きゅうせいちゅうじえん
急性中耳炎
耳の奥の中耳という場所に感染が起こる病気で、子どもに多い
24人の医師がチェック 283回の改訂 最終更新: 2026.04.05

大人も急性中耳炎になる?

急性中耳炎は子どもの病気と思われがちですが、大人でもかかることがあります。大人で耳が痛いときに急性中耳炎をまず思い浮かべる人は多くないかもしれませんが、実際には原因のひとつです。ここでは、大人の急性中耳炎について説明します。

1. 大人の急性中耳炎の症状は?

耳の構造のイラスト。中耳は外耳と鼓膜を隔てて隣り合っている。

大人の急性中耳炎では、耳の痛みや聞こえにくさがよくみられます。主な症状は次のとおりです。

  • 耳の痛み
  • 耳だれ(耳漏:じろう)
  • 難聴
  • 耳鳴り
  • めまい

多くは風邪症状に続いて耳の痛みが現れ、中耳がたまると聞こえが悪くなります。軽い難聴では、耳に水が入ったような感じや、膜がはったような感じとして自覚されることがあります。炎症が強くなると、中耳にたまった膿が外に出て耳だれになることがあります。さらに、炎症が内耳まで及ぶと、難聴の悪化、耳鳴り、めまいなどがみられます。

軽度の中耳炎の症状は?

軽い急性中耳炎では、強い痛みがなく、聞こえにくさだけが目立つこともあります。聞こえにくさは、耳がこもる、膜がはった感じがする、水が入った感じがするといった形で自覚されます。風邪のあとにこうした症状が続く場合には、耳鼻咽喉科を受診してください。

耳に水が入った感じがしたら中耳炎?

耳に水が入ったような感じは、軽い難聴で起こりやすい症状です。急性中耳炎でもみられますが、滲出性中耳炎や急性低音障害型感音難聴などでも起こります。症状が続く場合には、原因を見分けるために耳鼻咽喉科で確認してください。

なお、お風呂やプールで実際に耳に水が入っても、それだけで急性中耳炎になるわけではありません。急性中耳炎が起こるのは鼓膜の奥にある中耳であり、水が入る外耳道とは鼓膜で隔てられているためです。

耳だれ・出血は中耳炎?

耳だれや出血がある場合には、耳やその周囲に炎症が起きている可能性があります。急性中耳炎では、炎症が強いと耳だれがみられることがありますが、出血は多くありません。

耳掃除のあとに出血があった場合には、外耳道を傷つけた急性外耳炎なども考えます。そのほか、真珠腫性中耳炎、慢性中耳炎、悪性外耳道炎、外耳道がんなどが原因になることもあります。耳だれや出血がある場合には、数日以内に耳鼻咽喉科を受診してください。

咳・熱は中耳炎?

咳や熱は風邪でも起こる症状なので、それだけで急性中耳炎とは限りません。ただし、熱に加えて耳の痛みがある場合には、急性中耳炎の可能性があります。大人では子どもに比べて高熱になることは少ないものの、風邪のあとに耳の痛みや聞こえにくさが出た場合には、急性中耳炎も考えて耳鼻咽喉科を受診してください。

2. 大人が中耳炎になる原因は?

大人の急性中耳炎も、子どもと同じように、鼻やのどのウイルス細菌耳管を通って中耳に入ることで起こります。

ただし、大人は子どもに比べて、鼻と中耳をつなぐ耳管が感染しづらい構造(長い・角度がついている)をしているため、鼻やのどの病原体が中耳まで達しにくく、急性中耳炎になる頻度は子どもより少なくなります。

歯の治療で中耳炎になる?

歯の治療のあとに耳が痛くなることはありますが、通常は急性中耳炎とは関係ありません。歯の周囲やのどの痛みが耳の奥の痛みとして感じられたり、長時間口を開けていたことで顎関節に負担がかかり、耳の前あたりの痛みとして自覚されたりすることがあります。

とくに奥歯の治療のあとには、周囲の炎症や顎関節への負担によって、耳の痛みに似た症状が出ることがあります。咀嚼時や大きく口を開けたときに耳の前あたりが痛む場合には、顎関節症が原因のこともあります。

大人の急性中耳炎は繰り返す?

大人では、子どもに比べて急性中耳炎を繰り返すことは少なくなります。これは、成長とともに耳管の長さや角度が変化し、鼻やのどの感染が中耳に広がりにくくなるためです。

一方で、大人で中耳炎を繰り返しているようにみえる場合には、急性中耳炎ではなく、滲出性中耳炎が背景にあることもあります。滲出性中耳炎では、中耳に液体がたまりますが、感染による強い炎症を伴わないため、耳の痛みは目立たず、難聴や耳の詰まった感じが主な症状になります。

大人の滲出性中耳炎の背景としては、慢性副鼻腔炎アレルギー性鼻炎、鼻の奥の病気などがあります。また、加齢に伴って耳管の働きが低下し、起こりやすくなることもあります。大人で中耳炎を繰り返す場合には、急性中耳炎と決めつけず、耳鼻咽喉科で原因を確認してください。

大人が急性中耳炎を繰り返した場合には何が考えられるのか?

大人では、子どものように急性中耳炎を繰り返すことはあまり多くありません。大人で中耳炎を繰り返す場合には、急性中耳炎ではなく、滲出性中耳炎が背景にあることがあるかもしれません。

滲出性中耳炎は、急性中耳炎と異なり、強い感染や炎症を伴わず、中耳に液体がたまる病気です。原因としては、慢性副鼻腔炎アレルギー性鼻炎、鼻の奥の上咽頭の病気などがあります。

急性中耳炎のような強い耳の痛みは目立たず、聞こえにくさや耳の詰まった感じが主な症状になります。加齢に伴って耳管の働きが低下すると、滲出性中耳炎を起こしやすくなることもあります。大人で中耳炎を繰り返す場合には、急性中耳炎と決めつけず、耳鼻咽喉科で原因を確認してください。

3. 大人の中耳炎の治療は?

大人の急性中耳炎の治療は、基本的には子どもの場合と同じです。軽症であれば、鎮痛薬などを使いながら経過をみます。一方、症状や鼓膜の炎症が強い場合には、細菌感染の可能性を考えて抗菌薬を使います。

耳の痛みは比較的早く改善することが多いですが、中耳の炎症がおさまるまでには少し時間がかかります。そのため、痛みがなくなったあとも、聞こえにくさや耳の詰まった感じがしばらく残ることがあります。耳の痛みが消えても、聞こえにくさが続く場合には、耳鼻咽喉科でもう一度診てもらってください。

中耳炎を放置するとどうなる?

急性中耳炎を放置しても、軽症であれば自然に改善することがあります。しかし、炎症が強い場合には、耳の周囲やさらに奥へ炎症が広がることがあります。こうしたある病気に続いて起こる別の病気を合併症といいます。

大人の急性中耳炎で注意が必要な合併症のひとつが内耳炎です。内耳炎では、中耳のさらに奥にある内耳まで炎症が広がり、難聴やめまいが起こります。急性中耳炎でも中耳に膿がたまることで聞こえにくくなりますが、内耳炎では聞こえの神経にまで炎症が及ぶため、膿がなくなったあとも難聴が残ることがあります。

内耳炎では、急性中耳炎の症状に続いて、難聴やめまいが現れます。治療では、細菌感染に対して抗菌薬を使い、必要に応じてステロイドや鼓膜切開を検討します。

大人の中耳炎で使う薬は?

急性中耳炎で使う主な薬は次のものです。

  • 抗菌薬
  • 鎮痛薬
  • 気道疾患治療薬
  • 点耳薬

軽症であれば、自然に改善することもあるため、経過観察のみでよいことがあります。一方、症状が強い場合や鼓膜の炎症が強い場合には、細菌感染の可能性を考えて抗菌薬を使います。抗菌薬としては、ペニシリン系抗菌薬であるアモキシシリン(商品名:サワシリン®など)がよく使われます。症状や重症度に応じて、アモキシシリン水和物・クラブラン酸カリウム(商品名:オーグメンチン®、クラバモックス®など)を使うこともあります。

痛みが強いときには、ロキソプロフェン(ロキソニン®)やアセトアミノフェン(カロナール®)などの鎮痛薬を使います。

また、鼻水が多い場合には、粘液調整薬や粘液溶解薬を使うことがあります。鼻やのどの炎症が中耳炎の背景にあることが多いため、こうした薬で鼻の症状を整えることがあります。

炎症が強く、鼓膜に穴があいて耳だれが出ている場合には、抗菌薬入りの点耳薬を使うこともあります。点耳薬は、鼓膜の穴を通して炎症のある部分に直接届くため、有効な場合があります。

大人でも鼓膜切開をするの?

大人では、鼓膜切開をしなくても急性中耳炎が治ることが多くあります。ただし、炎症が強い場合や、中耳にたまった膿による痛みが強い場合、内耳炎が疑われる場合などには、鼓膜切開が検討されます。

鼓膜切開は、鼓膜に小さな穴をあけて中耳の膿を外に出す治療です。すべての急性中耳炎で必要になるわけではなく、症状の強さや鼓膜の状態をみながら判断します。

また、急性中耳炎のあとに滲出性中耳炎となり、中耳に液体が長く残ることがあります。耳管の働きが改善すれば自然に液体が消えることも多いですが、長期間続いて難聴のために生活に支障がある場合には、鼓膜切開を行うことがあります。

中耳炎では何度も通院が必要?

急性中耳炎では、鼓膜の状態が改善するまで、何度か通院が必要になることがあります。耳の痛みは薬を使うと比較的早く改善することが多いですが、鼓膜の炎症や中耳の状態はそれより遅れてよくなるためです。

症状が軽くなったからといって自己判断で通院をやめず、医師の指示に従って受診を続けてください。

4. 中耳炎の原因は?

急性中耳炎の原因は、鼻やのどにいるウイルスや細菌です。これらが鼻と中耳をつなぐ耳管を通って中耳に入り、感染して炎症を起こします。そのため、急性中耳炎は鼻水を伴う風邪のあとに起こることが多くあります。

中耳炎はうつる?

急性中耳炎そのものがうつるわけではありません。ただし、急性中耳炎のきっかけになる風邪は、鼻水や咳を通じて周囲にうつることがあります。風邪をひいた人が必ず急性中耳炎になるわけではなく、実際に急性中耳炎に移行するかどうかは、その人の体質や体調、耳管の状態などによって異なります。

中耳炎の原因菌はなに?

急性中耳炎の原因となる細菌としては、インフルエンザ菌肺炎球菌、モラキセラ・カタラーリスがよく知られています。大人と子どもで原因菌に大きな違いはありません。

飛行機に乗ると中耳炎になる?

鼻水が多いときに飛行機に乗ると、耳抜きがしにくくなり、気圧の変化に中耳がうまく対応できず、中耳のトラブルが起こることがあります。こうした状態は一般的に航空性中耳炎と呼ばれ、急性中耳炎とは別のものです。

鼻水が出ていないときでも、飛行機の離着陸時に耳が痛くなり、そのあとに聞こえにくさや耳の詰まった感じが残ることがあります。鼻水が多いと耳管の働きがさらに悪くなるため、こうした症状は起こりやすくなります。

航空性中耳炎は、耳管の働きが低下して中耳の圧をうまく調整できなくなることで起こります。耳管の働きが正常であれば、つばを飲み込んだり、あくびをしたりすることで圧が整い、症状は改善します。風邪をひいて鼻水が多い状態で飛行機に乗る予定がある場合には、あらかじめ耳鼻咽喉科に相談してください。

航空性中耳炎は「耳が痛いのは中耳炎なの?中耳炎とは?」でも詳しく解説しているので参考にして下さい。

プールやお風呂で耳に水が入ると中耳炎になる?

プールやお風呂で耳に水が入っても、それだけで急性中耳炎になることはありません。鼓膜に穴があいていない限り、外耳道と中耳は鼓膜で隔てられているため、水が中耳まで入ることはないからです。

耳に水が入ったように感じるのは、外耳道に水が残っているためです。多くは自然に抜けたり、蒸発したりするので、お風呂あがりに毎回綿棒で水を取る必要はありません。綿棒で外耳道を繰り返し触ると、傷がついて外耳炎の原因になることがあるため、避けてください。