治します。子どもに感染したとき、治療によって細菌がいなくなる時期を調べる研究が行われました。

◆111人を治療し翌朝に検査

研究班は、A群溶連菌の感染が確かめられた111人の子どもについて、抗菌薬のアモキシシリンで治療し、翌朝にもう一度検査を行い、A群溶連菌がまだ見つかるかどうかを調べました。

 

◆91%では菌がいなくなっていた

次の結果が得られました。

2日目の朝に、111人の参加者のうち10人だけで、RADTの陽性反応が続いており、一晩ののど検体培養によって確かめられた。A群溶連菌は、研究参加者の91%に対して(信頼区間86%-96%)、2日目ののどの検体からはRADTでも培養でも検出されなかった。

アモキシシリンを使った翌朝には、参加者の91%で、検査によってA群溶連菌が見つからなくなっていました。

研究班はこの結果から「『のどの溶連菌』の発症1日目の午後5時までにアモキシシリンで治療された子どもはすべて、解熱し症状が改善していれば、翌日には学校に出席してよい」と結論しています。

 

ほかの病原体の場合は別として、A群溶連菌の診断がつき、抗菌薬で症状が治まれば、あまり心配は要らないのかもしれません。ただし、この研究ではアモキシシリンの用量が50mg/kgで1回使用と、日本でよく処方される用量よりも多くを一度に使っていますので、抗菌薬の使い方によって結果が若干変わる可能性はあります。

 

なお、A群溶連菌はごくまれに壊死性軟部組織感染症という状態を引き起こす「人食いバクテリア」としても知られていますが、感染してもほとんどの場合はこの研究にあるように軽症で完治します。特に注意が必要な場合についてはこの記事をご覧ください。

「「人食いバクテリア」とは?医師が解説する症状・予防・感染対策まとめ」

http://medley.life/news/item/55d3cb98aed6eb8720cee0dc

執筆者

大脇 幸志郎

参考文献

A Re-appraisal of the Minimum Duration of Antibiotic Treatment Before Approval of Return to School for Children with Streptococcal Pharyngitis.

Pediatr Infect Dis J. 2015 Aug 20 [Epub ahead of print]

[PMID: 26295745]

※本ページの記事は、医療・医学に関する理解・知識を深めるためのものであり、特定の治療法・医学的見解を支持・推奨するものではありません。