せき
咳(せき)

咳(せき)の基礎知識

概要

咳が止まらなくなる病気はたくさんあります。最も多いのは、かぜが治った後に2-3週間咳だけが続くような経過で出てくるものです。これは特別な病気ではなく、かぜの原因ウイルスの種類によってこのようなことが起きます。百日咳などもこういう経過をたどりやすい病気ですが、これらは自然治癒しますので心配する必要はありません。
それ以外の咳については、細菌が原因なのかアレルギーなのかといったところで大きく分かれます。数日から数週間単位で出ては治っていく急性の咳と、数か月から数年単位で持続する慢性の咳では、別の種類の病気が考えられます。

原因とメカニズム

咳は、体内にある余計なものを吐き出すための正常な反応です。痰やほこり、ゴミなどが気管を内側から刺激すると、その刺激で咳が起こります。このように本来は体を守るはずの咳も、あまりに多いと苦しさの原因になってしまいます。

咳の原因になるのは、肺、気管支、のど、胃や食道の異常です。肺や気管支、のどの異常で咳が出るのは多くの方に経験があると思います。体内の細菌などを痰にからめて、それを外に吐き出すための咳です。それに対して、胃や食道の異常でも咳が出ることがあります。

胃食道逆流症逆流性食道炎)という病気では、胃酸が逆流して食道、そしてのどに刺激を与えます。こののどの刺激が原因となって咳が出るという病気です。

考えられる病気

咳の特徴や、どんな人に出現するかによって、原因を推測することができます。

ある瞬間から突然起こる咳

自然気胸といって、肺に小さな穴があく病気や、刺激物質の吸入などが考えられます。また突然始まったり、止まったりを繰り返すようなものの中には、ストレスとも関係した心因性咳嗽と呼ばれる咳があります。

咳の出るタイミングごとの傾向

・夜間〜早朝に出やすい:気管支喘息咳喘息
・早朝に出やすい:慢性気管支炎気管支喘息COPD
・体を横にすると出やすい:心不全COPD
・布団の中で暖まると出やすい:咳喘息
・食後に横になると出やすい:胃食道逆流症

特定の状況に関連した症状

・最近引っ越しをした、家畜や鳥と接触している:過敏性肺炎
・鳥類を飼っている:オウム病
・最近たばこを吸い始めた:急性好酸球性肺炎
・最近温泉、銭湯、プールに行った:レジオネラ肺炎
・長年鉱山や建設現場で働いていた:じん肺
・長年喫煙している:COPD肺癌など
・何かに集中しているときや睡眠中には咳が出ない:心因性咳嗽

怖い病気

若くて持病のない方にはまれなものが大半ですが、重症化しやすいものには次のようなものがあります。

発熱が出るもの

通常のかぜの他に、気管支炎肺結核肺炎などがあります。高齢者は若い人よりもかぜを引きづらく、逆に肺炎を起こしやすいという特徴があります。

胸の痛みが出るもの

咳のしすぎで肋骨が疲労骨折(小さな刺激が繰り返しかかって、ゆっくりと生じる骨折)を起こすことがあります。また、咳が長引いていないのに胸が痛い場合には、自然気胸胸膜炎、肺梗塞といった病気が原因として挙げられます。急に胸の痛みと咳が出てきた場合には、お近くの内科、小児科、呼吸器内科を受診してください。

血痰が出るもの

咳のしすぎで粘膜が切れて、血痰が出ることがあります。このような血痰は自然に治るので心配は不要です。しかし、1か月を超えて長続きするような咳で血痰が出るものには、肺癌肺結核があります。特にご高齢の方は、血痰が続くときには注意が必要です。

息苦しさが出るもの

咳というよりも、すぐに息が上がってしまうのが症状の中心であれば、COPD、自然気胸間質性肺炎といった病気があり得ます。この中で10-30代の若い方にも起きやすいのが自然気胸です。

受診の目安

以下のような時は、危険な病気の可能性がありますので、速やかな受診が必要です。
・急に咳と胸の痛みが出現したとき
・咳だけでなく息苦しさが出現し、肩で息をしているようなとき
・70代以上の方で、咳と熱が出ているとき
・血痰が1週間以上続いているとき、または、痰よりも血液が主体の血痰が出ているとき

診療科

咳の場合に受診すべき診療科は、内科、小児科、呼吸器内科です。

内科、小児科

咳の大半は、風邪気管支炎百日咳などの感染症です。この場合には大人は内科、お子さんは小児科で対応可能です。

呼吸器内科

一時的な咳であれば内科、小児科でほとんどの咳に対応が可能です。しかし、そちらを受診した上で専門的な検査や治療が必要そうな場合には呼吸器内科を紹介されることがあります。
はじめから呼吸器内科を受診しても診察は受けられますが、胃食道逆流症逆流性食道炎)や心不全といったような病気から来る咳の場合には、それぞれ消化器内科と循環器内科が対応する病気ですので、受診が二度手間になってしまうことがあります。

検査

咳に関連した検査には、次のようなものがあります。

胸のレントゲン

レントゲンを撮影すると、肺炎気胸といった病気を診断することができます。多くの場合はこれらを診断するためというよりも、「肺炎でないか念のためチェックしておきましょう」という意味合いが強いです。

胸のCT

レントゲンでは写らない細かな病気を診断するためにはCTが行われます。COPD肺がんなどの腫瘍、レントゲンでは分かりにくい場所にある肺炎などを診断するために行われます。

気管支鏡検査

数か月以上の単位で続く咳の原因や、肺にある腫瘍をより詳しく検査するときに行われます。鼻から入れるタイプと口から入れるタイプのものがあります。

治療

原因の病気がはっきりとしている場合は、その病気の治療が大切です。肺炎では抗生物質が処方されますが、肺炎の種類によって効果が出やすい抗生物質が違います。咳喘息などのアレルギーが関係した病気では、アレルギーに対する薬が効果的です。

咳そのものを抑える目的では、咳止めとしてデキストロメトルファン(メジコン®)、ベンプロペリンリン(フラベリック®)などが処方されることが多いです。

セルフケア

咳は夜寝る時に強くなりやすく、眠れない原因にもなって辛いものです。のどが乾燥すると余計に咳が強くなりますから、乾燥しているときには湿度の調整が効果的です。のど飴や、はちみつをスプーンで飲み込むだけでやわらぐ咳もあります。
咳が出ているときは、唐辛子やお酢などの刺激物は避けるのが良いでしょう。



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